月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんはUターン! ・赤桃メインです(青黒、白水要素もあり) ・不器用最年少と泣いちゃうリーダーが出てきます ・nmmn
月見。
月見。
月見。
出会いは、俺がまだ高校生の時。
歌うことが好きだった。ただそれ以上もそれ以下もない俺の手を引っ張って、次々新しい景色を見せてくれた彼。
どんな景色を見る時でも、近くでその桃色の髪が揺れていた。
深く考えることもせず、好きだな。なんて初めて感じたのは、いつのことだっけ。
天才ぴよぴよ最年少、なんて自称してる俺だけど、存外不器用で。
いつも隣で笑ってくれる、俺に積極的に絡んで来てくれる彼が胸に抱く不安なんて、気付けなかったんだ。
ないこはうす。特にいれいすでの用事があった訳ではないけど、やっぱりメンバーは暇になるとここに集う習性があるらしい。
白
黒
白
喧嘩勃発寸前に見えて、同じソファに座り仲良くゲームをしている白黒組の2人。今日は青組の2人がそれぞれ用事でいなく暇らしい。
桃
赤
桃
出た、ないくんのお兄ちゃんモード。
最近お兄ちゃんノリしてくること多いなぁ、なんて呑気に思いながら、はいはい、とその話を聞き流す。
赤
桃
白
黒
桃
白
黒
楽しそうに話す3人の会話を聞きながら、スマホの画面をスクロールする。あ、この服良い。欲しい。
値段と評価を見て無事に商品をカートに追加したところで、でもさ〜、と初兎ちゃんが声を上げた。
白
桃
赤
桃
赤
黒
白
初兎ちゃんがいじるように聞いてくる。当たり前のことを聞くなぁ、なんて思いながら、俺はスマホを見たまま答えた。
赤
黒
白
雑だっただろうか。でもまぁ良いだろう。もう分かりきってることなんだから。
桃
白黒の2人が一足先に帰って行った。なんでもこの後ご飯を食べに行くんだとか。あにきの奢りで。
初兎ちゃんあにきに奢ってもらうの何度目だよ、なんて思いつつ、あにきも大概初兎ちゃんに甘いよなぁなんて呑気に考えた。
今日はまだ浮上していなかったツイッターに何をツイートしようか考えていると、ないくんの声が耳に届いた。
桃
赤
桃
赤
改まってどうしたと言うんだろう。
顔を上げてみれば、ないくんはなんだかいつもと少し違う顔をしていた。
赤
平然と答える。改めて言うまでもないと思いながらも、この気持ちは嘘じゃないし。
あ、ツイートの内容思い付いた。
そうしてスマホに文字を打ち込んでいる俺は、気付かなかった。この時のないくんが、どんな表情をしていたのかを。
翌日。
いつも通り朝起きて、俺はスマホを確認した。
赤
そして、違和感を感じる。寝ている間に届いた通知を何度か確認するも、そこに彼の名前は無かった。
・・・いつも、朝起きるとないくんからのLINEが入っているのが当たり前だった。おはようの挨拶だけの時もあるし、今日はこれをするんだとか、何処に行くんだとか、時にはここに行かないかと言うお誘いのLINEが入っている時もある。
まだ寝てるんだろうか。まぁ今日は休日だし、有り得ないことはない。
それでも、朝起きて彼のLINEに返信するのが最早日課と化していた俺は、なんだか落ち着かなかった。
・・・それからいくら待っても、午後になっても、その日ないくんからの連絡は無かった。
何かあったんだろうか、なんて心配の気持ちは湧き上がって来たが、考え過ぎか。そういう日もあるよな。なんて自分に言い聞かせて、特に俺から連絡することはなかった。
変に俺から連絡して、催促している感じになってしまったら困るし。
そう考え、平凡な日の終わりに眠りについたその翌朝も、彼からの通知は無かった。
黒
突然家を訪ねた俺を前に、中から出て来たあにきは驚いた様子も無くそう言った。
赤
意味深な発言の意図に、眉を顰める。
赤
黒
あにきは答えなかった。無言は肯定と受け取るべきか。
黒
赤
あにきからの質問に、思わず言葉に詰まる。俺が返答を考えていると、あにき、と違う声がした。
そう言えば、靴が2人分ある。
リビングへの扉から姿を現したのは、見慣れた青髪。
青
黒
青
黒
青
ったく・・・。と呆れ顔を浮かべつつ、あにきはまろと交代するようにリビングへと消えて行った。
残された空間が嫌に気まずい。さっきのあにきの問いかけと言い、2人の会話と言い、一体なんだと言うんだ。
青
赤
青
赤
分かってたら、ここにいない。
そんな少し捻くれた答えが思い浮かぶ中、俺は黙っていた。何度考えてみても、理由は分からなかった。
青
赤
甘え過ぎ?・・・まろは何を言ってるんだ。
心底訳が分からず、顔を顰めた。まろは真っ直ぐ俺を見据えてくる。
青
赤
考える。毎日会う訳じゃないから毎日直接伝えるのは無理にしても、俺から好きって伝えたことは。
赤
考える、考える。
俺から好きって言ったこと、あったっけ。
いつもないくんが好きだって言ってきて、それに対して俺もとか、俺も好きだよって返したことはあるけど。
・・・俺から言い出したことは?
