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前回のあらすじ

第二の父である蓮海を何者かによって殺害された灰谷は、塔と別れ、それに関わっているであろうテロ組織『ノガルディロ』を全員殺害するべく、銃を片手にある場所へ向かっている。

第五話『情報』

 暗い路地を歩く灰谷、ふいに立ち止まる。

灰谷

ここか

 一見普通の鉄の扉に見えるが、そこには松の模様が描かれていた。

 扉を開けると、中は和室のようになっていた。天井から和紙灯籠が吊るされ、淡い光で空間を照らしている。

灰谷

……灯籠って吊るすモンだったか?

 靴を脱いであがり、座布団に座る。

???

オシャンティーで良いだろ?w

 真後ろから呼びかけられる。

灰谷

……こんばんは

 その人物は灰谷の前に腰を下ろす。松の柄の着物に、深みがかった緑の髪と目の男だった。ニカっと歯を見せて笑う。その無邪気な笑みは、灰谷の警戒を一瞬緩ませた。

???

うぃーすうぃーす!こんばんは~

灰谷

(コイツが本当にあの……?)

灰谷

……勝手にあがって申し訳ない。ドアが空いていたもので

???

いーんだよ、一応ココ、『情報のお店』だからな!

???

ところでどちらサマ?

灰谷

灰谷 紫煙です

???

俺は『松ノ君』、裏じゃ、魔法使いやら占術使いやら呼ばれてる

松ノ君

紫煙……しえん……シェンって呼んでもいい?

灰谷

はぁ……。どうぞお好きに

松ノ君

おー!んじゃあ……

灰谷

……

松ノ君

シェンくん……

 場の空気が一瞬にして変化する。

灰谷

……!

 灰谷は空気自体が痙攣しているような感覚を覚えた。松ノ君の顔に影が差した。

松ノ君

用件を聞こうかな?

一方その頃、警察では、ノガルディロのテロ対策について会議が行われていた。

警視庁・異捜課

 すると突然、会議室に何者かが入ってきた。それに続くように何人もの刑事たちが入室する。

鬼田

なっ!?今は会議中……

 鬼田を押し退け、会議室の中心に立った。

羽々

会議は一旦中止だ!

鬼田

お前……いきなり来て何なんだッ!

 騒ぎが起きる中、一人眠っている者がいた。まさかの超熟睡、塔だ。

 流石にマズイと、隣にいた夏鳴は塔の肩を叩き、小声で呼びかける。

夏鳴

おい塔!おい!!

んん……灰谷サン……

夏鳴

灰谷さんじゃねえよ!カナリンだよ!

 塔はまだ寝ている。

ん……大人になってそのあだ名はキツいですよ……

夏鳴

なんで寝ながらツッコめるんだよ!あとうるせぇ!

 塔がやっと起きた。

うるさいですね……人がせっかく!いい夢見てたのに……

夏鳴

そんないい夢だったんだな、ハイこの話終わり!さっさと前向け!!

前……?

 羽々は大きく息を吸い、声高らかに話始める。

羽々

今朝、我々1課にタレコミが来た。ご丁寧に映像といっしょにな。その内容はこうだ

羽々

異捜課の人間が人を殺した。とな

鬼田

な、なにを適当な……

羽々

そうして教えられた場所に行ってみたらどうだ、人が死んでいるではないか!

誰か、やらかしたんですかね

夏鳴

最近、ここも少しはホワイトになって、辞めるヤツも少なくなったのになぁ~。辞めたやつに足引っ張られるのか

羽々

ここに塔という男はいるか!

は、はへっ!?

 塔は反射的に立ち上がる。羽々が塔に威圧するように詰め寄った。まるで鬼いや、鬼そのものだ。

(美人って怒ると怖いって言うけど、人間すら超えたりするんだ怖)

羽々

ハハ、なんだ?ここはガキを入れてもいいのか?

はい……?

いやガキじゃないですが!?ちゃんとした大人ですが!?

 羽々は塔の肩をポンポンと何度も叩きながら笑った。そしてそれを見て夏鳴はドン引きしていた。

夏鳴

(こっわぁ……)

羽々

これは騙されるのも無理はないな

え?

羽々

殺人鬼にまんまと騙され、影を潜める為に使われていたのか!クッハハハハ!!これは傑作だ!

