みんなを守る雪

【過去：静寂を破る赤】

雪が育ったのは、一年中雪が降り積もる「白銀の里」でした。彼女の家系は、呼吸法をさらに発展させた「雪の呼吸」を守る一族。雪は、鏡のように澄んだ心を持つ少女として、家族に愛されて育ちました。

しかし、彼女が12歳の誕生日の夜。凄まじい吹雪と共に現れた「上弦の鬼」によって、里は一晩で壊滅します。

鬼にそう嘲笑われ、家族を目の前で凍らされた雪。彼女は絶望の淵で、一族に伝わる禁じられた呼吸法を無理やり発動させ、自らの体温を極限まで下げることで鬼の気配を欺き、かろうじて生き延びました。

【現在：孤高の雪柱】

それから数年。彼女は感情を押し殺し、鬼を屠るためだけの「機械」として柱にまで昇り詰めました。 彼女の周りには常に冷たい空気が漂い、他の隊士たちは彼女を恐れて近づきません。雪自身も、

と、他人との関わりを拒絶していました。

【転機：小さな温もり】

ある任務で、彼女は鬼に襲われた小さな村を訪れます。そこで彼女が出会ったのは、家族を失いながらも必死に幼い弟を守ろうとする少女でした。

その少女の言葉は、かつて雪が家族に抱いていた、今は忘れてしまったはずの純粋な願いを呼び覚ましました。

その時、隠れていた鬼が少女たちを襲います。雪は迷わず前に出ましたが、鬼の毒により視界を奪われてしまいます。窮地に陥った彼女を救ったのは、村の子供たちが投げた小さな石と、彼らが必死に叫ぶ応援の声でした。

冷たく閉ざされていた彼女の心に、初めて自分以外の誰かの「熱」が流れ込んできた瞬間でした。

【結末：新しい雪の呼吸】

雪は、自らの冷気を「敵を殺すため」だけではなく、「誰かを守るための盾」として使うことを決意します。 彼女が放った新しい技**「肆ノ型・氷華の盾（ひょうかのたて）」**は、周囲の空気を瞬時に結晶化させ、子供たちを完璧に守り抜きました。 任務を終えた彼女の顔には、かつての冷徹さはなく、冬の終わりに咲く花のような微かな微笑みが浮かんでいました。彼女の羽織には、子供たちからもらった小さな花の飾りが揺れています。

次回

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