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続きを待っています!!!!
本田菊
目の前にいた生徒会長に対し笑顔で答えて見せた。 ただ私の手は小刻みに震え今にでも逃げ出したいという衝動に駆られた。
まるで笑顔が作られているとでも言いたげな言葉だった。
そして菊は黙り込んだ。
現生徒会長アーサー・カークランドは同じ歳であり同じ1年生のはずなのに学力などの優れを生かし入学早々生徒会長へと上り詰めた。
有り得るはずがないことをやってのけた。 後期生徒会長などは2年生からできるはずだが1年生なんて聞いたことがない。
フェリシアーノ・ヴァルガス
アーサー・カークランド
フェリシアーノ・ヴァルガス
イギリス人で元不良とも呼ばれている。園芸と手芸が得意で紳士的。頭も良ければモテもする。
容姿端麗とはまさにこの事かと思わせるほど。
そんなことを言ってしまえばこの学校にはそんな感じの人はいくらでもいる。 事実フェリシアーノもさすがイタリア男と言ったところのイケメンだ。
そんなに頭がいいのになぜこの学校を選んだんだか。
アーサー・カークランド
本田菊
アーサーはフェリシアーノに見向きもせず黙りこくる私に近づいた。
アーサー・カークランド
本田菊
話されると同時に顔を逸らした。
未だに手は小刻みに震え目をつぶりたくなる。
鼓動が早くなり、怖くて怖くて仕方がない。 責められているような気分に襲われ涙が出そうで過呼吸を起こしそうになる。
俯きそれ以上何も話せない。
アーサー・カークランド
アーサー・カークランド
ばっ
本田菊
アーサーが言葉を紡ぐ前にフェリシアーノが私の手首を握った。私は驚き声が出ない。
フェリシアーノ・ヴァルガス
そう叫ぶとフェリシアーノは走り出した。
私は慌てて鞄を握りフェリシアーノに連れられるままに走り出した。
アーサー・カークランド
私は何も言えないまま下駄箱まで向かう。走っては行けない廊下を走って。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
ふたりの走る音が響き渡る。 上履きが廊下を打ち付ける。
音は大きく響き走っていると思い知らされ悪いことをしていると思うと少しだけ罪悪感が湧き出る。
フェリシアーノの手は私の手首を離さない。ぎゅっと握りしめて私を走らせる。
廊下なんて走ったことない。いい子でいようとずっと頑張ってきたから。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
息を切らせながらフェリシアーノは私に言う。
私はそれに驚き、なんと返せばいいか分からなかった。
本田菊
本田菊
同じく私も息を斬らせながら答えるのだった。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
ふたりして息を切らせながら膝に手を付き汗を流す。
顔を上げて互いに見つめ合えば2人でクスッと笑った。
本田菊
笑って言ってみせるとフェリシアーノは驚いた顔をした。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
変なのと言いたげな顔でフェリシアーノは菊を見つめた。そしてそのまままた手を繋いだ。
本田菊
手を繋ぐフェリシアーノに驚いて菊はフェリシアーノに手を繋いだ理由を尋ねた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
曖昧な返事をしたあたフェリシアーノぱっと手を離した。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは痛いところついてきた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
そう、私はあの人を裏切った。
いい関係だったはずなのに裏切った。二度と会うことは無いと思ってこの学校に入学したのに彼はわざわざここに来た。
分からないたまたまここが良かっただけかもしれないけれど、そう考えざるを得なかった。
分からない昔からの馴染みもそこにいるとしっている。確かフランス人であまり仲良くないとか言っていたが喧嘩するほど仲がいい、事実2人で同じ学校に来ているではないか。
本田菊
その行動に対して理解ができずそこらにあった石を蹴った。
本田菊
本田菊
一言そう言えば終わる。 裏切った理由も何もかも。 ただあの頃の私の立ち回りが下手でこんなにも会いたくない人が増えたことも。ひねくれたことも、何もかも後悔して今があることも理解している。
フェリシアーノ・ヴァルガス
嫌いでいなければいけない気がする。
本田菊
でなければこんなにも苦しくない。 嫌いでいた方が楽なのだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
パッとは出てこなかった。それらしい嫌いな理由が。でも何故だろう嫌いでいなければと思ってしまうのだ。
あの人を突き放した自分への感情だ。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
事実を言われているのに、なんと返せばいいか分からなかった。大切な友人になんと言えばいいかなんて分からなかった。
やるせないこの感情が心を蝕んで行く。
本田菊
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
じゃなきゃ出来たばかりの友達にあんな話はしないだろう。
難しい話、解決できるかも分からない。 そして行動起こす理由としても、それは弱みを渡したも同然で、誰かに話されれば誰に何を言われるか分からない。
友達と言ってもやっぱり信用なんて出来ないのかもしれない。
菊の頬を冷や汗がつたる。人間不信だった心が改めてフェリシアーノの事を怖がり出す。
本田菊
震えた声が細い喉から漏らされる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
本田菊
菊の指は小刻みに震える。目がぐるぐるして、そして目の奥がずきずきする。
知らないから自分はあの人を裏切るなんてできたのだろうか。孤独で幼馴染とも喧嘩ばかりと聞いていた彼のことを知っていながら居場所を与えて無責任に裏切った。
許されていいはずがない、私だってそんなことされてしまえば苦しみそれこそ二度と外になんで出たく無くなる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
知った気になったような言葉ざフェリシアーノから出る。
言葉を喉に詰まらせて菊はその重い、醜い感情を飲み込んだ。 何を知っているのだと聞いてしまえばまた1人になってしまう。
本音を言えない友達は本当の友達というのだろうか?
