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ローゼ博士
ローゼ博士
ぶつぶつと悪態を零しながら、 ローゼは研究所の廊下を歩いていた。
研究員
ローゼ博士
ヴァローナの家から徒歩二十分ほどの場所に、ローゼが勤める研究所はある。 普段、ヴァローナは学園の寮を利用している。 一方でローゼにとっては、職場とヴァローナの家が近い。 そのため、ふたりが恋人になるよりも前から、泊まりで家を使わせてもらうこともあった。 更衣室へ入ったローゼは、不機嫌なまま白衣に袖を通す。 ロッカーから必要な物を取り出し、乱雑に荷物を整える。 しかし、部下たちはそんなローゼの態度にも慣れているのか、特に調子を変えることなく話を続けた。
研究員
研究員
半年前から始まった、科学界の特設番組。 様々な研究者や学者たちが議論を交わし、時には実践を交えながら、学生にも分かりやすい形で討論を行う。 簡単に言ってしまえば、教育番組だ。 世界中から寄せられる支援によって予算が成り立っているため、企画の自由度は異様に高い。 つまり、やりたい放題である。
研究員
ひとりの研究員が声を弾ませる。
研究員
研究員
研究員
ローゼの手が止まる。 研究員たちは気付かない。
研究員
研究員
バタンッ!!
ロッカーの扉が、研究室内に響くほどの音を立てて閉まった。
研究員
一斉に口を噤む。 ――ローゼさんが、すっごい不機嫌。 誰も口には出さない。 しかし、研究員たちの考えていることは、おおよそ同じだった。 『犬猿のライバルであるヴァローナが先に結婚したという事実に、また対抗心を抱いているのではないか』 実際、ローゼ派の研究員たちの間では、そんな議論まで密かに交わされていた。 否。 当人、ローゼこそがソルトである。 もちろん、その事実をここにいる誰も知らない。
ローゼ博士
誰にも聞こえないほどの声で呟き、ローゼは小さく溜息を零した。
研究員
ローゼ博士
研究員
揃った声に見送られ、ローゼは研究所を後にする。
コメント
1件
「ローゼ博士と世間」、読み終えました。研究員たちの騒ぎと、当のローゼ博士の不機嫌が絶妙に噛み合わない感じが面白かったです。みんなが「ライバル心」と誤解してるけど、その正体はまったく別なんですよね。本当のことを誰にも言えず、ひとりで溜め息をつくシーンがじんと来ました。アイドルとしての顔と研究者としての顔、その両立の難しさみたいなものがにじんでいて、続きがすごく気になります。