テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

LINE822

第1話 - あ

2023年06月29日

#スカッと

田中俊樹

ナギ

なーなー

ナギ

姉ちゃん！いつもの頼みがあるんだけど……

モトコ

なによナギ、私今仕事中なんだけど……

ナギ

仕事中とかいいからさ、姉ちゃんちょっと俺の口座にお金振り込んでくれない？

モトコ

あなた、またお金使いきったの？！

モトコ

今度はなにに使ったのよ

ナギ

いやぁ、ちょっとばかりパチンコに行ったらさ？

ナギ

あれよあれよとお金が吸い込まれていっちゃってね

ナギ

でも、少しだけだよ？

モトコ

はぁ……絶対少しじゃないでしょ……

モトコ

私も今月厳しいのよ

モトコ

だから今月は自分でどうにかしてちょうだい

ナギ

えぇ？！姉ちゃん、困ってる弟を見捨てるのかよ！

ナギ

大学の学費だって毎月払っててお金がないんだよ～

ナギ

頼むよ姉ちゃん！

モトコ

あなたがパチンコしてなくて、私にしたのとまったく同じ話を

モトコ

父さんと母さんにしてなければ信頼できたんだけどね！

ナギ

本当に５万だけ頼むよぉ！

ナギ

もう食費分も家賃分も使い切っちゃったんだ！

モトコ

そんなのあなたが悪いにきまってるでしょ？

モトコ

もうあなたのしりぬぐいをするのも１０回以上やってるし……

モトコ

ただでさえ、仕事の時間うばってるんだから

モトコ

これ以上無駄なことさせないで頂戴！

ナギ

まぁまぁまぁ

ナギ

姉ちゃんそこをなんとか頼むよぉ

ナギ

俺、そんな断られたら姉ちゃんの職場まで押しかけちゃうよ

モトコ

なにいってるのよ？！

モトコ

本当にあなた……どうしようもないわね……

ナギ

だってお金もないし、食べるものもないからさ！

ナギ

姉ちゃんの家でお世話になるくらいしかもう手がないんだよぉ

モトコ

私だってきついし、私の家にあなたが泊まるところなんてないわよ！

モトコ

２万円だけ送ってあげるから本当にもう連絡してこないで！

ナギ

えぇ、姉ちゃんいいの？

ナギ

うわー、やっぱり優しい家族を持つと楽だなぁ

ナギ

毎回毎回あざす！

ナギ

お金、きつくなったらまた頼みに来るねー！

モトコ

もう連絡してこないで！

モトコ

ほんとにもう……

～１週間後～

ナギ

お、姉ちゃん今暇？

ナギ

おなか減ったりしてない？

モトコ

なによ、あなた本当に私の邪魔するのがうまいわね

モトコ

仕事中よ！平日のこんな昼間なんて仕事に決まってるでしょ！

ナギ

そっかぁ

ナギ

姉ちゃんにメシでも奢ってもらおうと思ったんだけどなぁ

モトコ

そんな暇あるわけないでしょ

モトコ

で、いったいなんの用なのよ

ナギ

そんなそんな、本当にメシを奢ってはもらいたかったんだよ？

ナギ

けどさ、姉ちゃん忙しいから

ナギ

そんなのかわいそうだろ？

モトコ

分かってるなら連絡してこないでよ……

ナギ

まぁまぁ、最後まで聞いてよ

ナギ

だから優しい俺は姉ちゃんにメシ分の金をもらおうと思ってさ！

ナギ

いい考えでしょ？

モトコ

どこがいい考えなのよ

モトコ

もういい加減にしてちょうだい

モトコ

第一、１週間前にお金ならあげたばかりじゃない

モトコ

あれはどうなったの？

ナギ

あんなはした金、すぐ消えたに決まってるじゃん！

ナギ

姉ちゃんはバカだなー

ナギ

な、つべこべ言わずにちょっとの金ぐらい早くくれよ！

モトコ

だって私が頑張って稼いだお金なのよ？

モトコ

貯金だってしないといけないし……

ナギ

うっせぇなぁ！

ナギ

つべこべ言わずに金ぐらいすぐ貸してくれよ

ナギ

俺さ、この前姉ちゃんの家の住所、父さんと母さんに聞いて知っちゃったからさ

ナギ

あんまり貸すの渋ってたら本当に家まで行くよ？

モトコ

そんな！なんでそんなこと！

モトコ

そんなの脅しと変わらないじゃない！

ナギ

脅してるんだよ笑

ナギ

それに、姉ちゃんも俺にお金あげるの嬉しくなってきたでしょ？

モトコ

はぁ？

モトコ

そんなわけないじゃない

モトコ

自分で稼いだお金をなにもしてない人にあげるのなんて嫌に決まってるじゃない

ナギ

あれ、おかしいなぁ

ナギ

俺、他人にお金を貢がせる才能があると思ったんだけどなぁ

ナギ

姉ちゃんが雑魚すぎてお金すぐくれるだけか！

モトコ

雑魚なんて言わないでよ！

モトコ

そんなことばっかりなんでいうのよ

ナギ

まぁ、姉ちゃん昔からトロかったしなぁ

ナギ

俺のほうが何でもできた、ていうか天才肌だし？

ナギ

それに弟を助けるのは姉として当然でしょ？

