妖の学園

そんなこんなの授業終わり、もうお昼ご飯の時間になった。

この時間になると、いつもやって来るヒトがいる

このいかにも陽キャそうな問題児そうなヒトはアメリカさん

カナダくんのお兄さんで、僕らの一つ上の先輩だ

そして、まだご兄弟が3人ほどいるらしい

イタリアの長い手足は背の高いアメリカさんと同じくらい

頬を膨らませて怒ったような顔をしている

ほほう、どうやら嫉妬みたいだ

アメリカ先輩と出会ったのは2週間前で、僕の兄さんの後輩だったらしい

似てたから声をかけたら、ほんとに兄弟でびっくりしたと笑っていたのを覚えている

アメリカ先輩の口元が、若干引き攣っている

イタリアは意外と毒舌だ

いや、まあ意外でもないけど

人のことをよく見てるから、ヒトの嫌がることをよく知ってる

それは僕たちもここ1ヶ月で理解させられたことだ

少し遅れるだけでも、注文できるものはかなり減る

大食いの妖怪だっているし、そもそも食べる傾向が似た妖怪が多いから

食堂につくなり、イタリアは人の多さで食券競争と呼ばれる争いに負けかけていることを悟った

イタリアのように人肉を好む妖怪は本当に多いので、早く行かないと簡単に売り切れる

下手をすれば好きでもない肉や、好まない部位の骨肉を齧ることになってしまうため、彼らにとって重要な争いなのだ

アメリカ先輩のウィザードという種族は、好んで人肉を食べることは少ない

ワルプルギスという特別な晩餐会で出されることもあるそうだが、基本的にはそれ以外の肉や野菜を食べると言っていた

僕の種族も食べられこそするけど、実家が神社だから禁止なんだよね

参拝客を襲ったら大変なことになるからね

恐らく陸兄さんのことなんだけど、これを聞くたびに恐れ多いって気持ちが湧いてしまう…

陸兄さんは意外と短気だし、どれだけ大変だったのか一発でわかるなぁ…

本日の昼食はうさぎ肉のソテー、お米、お野菜のすまし汁！

アメリカ先輩はかなり量が多くて、油物も結構な数が並べられている

よくその体に入りますね、先輩

お盆を持って耳をパタパタさせるイタリアはやっぱりかわいい

にっこにこで僕の隣に座り、一緒に食べるんね！と言った

アメリカ先輩がフォークでイタリアのお皿を狙うから、イタリアは耳を伏せて警戒状態になってしまった

かわいい

イタリアや僕みたいなケモノ系の種族は耳で感情がわかる

自分で言うのもアレだけど、これものすごく可愛いと思わない？

そんな人の多い食堂では、ちょっとしたドラマが起こることもある

…今回は朝鮮兄弟とエリトリアくんみたいだ

韓国とエリトリアくんはクラスメイトで、北朝鮮は韓国の双子の弟さんらしい

韓国はかなりのブラコン 束縛も中々激しい

北朝鮮は上手く躱しているみたいだけど、食堂だと嫌でも会うからこうなることが多い

みんなで仲良く食べればいいのに、韓国はエリトリアくんが北朝鮮と仲良くしているのが気に入らないとよく愚痴っていいる

ちなみに、3人とも人肉が大好物だ

…とまあ、そのような日常の一幕を眺めつつ、僕たちは食事を終えた