友人が強く咳き込む。それを心配して声をかけた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
やれやれとした行動をとる友人は生真面目で俺を指さして叱った。
1番の友達ルート・ヴィッヒはドイツ人。 ほんとにドイツ人らしく真面目で何事にも真剣に取り組む。しかも計画的で憧れちゃう。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
飽きられてしまうがそれでも振り払ったりなんてしない、突き放したりなんてしないから今でも1番なのである。
日本語や入試を手伝ってくれたのも彼。
初めはこの学校に興味を持ったルートが俺の進路を心配して連絡をとってきた。
今までは勉強を教えてくれるルートがいたから成績もそれなりにと言ったところだったが、いなくなっては困る。それをルートもわかっての事だったのだろう。
入試までは教えられるけれどその後は自分のこともあるから無理だと言われて、「じゃあ同じところ行く!」なんて言ったからだ。
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
こんな他愛のない話がいつまでも続けばいいのにと思ってしまった。
やはり、どことなく初恋の相手に似ているのだ。
遠くへ引っ越すことになってしまって、別れに愛を告げてくれた。だからそれに返事をした両想いでずっとずっと一緒にいたかった。
それでも前を向いてルートと一緒にいる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
お昼もまともに食べられず授業の説明をしていたらまた別の話をされるというなんとも可哀想なルートだった。
すると予鈴がなり戻らなければならなくなった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
本田菊
予鈴に合わせ戻ってきた菊は項垂れていた。
机に突っ伏し考え事をしながら明後日の方向を見ていた。
本田菊
正直サボってしまいたい。
そんな思いも中学生の頃を思い出して改めた。 不登校という名の悪い子になってはいけなかった。学校で優等生でいることで過去にやった事を忘れられる気がしていた。
気分が悪い。なんで今更こんな感情に苛まれなければいけないのだろうか。
そう思ったと同時に自分の肩をさすった。
どこか望んだ孤独でそれでいて望んでもいないような孤独だった。 胸にぽっかりと穴が空いて風が吹いてとても寂しい。表現のしようがないこの感情は自業自得というやつだった。
本田菊
そんな時にこちらにちかづいてくる足音が耳に入った。
反動で顔を上げるとこちらを覗いていた人が驚いて声を出す。
本田菊
近づいてきていたのは友達になったばかりのフェリシアーノだった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
感情を押し殺して笑ってみせた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
驚いた私は慌ててあまり使わないスマホのカメラで自分の顔を見てみる。
正直自分ではよく分からない。クマもないし。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
精神的なそれではあるがそこまで体調に関係している訳でもない。
それに学年やクラスが関係なく使われる医務室などに行くのは少し躊躇ってしまう。
もしまたあの人を見てしまったら……
怖くてまた肩をさする。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
そういうと人差し指で「絶対言うんだよ!」というようなジェスチャーをして自分の席に戻っていった。
フェリシアーノは人の表情を読むのが得意なのだろうか?たくさんの人に囲まれているからそういうのが得意なのだろうか? 人によく分からないと言われる私の顔色が分かるのが素直にすごいと思ってしまった。
本田菊
その後の授業はやはり嫌な考えをしてしまったが特に害はなかった。
教室に戻った時、なぜだか菊を真っ先に確認してしまった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
うつ伏せて明らかに体調が悪そうなのに誰も心配なんてせず各々構わず誰かと話したりしている。
それがあまりにも可哀想でたまらなくて、近づいてしまった。
すると勢いよく菊が顔を上げたんだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
驚いてしまって声が出た。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
直球にそう聞くと困った表情をする。 明らかに顔色が悪くて今にでも倒れそうな顔だ。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本気で自分のことが分からないのだろう。菊は慌ててスマホを取りだし自分の顔を確認した。
だがやはり発言に納得がいかないのかよく分からないという顔をしていた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
顔色が悪いと伝えても自覚をしなくてそんな菊に呆れさえ覚えてしまう。
でも言えば言うほど菊は?を浮かべる。 今は肩をさすった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
曖昧でなんとも自分を理解していない返事だった。
自分を大切にできない菊に対してなぜだか苛立ちを覚えた。
今日友達になったばかりなのにここまで心から心配できるのはなぜか。
なぜだが不安になる。簡単にどこかで死んでしまいそうだと直感で分かる菊に。
いや、誰だって今にでも死にそうな子や体調の悪そうな子は心配するものだろう。
じゃあなぜほかのクラスメイトは助けない?
見えていない?
そんなのあまりにも可哀想だ。
その後の授業もちらちらと菊を見ていたがやはり顔色はあまり良くはなかった。 そのはずなのにノートはちゃんととっていて無理をしているのではないかと不安になった。
HRが終わり帰り支度をしだしたり部活に向かうクラスの子が多く見られる。菊は多分部活には入っていない。もしくは今日は部活がないのかもしれない。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
咄嗟に話しかけてしまった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
困惑した様子で固まる菊がなんだか面白かった。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
少し嬉しそうだった顔が一言で少し暗くなってしまった。それが悲しくてどうしたら良かったのか考え始める。
けれど答えは見つからなくて、分からなかった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
肩をさすりながら横の方を見て寂しそうな声でそう言った。
でも顔はとてもひきつった笑いをしていた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
また肩をさすり笑顔を見せてくる。次に何を言うかなんて分かっている。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
言い訳が続くけれど、それほど自分のことを知られたくないのだろうか?
