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シロクロのセカイ

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シロクロのセカイ

15 - 14. 「シロクロの、セカイ。」

♥

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2025年10月02日

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コガネ

……アメ。

コガネ

私は、現世にあまり期待を
残していないんだ。

アメ

え?

コガネ

私の人生は、散々だった。

コガネ

両親を殺されてから、
復讐に燃えて爺さんの人生の
すべてを奪い続けた。

コガネ

今日は、それに終止符を
打とうと思うんだ。

言っている事が理解できたのか アメの顔がみるみる青ざめていく。

靴のまま海に入ると、 歓迎するかのように波が押し寄せた。

アメ

コガネさん!?

アメ

嫌です!
俺まだコガネさんと
話したいことが!!

アメ

俺はまだ、

アメ

俺はまだ!
この世界を貴方に教えてほしいです!

コガネ

……。

ああ爺さん、

この子は本当に私にそっくりだ。

爺さん、私は悔しいよ。

貴方がこの子の成長を、 この姿を見られなくて。

コガネ

アメ。

コガネ

君はもう、
この世界の正解を知っているよ。

アメ

そんな、俺はまだ何も……。

コガネ

……アメが思っている以上に
私は立派じゃない。

コガネ

シロの世界の落ちこぼれってだけ。

コガネ

でもアメは、
シロの世界もクロの世界も
知っている。

コガネ

君が、この”シロクロのセカイ”の
中間地点になるんだ。

アメ

っ……コガネさん。

コガネ

大丈夫。

コガネ

アメならこの世界をより良くできる。

アメ

……もう、戻れないんですか?

コガネ

……うん。

できることなら、戻りたいよ。

できれば、爺さんが居た頃に。

あの頃見た世界は、

今まで見たどんな世界より真っ黒で、 輝いていた。

コガネ

私ね、気づいたんだ。

コガネ

爺さんが、人生で一番
大切にしてたもの。

アメ

爺やが?

コガネ

……それはね、
アメの平和だよ。

アメ

俺の、平和……?

コガネ

きっと爺さんは、
私が老衰するまで
生き続けると思っていた。

コガネ

だから、私にアメを託した。

コガネ

でも、私の人生はここで終わり。

コガネ

そして、アメがこの世界を継ぐ。

コガネ

最高の爺さんへの
嫌がらせだと思わないかい?

コガネ

……アメ!

コガネ

自由に生きるんだよ!

アメ

コガネさん待って!

アメ

俺はまだ──

アメ

俺は!

コガネ

Goodbye.

コガネ

Goodboy.

コガネ

……Goodnight!

海の中の砂に潜った足に 力を入れ、跳躍する。

アメが何かを叫んでいるのを 聞きながら、海の中に身を委ねた。

あれから、数日が経った。

数日前あんなに楽しそうに 笑っていたコガネさんは、 小さな箱の中に収まってしまった。

イオリ

……いい夢見てね、コガネ。

あんなに泣き叫んでいた俺たちも、 すっかりなく気力すら無くしてしまった。

ハルト

……これが、本当に
正しかったのかな。

アメ

……コガネさんからしたら、
正しかったんじゃなかったんでしょうか。

ハルト

……アメ。

ハルト

これからどうするの?

アメ

俺は……。

横に立っているアゲハの 袖を掴む力が強くなる。

アメ

……コガネさんの仕事を
継ぎます。

アメ

助けてもらったので、
最後までコガネさんの
嫌がらせに、
付き合ってあげたいんです。

アメ

それに、アゲハも。

アメ

俺が責任を持って、
面倒見たいんです。

ハルト

そっか……イオリちゃんは?

