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チャイムが鳴り響き、教室は一気にざわめきに包まれた。
放課後の空気は、昼間の緊張から解き放たれた自由さで満ちている。
田口 美柚
美柚が机に腰をかけ、期待に満ちた目でこちらを覗き込む。
綾海 杏果
田口 美柚
藤田 葵羽
葵羽が笑いながら言うと、梨生奈が小さく肩をすくめた。
富山 梨生奈
綾海 杏果
友達の優しさが胸に刺さる。
本当は「青い花畑に行ってるの」と答えたい。
けれど、その言葉を口にすれば、祐紫のことまで話さなければならなくなる。
だから、杏果は曖昧な笑顔でごまかすしかなかった。
夕暮れの光が教室の窓を赤く染める。
ふと、その色に祐紫の横顔が重なった。
──ねえ、杏果。青ってさ、落ち着く色なんだよ。
だから俺、この花が好きなんだ。
記憶の中で、祐紫の声が響く。
その声はあまりにも鮮明で、今も隣にいるように錯覚してしまう。
内山 朝晄
気づけば、朝晄がすぐ近くで立っていた。
内山 朝晄
綾海 杏果
内山 朝晄
短い言葉に、杏果は一瞬返事を失った。
けれどすぐに笑って見せる。
綾海 杏果
カバンを抱え、教室を出る。
廊下を抜けると、夕陽に照らされた影が長く伸びていた。
その影の隣に、もう一つの影を探してしまう自分が、まだそこにいる。