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俺が育った国は戦争が絶えない国で、常に新しい兵器を求めてた
皮肉にもその国は技術力だけは高くて
その技術力を活かして日々あたらしい兵器を作成し、戦場ではかなり活かされていた
でも少しづつ周辺国の技術力が追いついてきて
技術力以外秀でた部分のないその国は
そろそろ限界だろう、と多くの人が考えていた
しかし、不幸にも希望を持ち続けた人間がいた
その国の最高兵器研究長だった
どれほど新しい兵器を作り続けても、 領地はどんどん侵食される
20年もすればこの国の領地は無くなるだろう、と皆が口を揃えて言った
そんな焦りから男は、 禁忌に触れてしまった
それが
人間兵器
・・・・その顔は気付いてるみたいやな
俺は、
世界初の人間兵器や
そんな俺の記憶は実験施設の中から始まる
飯なんて1日2食もあれば贅沢なもんで
暗くて、狭くて、孤独。
そんな場所で過ごした
供給されるのは水とパンのみ
だがこれらを苦に感じないくらいの拷問を受けていた
正確に言えば拷問じゃなくて実験だ
熱耐性、毒耐性、電力耐性、麻痺耐性、 物理攻撃耐性、精神攻撃耐性…
この他にも様々な耐性をつけさせられた
身体を固定され、注射針で少しずつ薬物を投与されるんだ
異物が身体に入り込む感覚が凄く気持ち悪かった
その実験は俺が意識を飛ばすまでやるから
回数を重ねて耐性が付き始めると長い間苦しむことになる
その頃にはもう、 俺の身体は俺のなんかじゃなくて
どれだけ泣いてもどれだけ喚いても 壁を1枚隔てた先で冷酷に俺の様子を 記録し続けるアイツらの物だった
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人間兵器作成が始まってから5年程 経った頃、
実験は耐性をつけるものから思考力や戦闘能力、身体能力を引き上げるものへと変化した
実践や強制的な反復練習などで武術などを身体に強く染み付けたさせたり、
薬剤や特別な電磁波を脳に流し込み、 身体の構造を変えたりする実験となった
特に力を入れて開発したのは 俺の声らしい
俺の声は、生を持つもの全てに命令をすることができる
敵味方構わず、俺の声が一言一句ハッキリと聞こえたもののみ
その頃には俺は全てを憎んでいた
国も、研究員達も、世界も。
だって、そうでもしないと耐えられなかった
呼吸をするだけで体中が軋んで、
涙が床に零れ落ちる振動で脳が激しく揺れて。
そんな身体にした研究員や国、
過酷な実験を繰り返されても 死なせてくれなかった世界が憎かった
そんな激しい憎しみが膨大に膨れ上がったとき、
張り詰めた糸がぷつりときれるように、
今まで感じていた怒りや苦しみ、悲しみがどこかへいってしまった
何も分からなくなった
脳内が真っ暗に染まって、
何も考えられなくなって、
気が付いたら目の前に屍になった研究員が居た
どうやら俺は研究員や国の人間達を
余すことなく殺したらしい
国に生きている人間が居なくなった後
ようやく理性を取り戻した俺は
あれだけ嫌っていた殺人を、 大量に犯したはずなのに
悲しみも、恐怖も感じられなくて
重たい枷が外れたかのようにスッキリとしている己がいることが信じられなかった
これからどうしよう、と考えていたら
研究施設に戻ってきていた
結局、施設が俺の育った家だったんだ
無意識に戻ってきてしまうほどに。
そして気付いた
俺を生み出した人間や国を殺しても
俺が人間兵器として完成してしまったという事実だけは変えることはできないことに。
俺がこの世界にいる限り、その事実が存在し続ける。
ならば俺ごと何もかもなかったことにしよう、と
研究施設に火をつけた
小さな火種が徐々に大きくなっていく様を見ていると
背後から声をかけられた
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この言葉をどれだけ待ち焦がれたことか
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躊躇いなく俺を人間だと言い切り
得体の知れない俺に躊躇なく手を伸ばす
なんて強い人間なんだろう
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グルッペンの全てをすくってくれそうな大きな手をとる
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コメント
2件
久しぶりだ〜!続き気になる、、