イオリ

私はアメに着いていきます。

イオリ

ハルトさんの次に
コガネを知る者なので。

イオリ

コガネが残した大事な人を、
コガネの望む方へ育てようと思います。

イオリ

コガネの望む平和を、
完璧に残し続けたいんです。

ハルト

……そっかぁ。

ハルト

二人共、成長してて安心したよ。

ハルト

じゃあ俺も、政府監視官として
頑張りますかね。

イオリ

……よろしくね、ハルトさん。

ハルト

……サトミとハルヒと、
コガネのためだから。

アメ

……皆で乗り越えましょう。

アメ

失ったものは、
戻りませんから。

アメ

……あ、桜。

アゲハ

綺麗だね。

アメ

春だね……。

あれから、5年が経った。

アゲハの知能は桁違いだった。

吸収が早く、 何でも覚えた。

コガネさんが居なくなって、 全てが変わってしまった。

ハルト

……うん、体に異変はなし。

ハルト

ごめんね、経過観察に
付き合わせてしまって。

アメ

いえ、これでこの先
年齢飛躍が現れた子たちが
救われるならお安い御用です。

20歳、実際には15歳になってからすぐ、 また年齢飛躍が現れた。

5年分の記憶と知能が、 存在しないはずなのにそこに存在する。

ハルト

最初はね、
アメが生まれたこと、
あまり喜べなかったんだ。

アメ

えっ?

ハルト

……ハルヒが生まれなかったことを
考えるとね。

ハルト

でも、コガネを見ていると、
そうも言えなかったんだ。

ハルト

…………。

コガネ

ねえ、ハルト。

ハルト

何?

コガネ

……命って、あんなに可愛いんだね。

あの日、コガネが涙を流した。

命の尊さに、感化されて。

コガネ

ごめん、ハルトの前で
こんな事を言うべきじゃないのは、
分かってるんだ……。

ハルト

……いいよ、
言いたいように。

コガネ

……生まれてはじめて、

コガネ

小さくて弱い命を、
優しく包み込んであげなきゃって
思った……。

コガネ

私はあの子を、愛してあげたい……。

アメ

コガネさんが、
そんな事を……?

ハルト

きっと、サトミのこと
色々抱えてたんだと思う。

ハルト

でも、君のおかげで救われたよ。

ハルト

ありがとう、アメ。

アメ

……どういたし、まして?

ハルト

うん、それでいいんだ。

アメ

……俺もいつか、
コガネさんみたいになれるかな。

アゲハ

なれるよ、アメなら。

アゲハ

雨は、世界中に降るでしょ?

アゲハ

だから、アメも、
きっと世界を見通せる人になる。

アメ

……ありがとう、アゲハ。

アメ

俺は、コガネさんの作れなかった
完璧を作りたいんだ。

アゲハ

コガネさんの作れなかった
完璧って?

アメ

シロとクロが、
平和を保ち合う──

シロクロの、セカイ。

ひた、ひた、ひた。

裸足のまま何もない闇の中を ただ歩き続ける。

コガネ

……ゲツ。

懐かしい声に振り返る。

恨めしくも愛していた、 その人の姿はそこにあった。

ゲツ

待っててくれたの?

コガネ

ふん、
三途の川を一人で渡るのは
寂しく見えるから
相手を探してただけじゃ。

ゲツ

……じゃあ、そういうことにしとく。

ゲツ

ねえ、爺さん。

コガネ

ん?

ゲツ

来世は一緒に死んでくれる?

コガネ

……巡り逢えたら、
考えてやらんこともない。

ゲツ

そっか。

ゲツ

ありがとう、コガネ爺さん。

コガネ

……よく頑張ったな。

コガネ

儂の娘。

短い間でしたがお付き合いいただき ありがとうございました!

「シロクロのセカイ」 如何だったでしょうか?

本編については以上になります

もしかすると別で番外編とか 出すかもしれませんので よければこれからも長らくお願いします

Thanks for reading!

Akuya.

シロクロのセカイ

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コメント

1

ユーザー

コガネさん😢😢😢😢😢 相変わらずイオリちゃんは可愛いしもう😢😢😢😢 完結おめでとうございます!!!!

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