ナギ

それをしぶるなんて考えられないわぁ

モトコ

自分勝手なことばっかり言わないでよ！

モトコ

なんでバイトすらしてないのよ！

ナギ

だって社会経験なら大学終わった後で、いくらでもできるじゃん？

ナギ

やっぱり学生時代は学生にしか味わえないことしないとさぁ

ナギ

そんな説教ばっかりしてると家に押しかけるよ？

モトコ

やったら通報してやるから！

ナギ

じゃあ、通報される前に姉ちゃんの個人情報でも叫びまくろうかなぁ

ナギ

あとは姉ちゃんの名前使って、姉ちゃんが借りてるアパートに荷物送りまくろうかなぁ

ナギ

そんなことされたいのかな？

モトコ

わかったから！分かったからやめて！

モトコ

説教もやめるしお金もできるだけあげるから！

モトコ

頼むからそういう迷惑になるようなことだけはしないで！

ナギ

わかってるんならいいんだよ

ナギ

はぁ、じゃあ追加ね

モトコ

これ以上いくら渡せっていうの？！

モトコ

私も家賃の支払いとかあってこれ以上払えないんだけど……

ナギ

そんなの知らねぇよ！

ナギ

自分で稼げばいいじゃんｗ

ナギ

風俗でも何でもあるでしょ？

モトコ

いくらなんでも酷すぎるわよ！

モトコ

はぁ……本当に今月はこれで勘弁して……

ナギ

おっけいおっけい！頑張るわぁ！

ナギ

ま、これからも俺のお財布として姉ちゃんよろしくな！

ナギ

あ、そうだ

ナギ

明日からやっぱり姉ちゃんのアパート住むわ俺

モトコ

はぁ？なに言ってるのよ！

ナギ

んー？意味わかんない？

ナギ

だから、俺今住むところも無いから姉ちゃんのアパートに引っ越しさせてもらうってことだよ

モトコ

そんなの急に言われても無理に決まってるじゃない！

ナギ

大丈夫大丈夫！

ナギ

もう荷物送ってあるし、あとは届くのを待つだけだからね

ナギ

まさか家もない家族を追い出さないよねぇ

モトコ

あなた......わかったわよ

モトコ

その代わりなるべく早く出ていってよね

ナギ

おっけいおっけいー

ナギ

わかったよ

〜1ヶ月後〜

モトコ

ちょっとナギ！私の財布知らない？！

モトコ

今日、仕事行ってご飯食べようとしたら財布無くて…

モトコ

昨日から触ってないからカバンの中からはなくならないはずなのよ！

ナギ

え～

ナギ

姉ちゃん、弟のことを一番に疑うのかよ……

ナギ

あーあ、ショックだなあ

モトコ

そ、それは申し訳ないけどあなたしか考えられないのよ！

ナギ

まぁ、俺なんだけどね

モトコ

はぁ？！

モトコ

何言ってるのよあんた！

モトコ

何やってるかわかってるの？！

ナギ

なんでそんな騒いでるんだよ、ちょっと借りただけだろ

モトコ

あなた、私の財布もってどこ行ってるのよ！

ナギ

んー？

ナギ

今旅行いってるからさ、姉ちゃんに返すの結構後になるわぁ

ナギ

彼女と熱海行ってるんだよねー

モトコ

はぁ……ほんとにあんた……

モトコ

まさかとは思うけど勝手にカード使ったりは……

ナギ

いやいやいや、さすがに姉ちゃんのカードを勝手に使ったりはしないよ！

ナギ

流石にね笑

モトコ

あんたカードの使用明細って見れるの知ってる？

モトコ

私のカードの使用明細に熱海にある店が大量に出てきてるんだけど……

ナギ

ありゃりゃ

ナギ

まぁ、偶然じゃない？

モトコ

そんなわけないじゃない！！

ナギ

まぁまぁ、ちょっと落ち着こうぜ

ナギ

少しぐらい使われたっていいじゃないか

モトコ

あなた……

モトコ

もうほとんど自分が使ったって言ってるようなものじゃない！

ナギ

いや～～？

ナギ

俺が使ったとは言ってないよぉ？

モトコ

正直に言いなさいよ！！

ナギ

姉ちゃん、だってめちゃめちゃ怒ってるし今のままじゃ俺も落ち着いて話せないなぁ

モトコ

当たり前でしょ

モトコ

じゃあ、実際のところを正直に言ってちょうだい

ナギ

そんなの借りてるに決まってるじゃん！

ナギ

俺お金ないしさ

モトコ

あんた、仕事だって結局決まらずにぶらぶらしてるだけじゃない……

モトコ

なんで自分で稼ごうとしないのよ……

ナギ

まぁ、姉ちゃんのおかげで今楽しませてもらってるからさ

ナギ

ありがとうな！

モトコ

はぁ……そんなことさせるわけないでしょ

ナギ

ん？どうしたの？

ナギ

姉ちゃんのカードなんだから姉ちゃんが支払ってくれるでしょ？

モトコ

そんなわけないじゃない

モトコ

寝ぼけたこというのもいい加減にしなさいよ

ナギ

じゃあどうするっていうんだよ笑

ナギ

俺のところまで取りに来る？

モトコ

そんなことしないわよ、だってもうカード停めたしね

