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第1話 - あ

2023年12月11日

#恋愛

結城　真矢

サナ

ヨウヘイ

ん？どうした？

サナ

昨日、合コンに行った、って本当？

サナ

友達から聞いたの

ヨウヘイ

あ～そうなの？

ヨウヘイ

本当だけど？

サナ

なんでそんなことするの！？

サナ

私、前にも同じようなことがあった時、次は私にしっかり話して、

サナ

って言ったの、もう忘れたの！？

ヨウヘイ

いや、忘れたわけじゃないけどさ

ヨウヘイ

なんで、そこまでしてサナに全部話さないといけないの？

ヨウヘイ

俺、そんなに信頼されてないのかな？

サナ

信頼どうこうの話じゃなくて、約束したんだから、

サナ

それに対して約束やぶるのは違うでしょ、って言ってるの

ヨウヘイ

今回は、仕方なくいったんだよ

ヨウヘイ

どうしても男子が1人、人数が足りないから来てくれないか

ヨウヘイ

ってさ

サナ

そしたら、私も行きたかった

サナ

そしたら、安心していられるもん

ヨウヘイ

あのさ、俺の話聞いてた？

ヨウヘイ

男子が1人足りないから、人数合わせで誘われたんだよ

ヨウヘイ

サナが来たら、変わんないだろ

ヨウヘイ

それに、合コン、って言ったって、どうせカラオケでわいわいしただけじゃん

サナ

男女合わせて10人なんでしょ？

サナ

別に、それだけ大人数なんだから数なんてちょうど合わせなくてもいいじゃん

ヨウヘイ

なんでだよ？

ヨウヘイ

わいわいカラオケでも、合コンには変わりないし

サナ

どうせ、ヨウヘイのことだから、数人の子と電話番号でも交換したんでしょ？

ヨウヘイ

まあ、うん

ヨウヘイ

交換したよ

サナ

信じらんない！

サナ

なんで、すぐにそういうことするの？

サナ

っていうか、どんな神経してるわけ？

ヨウヘイ

そんなこと言われてもな～

ヨウヘイ

まあ、俺人気者だし？

ヨウヘイ

一回誘われたら、断れないタイプなんだよ

ヨウヘイ

それは、サナもよく分かってくれてることだと思ってたけど？

サナ

分からなくはないけど...

サナ

でも、自分でも断るくらいのことはしてほしかったの

ヨウヘイ

なんで？

ヨウヘイ

別に、誘われてるんだから、気分良く遊んでくる、

ヨウヘイ

くらいのノリで行けばいいじゃん

サナ

あのさ、

サナ

普通、恋人がいる人が合コンに行くこと自体、おかしいことだと思うんだけど

ヨウヘイ

え？そうかな？

ヨウヘイ

俺はそうは思わないけど

サナ

なんで！？

サナ

合コンって、男女合同コンパのことでしょ

サナ

新しい出会いを探す人が行くところなの

サナ

なんで、ヨウヘイがそんなところに行くの！？

ヨウヘイ

あのさ、出会いを求める、っていうのは行く人によって変わるんじゃない？

サナ

は？何言ってんの？

ヨウヘイ

コンパはもともと、仲間で一緒に飲み食いして、仲間意識を高めること

ヨウヘイ

大学のサークルで男女で飲むことが多くなった結果、

ヨウヘイ

恋人とかができやすくなったけど、

ヨウヘイ

別に、俺が出会いなんて気にせず、ただの遊びですませればいいだろ？

サナ

ただの遊びで済んだの？

ヨウヘイ

本当に、俺信用ないのな

ヨウヘイ

普通にカラオケしただけだし、アルコールとかもそんなに飲んでないし、

ヨウヘイ

何にも問題なかったけど？

サナ

そうなんだ

サナ

じゃあ、いいかな

サナ

今回は信じるよ

ヨウヘイ

今回は？

ヨウヘイ

何か、ずっと監視されてる気がしてあんまり良い気がしないんだけど

ヨウヘイ

もっと、俺のこと自由にしてくれよ

サナ

もう、十分自由にしてあげてるじゃん

ヨウヘイ

してあげてる、って...

ヨウヘイ

なんでそんなに上から目線で話せるんだよ

ヨウヘイ

俺は、サナのこと束縛なんてそんなにしないのに...

ヨウヘイ

なんか、息苦しいんだけど

サナ

それは、ごめん...

サナ

でも、なんか不安になるんだもん

ヨウヘイ

なんねーって

サナ

でも、私はサークルの集まりとか行く時、毎回ヨウヘイに連絡してるじゃん

ヨウヘイ

え？そうだっけ？

ヨウヘイ

女子会だけじゃなかった？

サナ

え？

サナ

まさか、私がサークルの飲み会行くけどいい？っていう話、聞いてないの？

サナ

適当に返事してるだけなの？

ヨウヘイ

う～ん、たぶん、聞いてないね

サナ

呆れた...