話し合いは少し長引いた。
外では部活をしている声が聞こえる。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
菊は驚いて、何も言えなくなっていた。
その後はふっと笑ってまるで花が咲いたようだった。 本物の笑みだと思う。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
泣き出しそうな菊を抱きしめる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
抱きしめた瞬間に気づき一言謝る。 直感で抱きしめてあげなければいけない気がしてしまったんだ。 張り詰めた糸が一気に切れて泣き出してしまった菊に。
本田菊
本田菊
嗚咽混じりに菊は喋る。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
不安な気持ちは分かる。 心を開くのは難しいかもしれない、それは俺だっておなじ。ルートぐらい仲良くじゃなきゃ心の内なんてあんまり人に言いたくない。
でもなんだか菊はルートと同じような友達になれる気がした。 単なる直感なのに信じたくなるような、そんな子で。何よりやっぱり心配になるような子だった。そばにいなくちゃいけなさそうって。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊が泣き止むまで時間はかからなかった。
互いに空いた席に座って向かい合う。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
菊は親がいなくって、親がいた頃の馴染みで兄のような存在を持っていたらしい。 でもそのお兄さん?と喧嘩しちゃったらしくて。
本田菊
本田菊
本田菊
また泣き出しそうになる菊を見てうんうんと話を聞く。
不登校だった頃に部屋に閉じこもっていたのを心配した兄に対して暴言を吐いて追い返してしまったらしい。酷く相手は傷ついたのだと悟り部屋から出た時には兄はもういなかったと言う。
本田菊
本田菊
ゆっくりと話していく菊に対してやはりうなづいて話を聞くことしか出来なかった。
本田菊
本田菊
人の弱みに漬け込んでる気分だ。人に言いにくいようなことをここまで話せるだなんて。
友達と言っても今日なったのに。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
自分を責めながら俯いて、自分でさえ自分を愛せないなんとも可哀想な子なのだと知った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
それしか言うことが出来なかった。 責めたいなら好きなだけ責めて貰って構わない、それでも傷つくのは菊自身だ。 見ているこちらも、いい気分になるようなものでは無い。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
苦手だと言うことはそれなりの理由があった。それも本人には伝えてると菊は言った。
それでもやめてくれなかった訳で、それにイラついて喧嘩して、でも心配してくれてたってのは理解してた。ただそれなのに思うところがあってしまっただけ。
悪いとこはどっちにもあって、どっちにもないんだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
悲しむ菊は本当に反省して後悔していた。
会っていいかが分からなくて、相手も自分を嫌っているのではないかと不安で。
苦手なところもあるけれど、ちゃんと自分の兄の良いところだって見えていた。 年頃の問題もあったのだろう。ストレスが溜まっていたのだろう。それを当たってはいけないところに当ててしまったんだ。
でも、元から兄に嫌だと思うこともされていたし、菊が言うには兄って言われるのも嫌らしい。血が繋がってる訳でもないし。
それでも大切だったんだって。それなりに感謝してるんだって。
なんて寂しいんだろう。互いにきっと理解してるはずなのに勝手に相手の心情を知った気になって勘違いしてる。
行動からするにお兄さんは菊のこときっと大切だと思う。 その暴言を許せなくても菊は許してると思う。
だから1回あって謝るだけした方がいいと思う。
どれだけその人が苦手でも、互いにはそれぞれの理由がある。
だから争うのも仕方がないかもしれない、でもきっと少しでも仲良くなれると思う。こんなに酷い関係からは修復できると思う。
だって互いにちゃんと互いを思ってるはずだから。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
少し安心してきたのだろうか、菊はくすっと笑った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
無我夢中で語り出して、なぜだか菊を説得している。あってはみないかって。
だってそれが1番の解決法だったから。
本当の気持ちを知ってから喧嘩した方がいいでしょ?誰だって
勘違いしたままなんて1番良くないよ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは必死になって会ってみない?と説得してきた。
考えが広くて、自分はなんて視野が狭かったのだと思わされる。
本田菊
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
やはりフェリシアーノは自分とは違った考えをしてて尊敬できる子だった。
初めは少し自分とは全くもって別の世界の人だったのにこんなにも優しくしてくれた。
なんで友達になったばかりでここまでしてくれるのだろう?
前まではひねくれてて友達なんて……としか思えなかった自分に別の世界を見せてくれた。
本田菊
本田菊
本田菊
学校にいるうちならまだ謝れる、会える確証がある。
あの人が卒業する前に話したい。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
そんな感じでフェリシアーノはドヤ顔をみせた。
本田菊
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
そう言ってくれた心強い彼に話そうとした時教室の扉がガラリと開いた。
聞き覚えのある声に驚いた。
会ってしまった。もう1人の会いたくない人に。
話に集中しすぎて周りの音を2人して聞こえていなかったのだ。
本田菊
続く
コメント
4件
最高です😭😭😭続き楽しみにしてます😆!
なんてこったイタちゃんがヘタレじゃない あとドイシのアイコンが雑!!!