青side
橙
さとにぃッッ!!
ジェルにぃの焦ったような声が中庭に響く。
僕も慌てて駆け寄れば
桃
ヒュッ...ハァッ...ヒュッヒュッ......
顔を真っ赤にして苦しそうに息をしているさとにぃ。
青
さとにぃッッ!!しっかりしてッ!!
声をかけてもさとにぃは苦しそうに息をするだけ。
終いには、目を瞑ってしまいそうだった。
紫
ッッ!!すぐ部屋に運んでッ!!
紫
るぅとッ!主治医に電話ッ!
黄
はいッ!
紫
ころんッ!莉犬ッ!メイド、執事、父上に連絡!!
青
はいッ!
赤
りょーかいッ!
紫
ジェルッ!すぐ部屋にッ!
橙
はいッ!
ななにぃに指示をされたとうりにみんな働く。
ななにぃがあんなに焦っているのを久しぶりに見た気がする。
それほど緊急事態なのだろうか。
そう思うと僕の鼓動も緊張も速くなっていった。
連絡すべき人達に連絡をし終え、僕達は走ってさとにぃの部屋へ向かった。
向かう途中、何度もつまずきながらもなんとかたどり着いた。
僕達は緊張で震える手で扉に手をかける。
ガラッ
青
さとにぃッ!!
紫
ぁ、ころちゃん...莉犬くん...連絡ありがとう。
赤
ううん。全然いいよ。
青
さとにぃは...?どうだって...?
紫
命に別状はないって。
青
よかったぁ.........
赤
ホントによかった......
僕達はその言葉に安心したようにその場に崩れこむ。
橙
ただ、無理をしすぎると命が危ないだろうって。先生が。
黄
一緒に任務も当分行けないみたいです。
青
..........そっか。
赤
...でもしょうがないよね...。
僕は沢山の管に繋がれたさとにぃに目をやる。
昔元気いっぱいだった頃のさとにぃと違って
今のさとにぃはすぐにでも消えてしまいそうなほど儚くみえた。
桃side
眩しい朝日で目を覚ました。
ゆっくり膜を開けば__
隣には点滴といういつもの光景。
桃
(...また迷惑かけたんだな...)
自分の体の弱さに苛立ちを覚える。
桃
コホコホッ...コホコホッ...
しかし、とんだけ憎んだって体の弱さは変わらない。
今だって1度でた咳は止まることを知らなかった。
桃
......でも、今日くらいは......コホコホッ...(ボソッ
......確か今日は、弟達は学校での全校校外学習日のはずだ。
俺の熱が下がりきってない。なんて言えば間違いなくなーくんは休むだろう。
しかし、今日の校外学習を1番楽しみにしていたのもなーくんだ。
もう動けなくなってもいい。
今まで俺の体調のせいで弟達の楽しみをたくさん奪ってきた。
これ以上弟達の楽しみを奪いたくない。
頑張れ。さとみ。
俺は隠すことを決めた。