サナ

そんな程度のものなんだね、ヨウヘイの私への関心って

サナ

私ばっかり頑張って、バカみたいじゃん

ヨウヘイ

そこまでは言ってないじゃん

ヨウヘイ

勝手に被害妄想とか、しないでくれよ

ヨウヘイ

頼むから

サナ

被害妄想とかじゃないし！

サナ

事実だよ

サナ

本当に、女子の気持ちとか分かろうとしてくれないよね

ヨウヘイ

だって、わかんねーもん

サナ

もう、いいよ

サナ

おやすみ

～5日後～

サナ

ヨウヘイ！

ヨウヘイ

何だよ

サナ

私、昨日見ちゃったの

サナ

次こそは、言い訳できないんだから

ヨウヘイ

何を見たって？

サナ

昨日、繁華街の居酒屋で、女の子と2人で一緒に出てきたでしょ！？

ヨウヘイ

えっ、

サナ

えっ、じゃないって

サナ

私があそこらへん、行かないとでも思った！？

ヨウヘイ

いや、っていうか...

ヨウヘイ

あんなところ、来たら危ないだろ？って

ヨウヘイ

だって、酔っ払いの変な奴もいるんだからさ

サナ

ヨウヘイも、そのうちの1人かもね

ヨウヘイ

は？

ヨウヘイ

お前、嫉妬もいい加減にしろよ

サナ

今回のことは、嫉妬とかじゃなでしょ！

ヨウヘイ

だって、あの子は普通に、赤の他人だよ

ヨウヘイ

たまたま、カウンター席に隣同士で座って、話が弾んだから...

ヨウヘイ

店変えて、もう少し一緒にいようか、って流れになったんだよ

ヨウヘイ

ただの友達だろ？

サナ

私は、そうとは思わないけど...

サナ

だって、相手かなり酔っぱらってたじゃん

サナ

後ろから見てて、かなりヨウヘイに寄りかかってたし

サナ

それを抱きとめるヨウヘイにも、ムカついたけどね

ヨウヘイ

もう少しさ、柔軟になれよ

サナ

は？

サナ

何偉そうなこと言ってんの？

サナ

今、そんなこと言える立場じゃない、ってこと分かってる？

ヨウヘイ

相手が女子だから、友達になっちゃいけない、ってルールはないだろ？

ヨウヘイ

酔っぱらってたから支えるのは、人としての優しさじゃん

ヨウヘイ

じゃあ、サナは俺の立場だったらどうしたんだよ？

ヨウヘイ

酔っぱらって立てなくなった初対面の人を、その場に放っておくのか？

ヨウヘイ

せっかく仲良くなったのに...

サナ

タクシーでも呼べばいいんじゃない？

ヨウヘイ

自分の身に起こってないから、そんなこと簡単に言えるんだよな

サナ

なんでそんな考えになるの？

サナ

初対面の人だから、怖いからそうするのはおかしいことじゃないと思うんだけど

ヨウヘイ

俺は、そうとは思わないんだけど

サナ

もうさ、いい加減にしてよ

サナ

子供じゃないんだから

サナ

少しは話し合いにのるくらいの態度、見せてくれる？

ヨウヘイ

見せてんじゃん

ヨウヘイ

そっちこそ、俺の言ってること聞いてないじゃん

ヨウヘイ

勝手に自分の意見押し付けてるだけだろ？

ヨウヘイ

女友達が少しいるくらいで、気にしすぎなんだよ

サナ

あっそ

サナ

そういうことしてると、そのうち信用失うんだからね

～4日後～

ヨウヘイ

サナ

ヨウヘイ

俺たち、もう終わりにしない？

サナ

え？

サナ

何？いきなり

ヨウヘイ

え？別に...

ヨウヘイ

いきなりではなくない？

ヨウヘイ

俺ら、最近そこまで関係は良好じゃなかったじゃん

ヨウヘイ

話し合いしようとしても、ケンカにしか発展しないし

サナ

そうだね

サナ

もう、無理なのかもしれないね

サナ

今日だって、知らない人と一緒にいるところ、見ちゃったし

ヨウヘイ

あ～そうなの？

ヨウヘイ

じゃあ、ちょうどいいわ

ヨウヘイ

俺、今日サナが見た人と、付き合うことにしたから

サナ

え？いつから？

ヨウヘイ

ちょうど、今日言われだんだよ

ヨウヘイ

でも、サナとしっかり別れてからにしておこう、と思ってさ

ヨウヘイ

今、連絡した、ってわけ

サナ

あっそうなんだ

サナ

まあ、いいんじゃない

サナ

私たち、お互いに合わなかったと思うし

ヨウヘイ

そう？

ヨウヘイ

じゃあ、そういうことで

サナ

じゃ、これからも男同士てどうぞご勝手に

ヨウヘイ

は？

ヨウヘイ

お前、今なんて言った？

サナ

だから、男同士、仲良くどうぞお付き合いしてね、

サナ

って言ってるの

ヨウヘイ

いや、俺がこれから付き合う子は、正真正銘の女の子だけど？

サナ

どうやって、女子、って分かったの？

ヨウヘイ

え？どうやって、って...

ヨウヘイ

見た目だよ

ヨウヘイ

っていうか、あれで男、っていう方が意味わかんねーだろ

サナ

まさかの、その意味わかんない状態になってるんだけどねー

ヨウヘイ

つまり、サナが言いたいこと、って...

