蒼弥
……

蒼弥
(これからどうすればいい…)

蒼弥は、コックピットから自分の席に帰る途中、歩きながら真剣に考えていた。
蒼弥
(全座席の下に爆薬って事は…あそこの席も、そしてあそこの下にも…爆薬があるって事になる…)

蒼弥
(そもそも本当なのか…?)

蒼弥はポケットからコインを出し、わざと通路にコインを落とした。
蒼弥
あッ…!

蒼弥
(バッ)

コインは転がり、男性客の座る座席の下へと転がった。
男性客
ん?ちょっとあんちゃん、大丈夫か?

蒼弥
すみません…ちょっと…コイン落としたみたいで…

そこには、蒼弥が落としたコインと、タイマー式の爆薬がセットされていた
蒼弥
!!

蒼弥
(話は本当だったのか…)

蒼弥
(ここでこいつの存在を公に晒しても機内でパニックになるだけだ…)

蒼弥
(爆薬の存在を確認できただけ良しとしよう…)

蒼弥
すみません…

男性客
おぉ。見つかったなら良かったな

陸斗
お?蒼弥?ずいぶんと長ぇ小便だったな

蒼弥
あ、あぁ…

蒼弥
(この席の下にも爆薬が…)

結月
…?蒼弥くん?どうしたの?顔真っ青だけど…

蒼弥
えっ…

陸斗
ほんとだ…めっちゃ顔真っ青じゃん…なんかあったか…?

陸斗
体調悪いとか…

蒼弥
……

蒼弥
(この二人だけになら……)

蒼弥
2人とも…落ち着いて聞いてくれ…

結月
うん…

陸斗
なんだ…?

蒼弥
さっきトイレ行った時…あのフードの奴にトイレで人質にされた…

結月
え、えぇ…!?

陸斗
えぇ!?!?

蒼弥
シー…!でかい声出すな…

蒼弥
それでそいつは…『この飛行機をジャックする』って言ってたんだ…

結月
えっ…飛行機ジャック犯…?

陸斗
やっぱりあいつやべぇ奴だったんじゃねぇかよ…!!

蒼弥
それで…それでなんだが…

蒼弥
この飛行機の全座席の下に…爆薬をセットしている…

結月
ば……爆弾……?

陸斗
ふ、ふぇ…?

陸斗
(バッ)

そこには、自分の席の下にセットされた爆薬があった。同時に、結月、蒼弥の席の真下にもセットされている
陸斗
……これは…

蒼弥
なっ…本当だろ…?

結月
嘘…これ爆発するんじゃ…!

蒼弥
あいつの言う通りにすれば…爆発はしないだろう…

陸斗
そのフードイカレ野郎は今どこに…?

蒼弥
飛行機のコックピットだ…さっき、副機長を撃ち殺して…機長を人質に取った…

結月
えっ…嘘…そんな…

陸斗
てか…なんでお前…そんなこと知ってんだよ…

蒼弥
言ったろ…さっきトイレで人質にされ…そっから少し利用されたんだ…

結月
ねぇ…これからどうするの…!?他の人にも知らせる…?

蒼弥
いや、公には晒さない方がいい…これだけの人数だ…『席の下に爆弾がある』なんて言ったら…パニックになるだけだ…

陸斗
助けは呼べないのか…?

蒼弥
この飛行機の通信装置は全て切られた…機内WiFiもオフラインだ…

陸斗
詰みゲーじゃねぇかよ…

陸斗
だから飛行機になんて乗りたくなかったんだ……

蒼弥
いや…一つだけ手がある…

蒼弥
機内のどこかにある衛星電話を使うんだ…

陸斗
衛星電話…?

蒼弥
あぁ。飛行機が非常事態時に、ネットワークに接続出来ず連絡が取れなくなった場合のための緊急連絡網だ…

蒼弥
衛星電話なら…飛行機のネットワークとは関係なく外部と連絡が取れるはずだ…

陸斗
蒼弥…お前、なんでそんなものがあるって知ってんの…?

