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zm

もう、平気なん…?

rbr

んー、本調子やないけど平気やで

zm

っていうか、昔話って…ッ

rbr

うん、昔話

rbr

俺が大勢の人を殺した経緯について

zm

大勢の人、

zm

でも、この国は不殺を掲げとるやんか!!

rbr

そうやな

rbr

だから今からする話は

rbr

俺が我々国に来るまでの話や

俺が育った国は戦争が絶えない国で、常に新しい兵器を求めてた

皮肉にもその国は技術力だけは高くて

その技術力を活かして日々あたらしい兵器を作成し、戦場ではかなり活かされていた

でも少しづつ周辺国の技術力が追いついてきて

技術力以外秀でた部分のないその国は

そろそろ限界だろう、と多くの人が考えていた

しかし、不幸にも希望を持ち続けた人間がいた

その国の最高兵器研究長だった

どれほど新しい兵器を作り続けても、 領地はどんどん侵食される

20年もすればこの国の領地は無くなるだろう、と皆が口を揃えて言った

そんな焦りから男は、 禁忌に触れてしまった

それが

人間兵器

・・・・その顔は気付いてるみたいやな

俺は、

世界初の人間兵器や

そんな俺の記憶は実験施設の中から始まる

飯なんて1日2食もあれば贅沢なもんで

暗くて、狭くて、孤独。

そんな場所で過ごした

供給されるのは水とパンのみ

だがこれらを苦に感じないくらいの拷問を受けていた

正確に言えば拷問じゃなくて実験だ

熱耐性、毒耐性、電力耐性、麻痺耐性、 物理攻撃耐性、精神攻撃耐性…

この他にも様々な耐性をつけさせられた

身体を固定され、注射針で少しずつ薬物を投与されるんだ

異物が身体に入り込む感覚が凄く気持ち悪かった

その実験は俺が意識を飛ばすまでやるから

回数を重ねて耐性が付き始めると長い間苦しむことになる

その頃にはもう、 俺の身体は俺のなんかじゃなくて

どれだけ泣いてもどれだけ喚いても 壁を1枚隔てた先で冷酷に俺の様子を 記録し続けるアイツらの物だった

人間兵器作成が始まってから5年程 経った頃、

実験は耐性をつけるものから思考力や戦闘能力、身体能力を引き上げるものへと変化した

実践や強制的な反復練習などで武術などを身体に強く染み付けたさせたり、

薬剤や特別な電磁波を脳に流し込み、 身体の構造を変えたりする実験となった

特に力を入れて開発したのは 俺の声らしい

俺の声は、生を持つもの全てに命令をすることができる

敵味方構わず、俺の声が一言一句ハッキリと聞こえたもののみ

その頃には俺は全てを憎んでいた

国も、研究員達も、世界も。

だって、そうでもしないと耐えられなかった

呼吸をするだけで体中が軋んで、

涙が床に零れ落ちる振動で脳が激しく揺れて。

そんな身体にした研究員や国、

過酷な実験を繰り返されても 死なせてくれなかった世界が憎かった

そんな激しい憎しみが膨大に膨れ上がったとき、

張り詰めた糸がぷつりときれるように、

今まで感じていた怒りや苦しみ、悲しみがどこかへいってしまった

何も分からなくなった

脳内が真っ暗に染まって、

何も考えられなくなって、

気が付いたら目の前に屍になった研究員が居た

どうやら俺は研究員や国の人間達を

余すことなく殺したらしい

国に生きている人間が居なくなった後

ようやく理性を取り戻した俺は

あれだけ嫌っていた殺人を、 大量に犯したはずなのに

悲しみも、恐怖も感じられなくて

重たい枷が外れたかのようにスッキリとしている己がいることが信じられなかった

これからどうしよう、と考えていたら

研究施設に戻ってきていた

結局、施設が俺の育った家だったんだ

無意識に戻ってきてしまうほどに。

そして気付いた

俺を生み出した人間や国を殺しても

俺が人間兵器として完成してしまったという事実だけは変えることはできないことに。

俺がこの世界にいる限り、その事実が存在し続ける。

ならば俺ごと何もかもなかったことにしよう、と

研究施設に火をつけた

小さな火種が徐々に大きくなっていく様を見ていると

 

死ぬのはまだ早いのではないか?

背後から声をかけられた

rbr

・・・・誰だ

 

嗚呼失礼、名乗るのが遅れてしまった

 

私はグルッペン・フューラー

gr

我々国の総統だ

rbr

お偉いさんか

rbr

早くこの国から出た方がいい

rbr

焼き焦げて死ぬよ

gr

君は?

rbr

・・・俺?

rbr

俺はいいんだ

gr

どうして?

rbr

俺という存在を消去するために火をつけたんだから

gr

何故?

rbr

アンタには関係ないだろ

gr

いや、関係あるさ

rbr

・・・・?

gr

俺は君が気に入った!!

gr

だから関係がある!

rbr

・・・・はあ

gr

今君に死なれたら困る

rbr

・・・分かったアンタ俺を使いたいんだろ

gr

うん?

rbr

我々国が戦争に負けそうになっているから

rbr

崩壊したこの国を利用しようとしてる

rbr

人間兵器である俺を利用しようとしてるんだろ

gr

・・・・あぁ、そういうことか

gr

心外だな

gr

我が国がそんなに弱いと?

rbr

そうでもないとアンタがここに居る理由がないだろ

gr

いや別にただの散歩だが?

rbr

・・・・散歩?

gr

散歩中に半壊してる面白そうな建物があったから入った

gr

そして建物から戦争を見た!

