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夏が始まったばかりというのに

君は酷く震えていた。

そんな話で始まる。

あの夏の日の記憶だ。

LAN

殺したのは隣の席のいつも虐めてくるアイツ

LAN

もう嫌になって肩を突き飛ばして

LAN

打ちどころが悪かったんだ。

LAN

もうここには居られないと思うし

LAN

どっか遠いとこで死んでくるよ。

雨乃こさめ

ッ…

そんな君に僕は言った。

雨乃こさめ

それじゃ僕も連れてって

財布を持って。

ナイフを持って。

携帯ゲームも鞄に詰めて。

いらないものは全部壊していこう。

あの記憶も

あの居場所も

今となっちゃいらないさ。

人殺しとダメ人間の君と僕らの旅だ。

そして僕らは逃げ出した。

この狭い狭いこの世界から。

家族もクラスの奴らも何もかも全部捨てて

君とみんなで。

雨乃こさめ

遠い遠い誰もいない場所でみんなで死のうよ。

暇72

もうこの世界に価値などないよ。

すち

人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか。

みこと

君は何も悪くないよ。

いるま

君は何も悪くないよ。

雨乃こさめ

結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ。

LAN

そんな嫌な共通点で俺らは簡単に信じあってきたんだ。

雨乃こさめ

ギュッ(握

君の手を握った時

微かな震えもなくなっていて

誰にも縛られないで6人線路の上を歩いた。

記憶を辿って

みんなで励まして

信じあえる気がしたんだ。

今更怖いものは俺らにはなかったんだ。

額の汗も

堕ちた記憶も

いるま

今となっちゃどうでもいいさ。

雨乃こさめ

あぶれ者の小さな逃避行の旅だ

暇72

いつか夢見た優しくて誰にも好かれる主人公なら

すち

汚くなった俺らも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?

LAN

そんな夢なら捨てたよ。

LAN

だって現実を見ろよ。

LAN

シアワセの四文字なんてなかった。

LAN

今までの人生で思い知ったじゃないか。

LAN

自分はなにも悪くないと。

LAN

誰もがきっと思ってる。

あてもなく彷徨う蝉の群れに

水も無くなり揺れ出す視界に

狭い狂う鬼たちの怒号に

バカみたいにはしゃぎ合い

ふと君はナイフを持った。

すち

らんらん…?

LAN

君が今まで傍にいたからここまで来れたんだ。

LAN

だからもういいよ。

LAN

もういいいよ。

”死ぬのは俺一人でいいよ”

雨乃こさめ

待ッ…

そして君は胸を刺した。

まるで何かの映画のワンシーンだ。

白昼夢を見ている気がした。

気付けば俺らは倒れてて。

いるま

らんはッ?

君がどこにも見つからなくてって。

雨乃こさめ

…どこ?

君だけがどこにもいなくって。

そして時は過ぎてった。

ただただ暑い暑い日が過ぎてった。

ごめんね。

お父さんたちが悪かったよ。

雨乃こさめ

…うん。

家族も

mob1

…。

クラスの奴らはいるのに

何故か君だけはどこにもいない。

いるま

ッッ

あの夏の日を思い出す。

暇72

ッらん…

俺らは今の今でも歌ってる。

君をずっと探しているんだ。

すち

…らんらん。

君に言いたいことがあるんだ。

みこと

クシュンッ

9月の終わりにくしゃみして、

雨乃こさめ

…。

6月の匂いを繰り返す。

LAN

ニコッ)

君の笑顔は

君の無邪気さは

頭の中を飽和している。

雨乃こさめ

(誰も何も悪くないよ。)

雨乃こさめ

(君は何も悪くないから。)

雨乃こさめ

もういいよ。

雨乃こさめ

投げ出してしまおう

雨乃こさめ

そう言って欲しかったのだろ、

雨乃こさめ

ねぇッ

END

白音

お疲れ様でした、

白音

一応”あの夏が飽和する”は終わりです。

白音

番外編等作ってほしいのがあればコメント
ください!

白音

作りますので。

白音

では次は

白音

”〇〇だった長男”

白音

でお会いしましょう。

白音

それでは閲覧ありがとうございました。

この作品はいかがでしたか?

603

コメント

6

ユーザー

全ての作品の最新作にてお伝えしておりますが、このアカウントは動きません。 誤作動によりアカウント消去してしまったので、 連載してる作品の続編等見てる方はこのコメントしてるアカウントで 続編を作らさせていただきます。 ご理解お願いしますっ

ユーザー

泣いた 神なんだが?

ユーザー

ほんとに神作品すぎます もう感動しちゃって泣きます

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