考えてみれば、付き合い始めたきっかけだって、先に気持ちを伝えてくれたのはないくんだった。
はぁ、と溜息が降ってくる。
青
赤
青
赤
青
赤
青
赤
この間の記憶が蘇る。図星だった。
青
赤
俺は、何も分かっていなかった。
彼に対する俺の気持ちなんて、とっくの昔に伝わって、お互い分かり合っているものだと。俺の気持ちなんて全部伝わり切っているものだと、思っていた。
でも、違うんだ。いつも俺に沢山の愛を届けてくれる彼は、その裏で。
・・・その笑顔の奥底で、どんな不安を抱えていたんだろう。
赤
青
赤
早く会いたい。会って、謝罪よりも何よりも先に、彼に伝えたい。いつも胸に溢れてるこの胸いっぱいの気持ちを。
青
赤
てっきりここにいるものだと思っていたのに。
ここに来る前に行った本人の家にも、彼の姿は無かった。
赤
青
その言葉を聞いて、俺は別れの挨拶も程々に走り出した。
黒
青
黒
かわええやん、と悠佑が声を漏らせば、Ifは聞き捨てならないという様子で口を開いた。
青
黒
青
黒
大声で言い切れば、悠佑はぐっと黙り込む。その耳が赤くなってることも、嫌そうどころか嬉しそうな顔をしてることも、Ifは分かっていた。
黒
青
その言葉に、パァッと明るくなる表情。
こういう時の彼の言葉が、凄く嬉しいから。この時間が大切で幸せだから。
何より、彼が大好きだから。
Ifは伝え続ける。自分の気持ちを。彼への愛を。
彼女を不安にさせるだなんて、そんなことは死んでもしないと胸に誓っているのだ。
水
桃
白
困った状況に、僕は考えた。どうしたものか。
ボロボロと涙を流しながらも泣いてないと言い張るないちゃんと、そんな彼をどうにか泣き止ませたいと奮闘するがどうすれば良いか分からずずっとおろおろしているいむくん。
この状況で僕に何が出来ると言うのか。なんとも居た堪れない気持ちに襲われる。でもいむくんをここに1人にするのも可哀想だし、だからと言って今のないちゃんに僕が出来ることなんて・・・。
白
手の中のスマホが振動し、画面を明るく照らし出した。
その画面に表示された通知を見て、僕はふっと表情を緩めた。
・・・なんだ、大丈夫そうじゃないか。
水
泣きっぱなしのリーダーを見て、とうとういむくんまで泣きそうになってしまっている。涙脆い上に釣られやすいんだから全く。
白
水
顔を上げたいむくんが、眉を下げてないちゃんを見つめる。彼の言いたいことはよく分かった。
白
水
申し訳無さそうな顔でないちゃんにそう言って、いむくんが僕の方へと駆け寄って来る。やっぱりいむくんは優しいな。
水
白
そう言っていむくんを部屋から連れ出して、僕はそのまま家を出た。
水
いむくんが首を傾げる。そんな彼に、僕はさっきの通知を見せた。
水
その文面を読んだいむくんの目が丸くなって、そして、安心したようにその表情が柔らかくなる。
水
白
水
白
水
白
そう話しながら歩き出した僕らの目線の先に、確かに赤い髪が見えた。
桃
ぐすぐすと情け無く鼻を鳴らして泣く。成人済みの大人がこんなにボロボロ泣いてみっともないと思いながらも、涙は止まってくれない。
いむしょーは何処かに行ってしまったし、ここには1人。今更抑える必要も無かった。
・・・今まで、不安を抱いていない訳じゃ無かった。
一方通行的な愛。俺が告げる言葉の数々を、りうらはいつもはいはいと受け流す。
好きだよという言葉には俺も、と返してくれるし、時にはちゃんと、俺も好きだよと返してくれる日だってある。
でも、それはいつも俺から言い出した時で。
りうらから先にその言葉を伝えてくれることは、ほぼ無かった。
考えないようにしていた。りうらは俺に嫌な顔をしないし、俺はりうらが本当に好きなんだから、その気持ちを伝えてるだけ。欲張るな、何も問題は無いだろう。そう、自分に言い聞かせていた。
でも、この間のあにき達との会話で、嫌でも改めて感じさせられた。
りうちゃんないちゃんのこと本当に好きなん〜?(笑)
その言葉を聞いた時は、思わず固まってしまった。
その後りうらは、なんで返していたんだっけ。スマホを見ながら、好きだよと棒読みっぽく言っていた気がする。
そして白黒の2人が帰った後、計り知れない不安に襲われた俺は、ついいつもとは違う雰囲気を醸し出してりうらに好きだと言ってしまった。
それに対して、りうらは不思議そうな顔をして平然と口を開いて。
俺もだよ
喜ぶ、べきだった筈だ。好きだと告げた言葉に、俺もだと返してくれたんだから。嬉しく思えば良かったのに。
その瞬間、俺の中で何かが崩れた音がした。
満たされない心にぽっかりと穴が空いて、次第に広がって行くような。
・・・じゃあ俺は、彼になんて言って欲しかったの?