本田菊
ならばフェリシアーノも突き放してしまえばそれこそ楽なのではないか?
本田菊
深く深く考えれば濁った感情が更に掻き回され苦しみに悶え出す心がそこにある。 その場から逃げたいのに逃げてはダメだと知っているその思いは胸を痛め出す。
本田菊
苦しみが涙を出させそうなくらいに強くなりフェリシアーノにただか細い声で話した。
本田菊
そう言いながらにこりと笑うとフェリシアーノは不服そうな顔をしていた。
ああ、フェリシアーノはきっと分かっているんだろうなと思えばその理由くらい理解はできた。 けれども私はとっくに人間不信に陥っていた。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノが、そうなぜかそんな言葉を発した。 責めてしまうのはもはや癖のようなもので何も感じはしなかった。 でもフェリシアーノはそんな自己肯定感のない私のことが嫌だったみたいだ。
他人も同然のそんな子が私にこんなことが言えるのが凄かった。心底理解できなくて。
フェリシアーノは菊の細い指を自らの指と絡めた。
理解が追いつかず固まる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは感情移入しやすいのだろうか、今にも泣き出しそうな寂しい目をしていて、ただ自ら絡めた指を見ている。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
ゆっくりと紡がれる言葉に、ひとつずつ心を打たれてゆく。
フェリシアーノ・ヴァルガス
明るく笑うフェリシアーノの目は涙をためて美しく輝いていた。 まるで綺麗な宝石のようで目を見つめ見蕩れた。
絡められた指を無意識にするりと離し、菊は絡められていた指をぼうっと見つめる。
菊は優しく言った。
本田菊
全くひねくれた言葉で、優しさも何も感じ取れやしない言葉だった。
それでも絶対にその日が来ると確信したようにフェリシアーノは頷いた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
お日様のように笑うフェリシアーノに鼓動が早くなる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
ああ、この子は全て悟っていた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんでこんなにも短い期間でこの子はこんなに優しい言葉をかけれるんだろう。
なぜ寄り添ってくれるのだろう。
フェリシアーノ・ヴァルガス
彼は強かった。
本田菊
本田菊
菊の微笑みは優しく、吹っ切れたような心の底からの美しい笑みであった。
本田菊
本田菊
美しい微笑みにフェリシアーノは心を打たれた。
美しく黒い髪に上品な所作、走って乱れた姿でさえひっくるめて美しく少人数の周りの人はまるで背景だ。
本田菊
黙りこくったフェリシアーノを不思議に思ったのか、菊がクエスチョンマークを浮かべている。
それに対しフェリシアーノはバっと動き、菊の肩を掴んだ。
本田菊
困惑した菊はフェリシアーノの名前を幾度となく呼ぶ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは口をパクパクとさせ、無意味な言葉を発している。 何を話そうにも上手く口から出ないようで、それ故に菊の肩からずっと手が離れない。
自分でも何が言いたいのか分からなくなってきたフェリシアーノはただ菊の瞳を見つめていた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは息を吸うと、やっとのことで菊の肩から手を離した。
それでも菊は困惑するばかりだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノは後ろを向いたかと思っては後ろを振り向き愛らしく振舞って菊に言って見せた。
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
どことなく、離れるのが寂しい。
そんなフェリシアーノは言った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
我ながら相手のことも考えず、勝手に話を進めている嫌なやつだ。 でも嫌かなんて菊にしか分からない。
本田菊
本田菊
菊のような人だからいいと言うと思っていなかったフェリシアーノは心の中で心底喜んだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
2人して微笑みあって、連絡先を交換した。
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
本田菊
また会えるかなんて確定していないのに2人して「またね」と言うのだ。 でもまた会えると心で信じてる。
この深い1日でそれなりの関係を築けたはずだからだ。 何も心配はいらない。もし何かあっても大丈夫だと、努力すると約束したから。
フェリシアーノ・ヴァルガス
離れていく菊を見てフェリシアーノは少し寂しそうに笑って呟いた。
嗚呼、なんだか背中が重い。
フェリシアーノ・ヴァルガス
そんなこと頭に入れずに家に向かう。
暗いことは考えたらダメだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
気の抜けた声でそう伝える。 家に伝えても誰もいない、ただその声が響くだけだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
何故か期待をして言ってしまう。
フェリシアーノ・ヴァルガス
自分で言って寂しくなる。虚しい、ルートと話したい。
そんなことを思いながらスマホを見る。 連絡先には新しく増えた菊という文字がある。 スクロールして遊ぶも何も続かなく、引き戻される。
菊に、何か言ってみようか?
フェリシアーノ・ヴァルガス
玄関でそう唸るが、とにかく疲労がすごく部屋に向かうことにした。
ぼふっ
そう音が出るくらい勢いよくベッドへ飛び込んだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ため息がでるが、顔を振る。
机に置かれた写真を意味もなく見つめた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
頭で心の奥底に眠っていた声が響く。
フェリシアーノ・ヴァルガス
またしても声を思い出す。
人間は声から忘れるらしく、その人だったという声かは曖昧であった。
ただ思い出すだけで寂しかった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
枕に顔を疼くめる。
フェリシアーノはそのまま眠りについてしまった。
深い深い夢の中に。
続く