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…1991年12月25日、ソ連崩壊。
翌日、正式に発表された。
あれから数年後、
俺は、亡霊のように生きていた。
昼の仕事が終わった後、
夜の自宅で彼の遺品を抱きながら眠る生活を、何年もしてきた。
…あの後、ソ連の代わりにロシアがカントリーヒューマンとして降り立った。
ソ連崩壊前、彼とも話したことがある。
ソ連のように話し、
ソ連のように振る舞い、
ソ連のような声で、
ソ連の面影がある、
…そんな、やつ。
そんなやつだから。
俺は、彼に触れてはいけないと、直感で感じていた。
もしかしたら、もしかしたら。
…あいつを、巻き込んでしまうかもしれないから。
あいつはソ連の大事な弟だ。
そんな大事なやつを、俺の私情で巻き込みたくない。
俺も、誰かをソ連としてみたくはない。
…だから、極力接触は避けた。
イギリス
前方から、兄の声がする。
…イギリスだ。
アメリカ
イギリス
イギリス
真っ先に思いついたのは...ドイツと、イタリアだ。
この前、アメリカ自身もそれは聞いていた。
ドイツは、イタリアに現在進行系で依存している。
イタリアもそんなドイツが大好きだと。
実際にそんなところを見たことはないが...
まぁ、最近社内でもそれなりに噂になってる。
多分事実なのだろう。
アメリカ
イギリス
イギリス
アメリカ
思わず、素っ頓狂な声を出す。
『覚えてます?』...?
今日は...なにか、あっただろうか。
嫌な、予感が...
イギリス
アメリカ
イギリス
イギリスは呆れた様子でため息をつく。
おかしいな、会議は来週だと聞いたはずなんだが。
イギリス
アメリカ
俺は、猛ダッシュで会議室へと走った。
アメリカ
会議室の扉の前。
俺は、それを開ける前に立ち止まって、息を整える。
笑え。
笑え。
いつものように振る舞え。
ソ連のことをここまで引きずっているのは、きっと俺だけだ。
口角を指で無理やり上げ、
サングラスをかけて目元を誤魔化す。
アメリカ
一息整えたところで、会議室の扉を開いた。
アメリカ
世界各国が一斉にこちらを見上げる。
その光景がやけに面白くて、思わず吹き出しそうになった。
やがて、日韓にべったりとくっついていた中国がため息をついた。
中国
アメリカ
日本
アメリカ
中国
空いてる席を探すのはどうも面倒くさい。
空いてるとしたら、中小国の隣だろうか。
ビビられるからあんま好きじゃないんだが...
…なんて、思ってると
日本
…背筋が、一瞬凍った。
アメリカ
少し早口になってしまったが、ロシアの隣の席の椅子に座った。
せっせとカバンから資料やコーラを取り出し、机に置く。
まもなくして、会議が再開した。
…
……
…
…隣に、ロシアがいる。
ソ連のような背格好。
違う。
ソ連のような青い瞳。
違う。
ソ連のような、容姿。
違う。
違う、違う、
違う違う違う。
こいつはソ連じゃない。
違う、違うんだ。
違うから、勘違いしてはいけない。
迷惑をかけてしまう。
...だめだ、隣りにいるだけで、
それだけで...誤認してしまう。
…もう、こうなったら。
寝るしか、ない。
俺はそう思って、無理やり眠りについた。