ヨウヘイ

え？そういうこと？

サナ

そう

サナ

ヨウヘイが付き合う、って言ってる人は、

サナ

私の知り合いで、高校の時に演劇部で抜群の演技力を持った男友達だよ

ヨウヘイ

あっ、えっ！？

ヨウヘイ

マジの男！？

サナ

そう

ヨウヘイ

なんでサナがそんなやつ知り合いになってんだよ...

サナ

私が頼んだんだ

ヨウヘイ

頼んだ？何を？

サナ

最初は、相談だけのつもりだったの

サナ

最近、彼が女子と遊んでばっかりいて、本人は女友達だ、って言うんだけど

サナ

不安なんだよね、って

サナ

そしたら、あっちから言ってきたの

サナ

俺が女子になりすまして、近づいて探ってみようか？って

ヨウヘイ

なんだよ、それ...

サナ

本当に、女子だと思ったでしょ？

サナ

彼、声も女の子っぽいし、顔も見た目も、体格も...

サナ

だから、演劇でも女役を任されることが多いんだって

ヨウヘイ

お前、汚いぞ！

ヨウヘイ

そんなふうに、友達のこと利用して、女装させるなんて...

ヨウヘイ

その周りの友達にばれたら、そいつが恥ずかしい思いするかも、

ヨウヘイ

とか考えなかったの？

サナ

本人はやる気満々だったけどね

ヨウヘイ

は？マジで？

サナ

うん

サナ

だって、たまに週末に趣味で女装して出かける時もあるみたいだよ

サナ

それも、SNSに普通に日常の過ごし方として投稿とかしてるし...

ヨウヘイ

え、そんなやつなの？

サナ

うん

サナ

周りの友達にも、外出で女装してどこかお店でご飯食べてても、

サナ

店員さんは誰も気づかないのか、どうか...とか、

サナ

チャレンジもしてるみたい

サナ

面白い子でしょ？

ヨウヘイ

えっ...

ヨウヘイ

うん、そうだな

ヨウヘイ

いや、そうじゃなくて！

ヨウヘイ

俺のことそんな騙し方しといて...どうなるか分かってんのか！？

ヨウヘイ

彼氏のこと、友達のこと利用して騙して遊んだやつ、って...

ヨウヘイ

ばらしてもいいのか！？

サナ

え？数人の子は、このこと知ってるよ

ヨウヘイ

へ？なんで？

サナ

その女装してくれた子が、私にこの作戦を話してくれた時に、

サナ

数人の子もその場で聞いてたもん

サナ

それで、すごい面白そう！

サナ

って、面白がってたよ

ヨウヘイ

面白がってた？

ヨウヘイ

嘘だろ...そんな...

サナ

本当だよ

サナ

嘘だと思うなら、彼に聞いてみる？

ヨウヘイ

いや、もう会う約束はしないから

サナ

あっそ

サナ

まあ、酔っぱらいながら結構恥ずかしいことも言っちゃったみたいだしね

サナ

そりゃあ、また会うのは恥ずかしいよね～

ヨウヘイ

俺が何言ったのかも、聞いてんの？

サナ

うん、それを偵察に行ってもらったんだから

サナ

もちろん知ってるよ

サナ

女子なんて騙すのちょろいから、浮気しても全然ばれない～

サナ

って

ヨウヘイ

えっ！？

サナ

やっぱり、ヨウヘイは浮気するような奴だったんだね

サナ

しかも、過去に付き合ってきた女の子の人数も、

サナ

公開しちゃったみたいだね

ヨウヘイ

え？俺、そんなこと言ったけ？

サナ

嘘...覚えてないんだ

サナ

過去に、５人と浮気してきた、って言ったんだよ

サナ

私が2人目の彼女なのに、そんなに浮気してた、って...

サナ

相当の遊び人なんだね

ヨウヘイ

いや、違うんだよ...

ヨウヘイ

本当に、悪かったと思ってるよ

ヨウヘイ

ごめん...

サナ

今頃謝っても、遅いんだから

サナ

もう、私たち別れるんでしょ？

ヨウヘイ

ごめん...

ヨウヘイ

あの、このことは誰かに話すのだけは、やめれくれないか？

サナ

話すつもりはないけど、もう広まってると思うよ？

ヨウヘイ

え？なんで！？

サナ

だから、言ったじゃん

サナ

その子が提案してくれる時に、すでに周りに人がいたって

サナ

5人くらいはいたよ

ヨウヘイ

そんな...

ヨウヘイ

俺、明日から大学行けねーよ...

サナ

まあ、自業自得でしょ？

サナ

恥かいて、後悔しな

～後日談～

サナ

ヨウヘイは、男子に演技で騙されていたことが恥ずかしすぎたのか、

サナ

その後、1週間くらいは学校に来ませんでした

サナ

ヨウヘイが学校に着た後も、友人たちはヨウヘイのことを笑いものにしており、

サナ

ほとぼりは冷めていなかったようです

サナ

私は、ヨウヘイが最終的に恥ずかしい思いをすることになり、

サナ

すごく、スカッとしています

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結城　真矢

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