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書かなきゃ、私の創る世界を 書かなきゃ、誰も見た事の無いホラーを 書かなきゃ、彼女の「愛してる」を 私は書かなきゃいけない。
私の世界は真っ暗で
探しても、探しても、
何も見つからなかった
もしかしたら、 何かあるのかもしれない
私はひたすら歩く
知らない場所なのに、 何故か記憶にあって
真っ暗で何も無いのに
要らない希望を握りしめていた
本当は怖かった
「たすけて」
そう叫びたい
でも私は歩く
歩いて、歩いて、歩いて、
もう、足音すらも聞こえていなかった
ほっぺたを引っ張ってみる
痛くない
これは夢なんだ
何も無い真っ暗な夢。
私が創った世界だった
気付いたらもう朝で
私はベッドにいた
夢を見た事は覚えている
思い出そうとするが、
何故か夢の内容はうろ覚えだった
真っ暗な部屋にいた、 ということしか覚えていない
「たすけて」
無意識に小さく呟く
私はペンを握りしめる
真っ暗な夢を元に、小説を書く
なんにも覚えていないはずなのに 何故か手が進む
誰も見た事のないホラーを
ただ、書き続ける
カーテンを開けて、空を見上げる
今日は晴れだった。
雲は白くて、空は青い
黒なんて、何処にもなかった
私の頭はまだ黒で薄汚れていて
その汚れを落とすには時間がかかりそうだった
でも、黒が混じった私の考えは
甘酸っぱい恋愛ものと相性がよく
いい感じのホラーになっていた
恋は甘いだけじゃなく
時には酸っぱく、時には苦い。
でも私が求めるのは
「恐ろしい」
そんな恋
気付いた時にはもう夜だった
さっきまで青い空を眺めていた気がする
でも、机の上には沢山の紙があった
無意識に小説をこんなにも書いていたらしい
けど私はこれじゃ
満足出来ていなかった
今もペンを握りしめている
書かなきゃ
今書いているのはラストシーンで
主人公が彼に
「愛してる」
と、告げて消えるシーン
でも私は
「あいして」
で、手が止まっていた
「る」 を書けばいいだけなのに
それが出来なかった
書かなきゃ
私が思い描く世界を
でも書けない
「る」 が書けない
そうだ
書かなきゃいいんだ
「書く」 んじゃない
「書かない」
主人公が彼に
「愛して」
と願う
そして彼はこう告げた
「君は1人じゃないよ」
書かなきゃ