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僕をあっさりジンヒョンの部屋に招き入れたジョングク。 つまり僕の事を家族、もしくは関係者と知っていたという事だろう。
ジン
僕がここに入って間もなくトイレから出てきたジンヒョンと鉢合わせした。 自分が開けなければ入って来れるはずのない弟と会って、少々驚いてる事が窺える。
説明する為に名前を呼んでもいいのかどうなのか、一瞬だけジョングクに目を向けて表情を確認したのだが。
グク
図体に似合わず小さく挙手したジョングクがサラッと言ってくれて、僕の役目はなくなった。
グク
立て続けに出て来たジョングクの言葉に、僕は"あーやっぱり知ってたんだ"という単純な考えと"目が似てる"という、幼い頃から変わらない類似点に苦笑いするしかなかった。
"目が似てる"って言われ過ぎて嫌でも良いでもない。 ただ"兄妹なんだな"と思うだけだ。
ホソク
ジン
その後で自分の手にあるもう一つの袋。
ホソク
それの封を開けて中身をジョングクに見せた。 この場所はジンヒョンの好きなお香が焚かれていていつも同じ独特な匂いがするのに、別な爽やかな香りが鼻を掠めた。
グク
ホソク
ジンヒョンも近付いて来て袋の中を覗き込んだ。
ジン
とか何とか言いつつ、ズボッと袋に手を入れてノーマルな塩パンを鷲掴みにしてすぐさま齧った。 勢いよくチョコの方を取られなくて良かったと胸を撫で下ろしてたのは秘密だ
塩パンを食べながらキッチンにコーヒーを取りに行ったジンヒョンの後で、ジョングクが'じゃあ'と言いながら袋からチョコの方の塩パンを手にした。
パン一つなのに宣伝の様に絵になって見えるのは、やっぱり顔立ちの良さがもたらすものなのだろうか。
ジョングクはジンヒョンの事を"ヒョン"と呼ぶし、ジンヒョンはジョングクの事を"ジョングギ"と呼んだ。 いつもは"お客様"って呼ぶのを知ってるから、その違いに気付かない方がおかしい。 それに敬語を使ってない点もだ。
かと言って今ここでどんな間柄かを聞くのも、そんな容易い事ではない。
ジン
塩パンを食べ切って、あれこれ準備を始めるジンヒョンのこの一言がキッカケになった。
グク
敬語になると思いきや、ジョングクは変わらずタメ口だったから、塩パンの袋を閉じた後で僕も"はい"ではなく"うん"と答えた。
インクケースをガチャガチャといじる音とか、何処かを消毒するスプレーの音とかに紛れて
グク
ホソク
グク
僕とジョングクの自然な会話が続いている。
芸能人だからこうなんだろうなっていう偏見は特になかったつもりだけれど、ジョングクってこんなに気さくなんだという印象は持った。
グク
だからジンヒョンの準備が終わるまでジョングクの話しは尽きなくて
グク
グク
整った歯並びを見せて顔をくしゃっとさせて笑ったり。
ジン
ジンヒョンが黒いカーテンで仕切られた向こう側から声を掛けて来た事で、ジョングクとの会話が終わる。
グク
カーテンの向こう側に行く前に、自分の首を指差したジョングクの目は僕を見ている。
グク
ホソク
グク
グク
去り際に言うにはかっこ良すぎる言い方だ。 軽い気持ちで入れた首のタトゥーの価値が上がった様な気になった。
今日は雲があるかないかってくらい晴れているのに、僕の身体にある不名誉な古傷が鈍く脈打つ感覚がある。 後々天気が崩れるのだろうか。 そんな天気予報は目にしなかったのに。
網戸の向こう側の空は気持ちの良い空色だ。 それから下の階からはドアの開く音も閉まる音も聞こえなくて、まだジョングクが施術中であると認識した。
イラストの下書きまで終えた後で昼食を準備したのだけれどジョングクの分で作るべきだったかと、もう出来上がってしまったパスタを見て今更。
"余計なお世話かもしれない"と"あの親しさからしてジンヒョンと一緒に食べるかも"が頭の中をぐるぐるしているのだ。
そうしてるうちに下から少し大きめの話し声が聞こえた。 それからドアが開く音も。 ベランダに出て下を覗き込んで見ると、ジンヒョンとジョングクがドアから外に出て案の定何か話してる最中だった。
ホソク
上から声を掛けてみればジンヒョンだけではなく、眩しそうにやや目を細めたジョングクも僕を見上げた。
ホソク
ジン
ジンヒョンがジョングクの顔を見る。
ジン
グク
ジン
変わりますけどね。 即座どころかやや食い気味でジンヒョンの言葉に突っ込んだがそれが口から出せなかったのは、ジョングクが'やったー!'なんてキラキラした笑顔で言うのを見てしまったから。
さあどうしようか。 パスタは2人分しかない。 "ジンヒョンと一緒に食べるかも"で作れば良かった。