蒼弥
…昔は大の飛行機好きだったからな…自分で飛行機のシステムとか機能とか調べてたんだろ…

結月
じゃあ、その衛星電話を探しにいきましょうよ…!

蒼弥
あぁ…だが、目立つような行動をすると奴にバレる…ここは慎重に…

機長
『き、機長の山岡です…えっと…』

機長
『あッ…!』

??
『やぁ、飛行機をご利用の皆様。』

??
『私は、この飛行機をジャックした者だ』

??
『今からこの飛行機は日本に向かう。』

??
『そして、この飛行機の全座席の下に爆弾を取り付けてある』

??
『俺の指示1つで爆発する仕組みだ。もちろん、下手に触ったり動かしたりしても爆発する。』

??
『全員、その場を動くな。また放送する。』

フードの人物による機内放送は、機内の乗客乗務員をパニックに陥れた。
蒼弥
クッ…やっぱりそうなるよな…

結月
蒼弥くん…周りがザワついてる今なら…取りにいけるんじゃない…?

蒼弥
なるほど…ナイスアイデア…!

蒼弥は、座席ベルトを外し、姿勢を低くして通路を歩いた。
男性客
おいあんちゃん…!動くなって言われたろ…!!

蒼弥
……

乗務員室の中で、乗務員たちはパニックになりながらも話し合っていた
蒼弥
…話に気がいっている今なら…

蒼弥は、乗務員室に入り姿勢を低くしたまま近くの壁にかけられた電話を見つける。
蒼弥
『緊急用衛星電話』…これだ…

蒼弥は、壁に取り付けられたケースの透明な扉を開け、中の衛星電話を取り出した。
蒼弥
よし…!!

蒼弥は、衛星電話を持ったままそっと乗務員室から出た。
陸斗
蒼弥…!!

蒼弥
あったぞ…!衛星電話だ…!

結月
これで助けを呼べるのね…!!

蒼弥
あぁ…助けを呼べなくとも…この緊急事態を外部に知らせる事はできる…

陸斗
てか…どこに電話かけるんだ…?警察か…?

蒼弥
いや、警察じゃ何もできない。ここは、この飛行機の航空会社に電話するんだ…

そして、前座席のポケットから飛行機のパンフレットを取り出し、航空会社の電話番号に手をかける。
蒼弥
…○○○○-△△△△……

蒼弥
よし…

蒼弥
かけるぞ…

蒼弥は、発信ボタンを押す。しばらくの呼び出し音の後、電話が応答する
電話窓口職員
『もしもし〜こちら、日本航空会社でございます』

蒼弥
訳あって小声で失礼します…。今、日本航空を利用しているのですが…

蒼弥
飛行機ジャックにあってるんです…

電話窓口職員
『えっ…ど、どういう事でしょうか?』

蒼弥
まんまの意味です…!日本航空の飛行機が、飛行機ジャックされているんです…!

蒼弥
JP151便です…!試しに飛行機に連絡してみてください…!

電話窓口職員
『は、はい…!わかりました…!少々お待ちください』

しばらくのコール継続音がなった後、電話から応答がある
電話窓口職員
『JP151便と連絡が取れませんでした…つまり…本当に…』

蒼弥
はい。今、飛行機ジャックにあってるんです…

電話窓口職員
『お、お客様はどのようにしてお電話を…?JP151は全通信装置がオフラインになってますが…』

蒼弥
機内の緊急用衛星電話を借りました…!お願いします…助けてください…

電話窓口職員
『わ、わかりました…すぐに対応をさせていただきます…また、お電話させていただきます…!』

陸斗
なんて…?

蒼弥
対応してくれるそうだ…

陸斗
そうか…ひとまず良かったな…

蒼弥
…だが…どうやって助けるに来るんだ…

蒼弥
ここは…占拠された空飛ぶ絶島だぞ…
