青
青
本当は桃くんがまた僕のことを抱き締めてくれるまで 何があったって、どれだけ辛くたってずっと待つって決めてた
でも、
この体を桃くん以外の人に見られてしまったんだ
もし僕の無実が証明されたところで、僕にはもう
桃くんに抱き締めてもらう資格なんてないんだ
ならいっそ、この気持ちごと全て終わらせてしまおう
青
屋上のフェンスに登ろうとした時
プルルルルップルルルルッ
僕を引き止めるように電話が鳴った
青
青
電話の相手は桃くん
すっかり家に帰ったら電話するという約束を忘れていた
青
でも僕は電話に出るのを躊躇った
僕には、抱き締めてもらう資格どころか声を聞く資格すらないのではないのか
......でも
この町に、この人生に別れを告げる前に
最期に、
宇宙一大好きな人の声を聞くことを
青
ピッ
青
桃(電話越し)
桃(電話越し)
青
桃(電話越し)
やっぱり駄目だ
君の声を聞くと、やっぱり君からの愛を待ちたくなってしまう
でもね、でもね、
もっと生きたい
君が、君が大好きだから
桃(電話越し)
過去も
今も
未来のことも
全部全部愛しているよ
青
『生きたい』はっきりそう思ってしまった
夜の星もいつかは消える
もし生きたとして、
僕は上手く生きれるのかな...?
いや、生きれる自信がない
ただ周りに迷惑をかけて、失望させて、裏切られて終わりだ
桃
青
桃
ギシッ
桃(電話越し)
今日も月が辺りを照らす
青
青
青
宝物を手に強く握り締めて
ヒュッ
空へ一歩踏み出した
桃
桃
ヒューッ
凄い、飛んでるみたいだ
桃(電話越し)
きっと風の音が聞こえたのだろう
未だ片手に握りしめたスマホから桃くんの声がする
心配して...くれ...て...?
桃(電話越し)
桃くんが僕の名前を沢山呼んでくれている
そうか、僕も自分の名前持ってるんだ
幸せだなぁ...
これが僕の生きた証だ
グチャ
キャァァァァァッッッ
桃(電話越し)
明日には生きているのかな....
青
明日から───
桃
桃
桃
プルルルルップルルルルッ
桃
プルルルルップルルルルッ
出ない、か...?
プルルルルップルルルルッ
プッッ
青(電話越し)
電話に出た青の声は、学校で話したとき以上に弱々しい気がした
桃
桃
青(電話越し)
桃
俺が喋りだそうとしたのを遮って青は俺の名前を呼んだ
青(電話越し)
桃
青が黙り込んだ
何かあったのだろうか、?
桃
青(電話越し)
桃
ギシッ──
電話の奥で何かが軋む音がした
桃
青(電話越し)
青(電話越し)
声が震えている
泣いているのか...?
ヒュッ
なんだ...?今の音...
桃
桃
名前を呼んでも返事はない
その代わりにスマホから聞こえたのは
ヒューッ
強い風の音
桃
桃
必死に話しかけるが、返事が返ってくることはない
人生で一番といっていいほど不安に駆られていた
グチャッ──
キャァァッッッ
桃
何かが潰れるような、不気味な音が響いた後、誰かの悲鳴が聞こえる
桃
何度呼びかけても、もう一度君の声が聞こえてくることはなかった
ただ聞こえたのは誰かの悲鳴と救急車の音、そして
君のお友達がッ───
絶望の言葉だった
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コメント
17件
ブクマ失礼します!!🙇🏻♀️
最高!乁(°ω°`乁)マジ神✧*。泣ける。゚( ゚இωஇ゚)゚。