あの……さっきから何を言っているのか全く……

羽々

犯人はお前が何年も共に過ごしてきた人間……

そ、それって……

羽々

ああ、灰谷だ

再び、場所は灰谷の元へ。

松ノ君

つーわけでよ。シェンくんの行動は監視されてるってコト

灰谷

まだ用件すら言っていないんだが……

 場面が変わっている間、と言うより場面が変わった瞬間、突然松ノ君はこの話を始めていた。

松ノ君

今パーッと頭に浮かんだからさ、先に伝えておいた方がいいかなーってw

松ノ君

ね?

 またもや松ノ君から殺気のような圧が放たれる。

灰谷

……そろそろ、その圧をなんとかして頂きたいのですが……恐ろしくて話だそうにも話せない

 しかし、松ノ君はまるで聞こえていないかのように話し始める。

松ノ君

俺はな、シェンくんの事、結構気に入ってるんだ。だから死んでほしくないってワケよ

灰谷

ですからまず用件を……

松ノ君

俺への用件ってのはつまり、商談ってことだ。んで、俺がやってる事は?

灰谷

情報屋ですが

松ノ君

シェンくんが求めている情報を今、当ててみせよう。某テロ組織のアジトだろ?

灰谷

……はい

松ノ君

よっしゃーい!

灰谷

(今更驚きはしない。これが情報屋だ)

灰谷

(なんだが……何故こんなにも、俺が依頼する事を拒むんだ?向こうにはメリットしかないハズ……)

松ノ君

だーかーら!死んでほしくないからだよ!

 灰谷の心の声が聞こえたかのように、松ノ君が言う。

松ノ君

いいか?シェンくんの今の状況は、袋のネズミそのものなんだよ。警察に追われ、テロ組織に目ぇつけられて……

松ノ君

何よりな?今のシェンくんは自分を失ってる。それが一番マズイんだよ

灰谷

……と言うと?

松ノ君

俺がこのまま情報あげて、んでアジト行って、文字通り蜂の巣になってハイ終わり

灰谷

……商談はしないんですね?

松ノ君

どうしてもって言うなら、俺も妥協するかもしれんな~。けど、少なくとも今のシェンくんには無理だね

灰谷

そうですか……なら……

 灰谷は銃に手を伸ばす。が灰谷が掴んだのは空気のみだった。

松ノ君

ひよっとして、今探してるのってコレ?

 松ノ君が銃をひょいと取り出し、トリガーガード(引き金の周り、輪のような部品)に指を通し、くるくると回す。

灰谷

チッ!

 灰谷は身構える。攻撃されると思ったからだ。しかし、一向に鉛玉が飛んでくる気配はない。

 灰谷が目を開けると、目の前にあったのは銃の持ち手だった。

松ノ君

うい、返却~

灰谷

……は?

松ノ君

はぁ~……気に入ったヤツを殺すバカがどこにいるかつっーの

 そして、どこかから、紙切れを取り出し、灰谷に渡した。

灰谷

これは……電話番号?

松ノ君

VIPにしか渡さないまつくんの電話番号だぜ!

松ノ君

まぁ、また商談したくなったら来てくれよな。常連客になったら、口が軽くなってポロリ。ってのもあるかもだし!w

灰谷

……ああ、分かった。また来よう

 灰谷は扉を開け、振り返る。

松ノ君

またのご来店をぉ~お待ちしておりまーす!

灰谷

ああ

 扉が閉まり、部屋はしんと静まり返る。と、天井の木材が外れ、何かが落ちてきた。

 ホコリが舞い、視界が悪くなる。

松ノ君

ゴホッゴホッ!あの、さ、登場の仕方はかっけぇよ?でも、ホコリが、ゴホッ!

レフト

申し訳ございません。しかし、良かったのですか?

松ノ君

ん?なにが?

レフト

あの者は我らの敵です。早急に始末した方が……

 ズンと圧がかかる。先ほどまでの灰谷に対する圧の比ではない。まぎれもない、殺気だ。

松ノ君

俺のお気に入りに手出すの?

レフト

いっ、いえ!これは貴方様を思っての事で!!

レフト

『ノガルディロ』幹部

レフト

F・memory様!

 空気が圧から解放される。

松ノ君

マジ?ありがとな!

レフト

有り難きお言葉

松ノ君

まぁ、いいよ。実はね、シェンくんが気づいていない所で、商談はもう成立してるんだ

松ノ君

後はシェンくん、お前次第だぜ

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