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岩本side

俺が言葉を発した瞬間、

翔太の力が一気に緩まる。

翔太の脱力は確かだった。

それでも俺は、

言葉とは裏腹に翔太を離さない。

渡辺翔太

今、なんて...、?

言いたくない。

でも...

岩本照

別れようって。

渡辺翔太

...いや、なんで?

渡辺翔太

なんでよ。

渡辺翔太

今、
俺の事好きって言ったじゃん。

岩本照

好きだよ。

岩本照

好きだから、なんだよ。

渡辺翔太

ねぇ離して。

渡辺翔太

ちゃんと顔みて言えよ。

岩本照

ごめん、見れない。

翔太の顔を見たら

別れの言葉なんて、 言えなくなってしまう。

だってまだ好きだもん、翔太が。

渡辺翔太

ふざけんな。

渡辺翔太

離せ。

岩本照

やだ。

渡辺翔太

離せって。

岩本照

やだ。離れない。

渡辺翔太

離せこの馬鹿...!

岩本照

離さない。

岩本照

離したくないよ、
俺だって...っ、!

岩本照

離したくないけど、
でも...っ、

離さない≒離れない

俺の頭の中では、

その言葉が、 ぐっちゃぐちゃになってた。

これ以上言葉が紡げない。

それくらいいっぱいいっぱいだった。

渡辺翔太

なにそれ意味分かんない。

渡辺翔太

好きなのに別れるってなに?

渡辺翔太

一生かけて、
幸せにすんじゃねーのかよ...っ、

抱きしめている翔太の肩が揺れる。

翔太は泣いていた。

それはいつかの夜、

俺が初めて

翔太を、 抱きしめた時の感覚と同じだった。

苦しくて、辛くて、痛い。

だけど、 冷静に考えて精一杯の言葉を紡ぐ。

岩本照

俺じゃ翔太を、
一番な幸せ者に出来ない。

岩本照

ごめん、翔太...っ、

うるさい、と胸板を殴ってくる翔太。

それでも構わない。

いくらうるさいと言われても、

翔太に幸せになって欲しい気持ちは、

決して変わることはなかった。

最後に翔太を力一杯抱きしめて離す。

岩本照

翔太、聞いてくれる?

渡辺翔太

やだ無理聞かない。

岩本照

舘さんは、
二股なんかしてない。

岩本照

舘さんは、
今でも翔太が好きだよ。

岩本照

だから、俺じゃなくて...、

舘さんと幸せになって。

とはやっぱり言えなかった。

岩本照

今までありがとう。

岩本照

じゃあね、翔太。

渡辺翔太

馬鹿なこと言うな!

渡辺翔太

俺はお前が...
お前じゃなきゃ...っ、

そんな声が聞こえるけど、 振り向かない。

振り向いてしまえば、

もう二度と離せなくなる。

だから、振り向かない。

時刻は20時9分。

俺は、 翔太に別れを告げてリビングを出た。

玄関先には舘さん。

俺達の雰囲気を察して、 待ってくれていたみたいだ。

宮舘涼太

照...

岩本照

あとは頼むわ、舘さん。

この一ヶ月、何度も二人で話した。

翔太にとって、 なにがベストな選択なのか。

翔太が、 一番幸せになれる選択はどれか。

舘さんは、

翔太は俺と、 一緒になるべきだと主張した。

だけど俺は、その逆を主張した。

翔太の心の中に、

舘さんがいることを 分かっていたから。

二番でもいい、

なんてかっこつけていたものの、

やっぱり、 翔太の一番じゃないのは辛かった。

そしてなにより、

翔太を幸せに出来るのも、 舘さんだけだった。

宮舘涼太

ありがとうね、照。

岩本照

全然。

舘さんの肩をトン、 と叩いて玄関を出る。

舘さんにバトンタッチだ。

あとは舘さんと翔太の空間。

俺が入っていい所じゃない。

岩本照

こりゃ、
康二にぼこされるわなぁ。

冷たい風に白い息。

それに紛れるかのように、

目から溢れる涙。

一生分の一ヶ月。

これから先、

一生引き摺っていく、

ひとつの愛だった。

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