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沙希
私が死んで、45日目。 放課後といえる時間は過ぎて、すっかり日は落ちているのに、屋上には私1人。
沙希
忘れた方がいい。 そう言った。言ったのは私。 でも胸の奥は重く苦しく沈んでいて、つい視線は律を探す。
・・・うんまあ、来ないよね。 昨日あんな酷いこと言ったわけだし。私なら来ない。 ふうと息をついた時、扉の開く軋んだ音がして思わずビクリと跳ねた。
沙希
由香里
律じゃない! 思わず、死角に隠れてしまう。 見えるわけないのに、バクバクと心臓はうるさくて。
由香里
・・・見えてない。当然だけど。 よく見れば彼女は私の隣の席の親友・・・とまでは行かないけれど親しい友人の由香里だった。
沙希
由香里
私を探している。 でも彼女の前に出て明るく挨拶する余裕なんてないしびっくりされるだろうし。 そのままじっと息を凝らして様子を伺う。
由香里
彼女は下げていたカバンから小さな何か・・・あれは花束、だろうか。そういえば家は花屋だって言ってたっけ。 それをひっそりと供えて、彼女は手を合わせた。
由香里
・・・あの事故、手すりが老朽化で壊れてからここは入れなくなっていた。その目を盗んで、花を持ってきてくれたのだろう。 ざわつく胸をぎゅっと押えて私は目をつぶった。
由香里
沙希
気づかれた? 冷や汗が背中を伝う感覚がする。 けれど彼女は幸い周りを探したりすることはなく、屋上から静かに立ち去って言った。
沙希
供えられた小さな花。 それを見て、罪悪感が胸を満たす。 気づくとボロボロと涙が零れていた。
沙希
あと少し あと少しだけ。