ナギ

へ？

モトコ

カードの利用できなくしたから、もうあなた何も使えないわよ？

ナギ

え、じゃあこのカード持ってても意味ないってこと……？

モトコ

あたりまえじゃない笑

モトコ

あとはその財布に入ってた１万円で頑張るのね！

ナギ

ちょ、ちょっと

ナギ

姉ちゃん困るよ！

ナギ

彼女にホテル代とかも全部奢るって言っちゃてるし……

ナギ

今そんなことするだなんて酷すぎる！

モトコ

あなた……家族の財布盗んで勝手に旅行行くやつにそんなこと言われても何も思わないわよ

モトコ

それに、あなた父さんや母さんからお小遣いもらってるじゃない

モトコ

それでまかなったら？

ナギ

あんなはした金、もう使い切っちゃたよ！

ナギ

数万円しかないのにそんな残るわけないじゃん！

モトコ

はぁ？！

モトコ

あなた本当に浪費癖もあるし最悪ね

モトコ

とにかく、そのカードもう使えないから彼女に泣きついて払ってもらうことね

ナギ

そ、そんなかっこ悪いこと弟にさせるっていうのかよ！

ナギ

俺のことかわいくないのかよ！

モトコ

あなたって本当に頭の中どうなってるの？

モトコ

お花畑過ぎない？

モトコ

普通に考えたら、毎日お金をせびってきて勝手に人の家に間借りするやつなんて

モトコ

いくら家族でもかわいくないに決まってるでしょ！

ナギ

そ、そんなぁ……

ナギ

そうか！じゃあいいよ！

ナギ

そんなことするなら俺にも考えがあるからな！

ナギ

姉ちゃんの職場まで押しかける話、本当にやってやるよ！

ナギ

いくらでも邪魔してやるからな！

ナギ

俺の気が済んで、姉ちゃんが土下座してあやまるまでやめてやらないから！

モトコ

はぁ……

モトコ

もうそれも意味ないわよ

モトコ

会社の人にはあなたのこともう伝えてあるもの

ナギ

え？！

ナギ

そんなはったり使おうとしても無駄だぞ！

ナギ

俺は絶対行ってやるからな！

ナギ

止めてほしければ少なくともカードを今使えるようにしろよ！

ナギ

はやく！

モトコ

だいぶ前からあなたのことを上司に相談してたのよ

モトコ

法律系の部門もあるし、だいぶ相談に乗ってもらったわ

モトコ

来た時点で警備呼ばれて追い出されるわよ？

モトコ

あと、身内であってもカード勝手に使ったりとかそうやって脅すの犯罪だから

モトコ

あんたわかってやってるの？

ナギ

はぁ？！

ナギ

正気かよ？！

ナギ

そんなことしてもなんにもならないだろ！

モトコ

少なくともあなたっていう金だけ使って何もしないやつはいなくなってくれるでしょ？

モトコ

それが嫌ならまともに働くことね

ナギ

まともに働くなんていまさら無理に決まってるじゃないか！

ナギ

姉ちゃんがお金くれないと俺なんて生活していけないよ！

モトコ

あ、それともうひとつ

モトコ

父さんと母さんに連絡しても無駄だからね

ナギ

へ、なんで？！

ナギ

どういうことだよ！

モトコ

まともな職に就くまで二度と家に帰ってくるな！

モトコ

って血相かえて言ってたわよ

ナギ

そんなぁ……

ナギ

両親にすら見放されるなんてどうすればいいんだよ……

モトコ

まぁ、とりあえずあなたは直近の熱海旅行の支払いをどうにかするのね笑

ナギ

そ、そうだ！

ナギ

本当にこれが最後だから！

ナギ

姉ちゃん頼むよぉ！

モトコ

無理に決まってるでしょ？

モトコ

ま、せいぜい頑張るのね

ナギ

姉ちゃん、たすけてぇ～

～後日談～

モトコ

あのあと、弟は彼女に土下座してお金を支払ってもらったらしいです。

モトコ

当然、幻滅した彼女にはその場で振られたそうで、号泣しながら帰ってきました。

モトコ

扉の前の荷物を泣きながら抱えていく姿は弟ながら情けないものがありました。

モトコ

今ではどこにいるのかもわかりませんが、ああはなりたくないですね。

モトコ

私は弟のことを相談しているときに仲良くなった男性と付き合い始めました。

モトコ

本当に鬼は外！福は内！とはこのことだと思いました。

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

田中俊樹

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE822

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説
一覧

関連するタグ

LINE822

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説一覧

関連するタグ

#スカッとの新着小説
一覧