ロシア
誰かの声。
あぁ、会議が終わったのだろうか。
そういえば、久々にぐっすり寝れた気がする。
いつぶりだろう、こんなに心地よく眠れたのは...
あの日からロクに睡眠すらとらない日もあったから、本当に久しぶりだ。
会議中はまたこうやって寝ようかな_______
ロシア
バチン!!と頬に衝撃が生じる。
叩かれた...?誰、に_______
ロシア
ロシア
ロシア
アメリカ
知っている。
この動きを、俺は知っている。
瞳。背丈。口調。低い声。怒り方。
何から何まで、合致していた。
あの時、ソ連は死んだんじゃ______
ソ連?
ソ連?
『頭でも打ったか?お前』
いつしかの彼の声が、脳内で重なる。
あぁ、あぁ、あぁ。
戻って、来たんだ。
ロシアとして、戻ってきたんだ。
ソ連が、戻ってきた。
戻って、来たんだ。
アメリカ
アメリカ
ソ連
アメリカ
席を立って、彼に抱きつく。
あぁ、本当に帰ってきた。
彼の骨格、身体、俺より高い身長。
何から何まで、ソ連と同じ。
アメリカ
アメリカ
今度こそ、離さない。
もう後悔なんてしないように。
絶対に、離さない。
アメリカ
ソ連
ポケットから、護身用のスタンガンを取り出す。
もうこれ以上、どこにも行けないように。
電流を流し続けると、彼の首がかくんと落ちた。
アメリカ
これで、いい。
もう俺は間違えない。
アメリカ
俺は眠っている彼の唇にキスを落として、語った。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
これからは__________
ずっと、一緒だ。
ロシア
目を覚ます。
そこは、薄暗い部屋だった。
少なくとも、俺が知っているような部屋ではない。
ここは、一体...?
…そうだ、アメリカ。
たしか、アメリカを起こして、急にソ連呼びされて、
それで...
ロシア
腕を動かそうとしたが、一向に動かない。
見てみれば、手錠がつけられている。
ついでに、足首が異様に冷たい。
嫌な予感がして見てみると、両足首には足枷がつけられていた。
…誘拐された。
その結論に至るまで、それなりの時間を要した。
ロシア
そもそもとして...なんで自分は誘拐された?
俺をソ連と呼んだのがなにか関係しているんだろうか...
悶々と一人で考えていると、がちゃりと音がした。
…後ろだ。
アメリカ
アメリカ
彼は、俺に歩み寄った。
俺を、"ソ連"と呼びながら。
ロシア
アメリカ
彼は、穏やかに笑った。
あんな穏やかな笑いを、俺は見たことがない。
しかし...今この状況で、そんな笑顔をされても、
逆に...怖かった。
アメリカ
アメリカ
頬に彼の手が触れる。
その時、彼はいつもかけていたサングラスを上げた。
…そこには、目が笑っていない、ひどい隈のある顔があった。
恐らく...今まで、サングラスで隠していたのだろう。
ロシア
アメリカ
アメリカ
ロシア
なんとなく、嫌な予感がする。
……生前、たしか兄は、言っていた。
________アメリカのことが、好きだ、と。
いつか...死ぬ前に告白もしておきたい、と。
あの頃は、冗談だと思っていた。
けど。
まさ、か。
アメリカ
ロシア
半ば八つ当たり気味に、彼を殴る、
手錠がつけられているから、いつも通り片手で殴ることはできなかったが。
ああ、どうして。
どうして兄は生前、コイツの返事を聞かずに散った。
どうして聞いてやらなかった。
そのせいで、アメリカは。
今まで、ずっとくるしんでいて、
今、壊れかけているというのに________!!!!!!
ロシア
ロシア
ロシア
ロシア
ロシア
精一杯、叫んだ。
怒鳴った。
あいつはもう、この世にはいない。
だから、前を向かなくてはならない。
俺も、アメリカも。
辛かったんだと思う。
俺だって、正直...辛い。
兄が死んだんだ、そりゃそうだろう。
でも、俺達は...国だ。
いつまでも引きずって生きることは許されない。
それに、俺達は何年、何十年、何百年、
下手したら何千年も生きる。
ならば、辛い気持ちとは向き合わないと、
今後の人生は、地獄だ。
何千年もその感情と付き合うなんて、俺からしたらごめんだ。
だから、こいつの目を、醒ましてやらないといけない。
そう思っての、行動だった。
アメリカ
長い沈黙を、破る。
ロシア
アメリカ
頬に触れていた彼の手は、俺の肩を掴んだ。
…力の限りをだして、強く。
ロシア
アメリカ
聞いたこともないような、ドスの利いた低音。
彼の瞳に光は、なかった。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
ロシア
狂気の叫び声。
狂気の表情。
思わず、後ずさる。
それでも構わず、彼は拳銃を取り出して、
俺に対して、続けた。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
ロシア
思わず、勢いで、頷く。
その狂気の声が怖くなって、
静かに、頷いた。
頷いてしまった。
_________殺される。
直感で、そう感じたから。
アメリカ
アメリカ
そう言って、彼は無邪気に、
笑った。
コメント
2件
まじか!メリカさん壊れちゃった…、1話からまとめ直そう。ソ連は、もう『最後に』と言っていたから自分の死、崩壊を悟っていたんですね…あと1日、1時間、伝えるのが早かったら…、 ロシアさんも、流されちゃったってことは、今度はイタリアの計算パターンはなさそうですね… そして、何処にでも現れる独伊独!最早伊独!