すぐにスマホへと視線を戻してしまった彼に、俺は。
いつもは何も考えずとも朝起きてすぐにLINEを開くのに、その次の日はどうも送る気にはなれなくて。
いつもと違う状況に、もしかしたらりうらから何か送られてくるかと思ったが、その日俺のスマホが彼からの通知を知らせることは無かった。
桃
濡れた声で彼の名前を呼ぶ。ここには誰もいない。
自分は彼に何をして欲しいんだろう。何を言って欲しいんだろう。
ただ、寂しい。不安で、苦しい。
それより先の言葉なんて何も思い付かないのに、この口はひたすらに彼の名前を呼ぶ。
桃
赤
一瞬の間。俺の頭は上手く働いてくれなかった。
突然響いた声の主が俺の目の前にしゃがみ込むまで、そのまま動くことが出来なかった。
赤
桃
顔を覗き込んでくる彼に、呆然とする。
どうして、ここに。
赤
りうらの細い指が俺の涙を拭い取る。中々止まってくれないからそんなことしても無駄なのに、彼はしっかりと涙を拭ってくれる。
桃
そして、次の瞬間には俺の体はりうらの腕の中にあった。
桃
赤
目を見張る。りうらがどれだけ丁寧に拭ってくれても止まることがなかった涙も、思わずその勢いを無くした。
赤
桃
折角止まった涙が、更に勢いを増してぶわっと溢れた。
しっかりと重みがある響きを持った彼の声が、俺の耳に届いて。
赤
桃
優しい彼の、真剣な声。
彼が紡ぐ言葉一つ一つが胸に染み込んで、じわりと温かさを生む。
桃
赤
桃
赤
流れる涙は、さっきまでの涙とはまるっきり意味が違っていた。
いつの間にか、心に空いた穴は埋まっていた。
空っぽだった胸が、彼からの愛で満たされて。
桃
色々うじうじ悩んでいたのが馬鹿らしくなるくらいで、俺は満面の笑みを浮かべた。
彼の口からその言葉を聞いたら、俺だって伝えたくなってしまった。
何も、不安になることなんてないんだ。
俺とりうらは、いつもお互いに同じ気持ちを抱いている。こんなにも胸を満たす幸せな事実があるだろうか。
俺はこれからもずっと、りうらにこの気持ちを伝えよう。どれだけ伝えても伝え切れない、この大切な気持ちを。
コメント
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この作品、何回も何回も読ませて頂いております🙇 何回読んでも最初の恋愛不器用最少年に思ってしまいます、「この鈍感男め!!」だってねー、恋びとの気持ちが分かってなさすぎてもう桃さんが可哀想、桃さんが水白(白水?)宅で泣きじゃくってたた時の桃さんの心情、「みっともないとは思いながらも涙は止まってくれない」これが泣き虫は私と通づるものがあり感情移入が凄かったです。また「…じゃあ俺は彼に何て言って欲しか
初コメ(多分)失礼します🙇♀️ コメント、コメントしよう…!!!ってずっと思ってたんですけどどの作品も最高の物しかなくて…特に大好きな赤組のお話にコメントさせていただいてます…!!!! そして、フォロー失礼します😊 こんなにも神作品がたくさん…月見。さんの作品ほとんど読ませていただいたんですけどもう1回読んできます…青桃大好き勢なんですけど月見。さんのおかげで今とてつもない青黒ブームにハマってます