gr

いや…戦争とも呼べない

gr

なんて言ったって1人対国の戦争なんてある筈がない!

gr

更に敵兵の精神に干渉するような攻撃を使っている様子だった

gr

攻撃を受けた者達は味方に斬りかかっていたよ

gr

あれは声か?声を使っているのか?

gr

なんて無差別!

gr

数秒前まで味方だった者達が戦い合うざま…

gr

正に阿鼻叫喚!!

gr

さらに1人で戦いの状況をひっくり返せるような力!!

gr

これを見事と呼ばずになんと呼ぶ!

gr

そして立っている者が1つになった時、ようやく見えたさ…

gr

1人で国と戦い、勝利した者が、

gr

まだ年端もいかない子供?

gr

面白い予感しかないじゃないか!!

gr

さあ!我々の仲間にならないか?

rbr

・・・・いかれてるよ、お前

gr

承知の上さ

gr

俺は、お前という人間が欲しい!!

rbr

・・・・俺は人間じゃない

rbr

兵器だ

rbr

遂に感情まで削げ落ちたんだ

rbr

完全に兵器になったんだよ

gr

いいや、人だよ

gr

人として生き、人として死にたいという考えに至れるのなら

gr

それはれっきとした人間さ

この言葉をどれだけ待ち焦がれたことか

gr

他の者がなんと言おうが

gr

私から見たら同じ人間に過ぎない

gr

私が君が人間であることを証明し続けてあげよう

gr

さあ、俺の手をとって。

躊躇いなく俺を人間だと言い切り

得体の知れない俺に躊躇なく手を伸ばす

なんて強い人間なんだろう

rbr

アンタ、カッコイイな

gr

知っているさ

グルッペンの全てをすくってくれそうな大きな手をとる

rbr

・・・・ありがとう

rbr

おしまい

zm

・・・・・っは

zm

おま

zm

rbr

落ち着けって

zm

だって人間兵器って…

rbr

人間兵器なんて非効率極まりない研究するなんて馬鹿げてるからなぁ

rbr

もう古いんよ、人間兵器は

zm

そう、なんか…

zm

なあ、ロボロ

rbr

なあに?

zm

ロボロも感情無かったんか…?

rbr

せやね

rbr

我々軍の奴らのお陰で全部戻ってきたけど、無かった時期もあったで

zm

そう…なんや

rbr

・・・・・・

zm

・・・・・

rbr

なあ、ゾム。

zm

・・・なに?

rbr

まだ怒っとる?

zm

おこ…?

rbr

医務室でさ、俺に色々言ったやろ?

zm

あ、

rbr

あれは多分お前の怒りや

rbr

俺がお前に色々隠してたことが許せなかったんやろ

zm

あん時は…すまん

rbr

いや、あれは俺が悪かった

rbr

こちらこそごめん

zm

・・・・実はまだちょっと怒ってる

zm

相棒なのに隠し事されるのは嫌や

zm

なんでそんなことしたん?

rbr

あー・・・恥ずかしい話、

rbr

カッコつけたかった…んかな

zm

はい??

rbr

相棒ができたの初めてで、

rbr

弱いところを見せたくなかったというか…

zm

えぇ…

zm

んー俺らって相棒やんか

zm

弱いところも全部見せて欲しい

rbr

おん…せやね

rbr

・・・・これからはそうするよ

zm

なあ、今まで頑なに相棒をつくろうとしなかったってシャオロンから聞いたで

zm

なんで俺に相棒になろうって言ってくれたん?

rbr

あー・・・

rbr

怒らないで聞いてほしいんやけど…

rbr

俺ってほら…人間やないやん?

zm

いや人間やろ

rbr

んーまあ俺ってひねくれてるからさ

rbr

結局は人間に憧れてる兵器なんだよなーって思ってたりするんよ

zm

もう怒りそう

rbr

落ち着けって!!

zm

おん…

rbr

えーっと、お前初めて会った時からもう感情なかったやんか

rbr

それが…人間じゃないみたいで…

zm

え?

rbr

ロボットみたいやなって思ってもうて…

rbr

なんか同類みたいやなって…

zm

あー・・・?

rbr

今思えばほんっとに失礼なんやけど!

rbr

ごめん!!

rbr

不純な動機で相棒になってもうて…

rbr

でもゾムと過ごしてるうちに

rbr

面白くて信用出来る奴やなって思ったんよ!

rbr

背中任せてもいいなって思ったんよ!

zm

そ、そうやったんか…

rbr

・・・・怒らへん?

zm

んーまあな

zm

俺もこんなチビが相棒なんやとか思ったし

rbr

なんやと!?

zm

いやお前が怒れることちゃうからな!

rbr

それはそう!!

zm

・・・っふ、

rbr

・・・・んふ、

rbr&zm

wwwww

zm

はー、笑った笑った

rbr

んふ、せやね

rbr

・・・・もう怒っとらん?

zm

おん

rbr

よかったぁ…

zm

これからも俺と相棒でいてくれるか?

rbr

・・・・おん、もちろんや!

rbr

・・・・なあ、相棒

zm

なんや?

rbr

思い出したんやろ?

zm

・・・・?

rbr

次はお前の番やで

rbr

聞かせてくれや

rbr

お前の、昔話

zm

・・・・!

zm

・・・・おん、ロボロが弱さを見せてくれたんや

zm

俺も見せなアカンよな

zm

・・・上手く話せるかはわからんけど

zm

聞いてくれ、俺の…昔話を。

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コメント

2

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久しぶりだ〜!続き気になる、、

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