旭
え…
旭
……
旭
…引っ越す…?
旭
2人の大学って確か…
拓翔
……うん
拓翔
結構遠いところ
拓翔
…だから
拓翔
俺も音坂も
拓翔
その近くに引っ越す
ことになったんだ
ことになったんだ
旭
……
旭
…そ…
旭
…そっ…か…
旭
…仕方ない…よね…
拓翔
……
旭
(…じゃあ…)
旭
(卒業したら…)
旭
(俺達2人の関係って)
旭
(何になるんだろう…)
旭
(“同じ高校の生徒”でも
なくなって)
なくなって)
旭
(“同じ地区に住む人”
でもなくなって)
でもなくなって)
旭
(“隣にいてくれる人”
でもなくなって…)
でもなくなって…)
旭
……
旭
(…でも、それが…)
旭
(大人になるって
ことだよね…)
ことだよね…)
旭
(当たり前のこと
だもんね…)
だもんね…)
旭
……
旭
…元気でね、拓翔くん
旭
学校は俺がちゃんと
背負ってくから
背負ってくから
拓翔
……
拓翔
…うん
拓翔
ありがとう、旭
瑞樹
…まぁ
瑞樹
元々俺達2人って
瑞樹
一人暮らしみたいな
もんだからな…
もんだからな…
瑞樹
俺は親と別居してるし
拓翔
俺は同居はしてるけど
拓翔
ほとんど帰ってこない
旭
…難しいね
旭
家族の形って
旭
みんなそれぞれ違う
旭
兄弟がいない人
旭
親がいない人
旭
そもそも同居すら
してない人…
してない人…
旭
……
旭
…家族構成が
どうであっても
どうであっても
旭
いずれは離れ離れに
なるし…
なるし…
瑞樹
みんなそうだろ
瑞樹
なに
瑞樹
白銀くんは親離れが
怖いの?
怖いの?
旭
……
旭
…怖いよ
旭
2人もそうじゃないの?
旭
慣れない土地で
旭
不特定多数の
知らない人に囲まれて
知らない人に囲まれて
旭
生活するんだよ
旭
……最初は
旭
誰だって怖いよ…
瑞樹
……
拓翔
…そうだね
拓翔
…引っ越しが必要に
なることは
なることは
拓翔
薄々気づいては
いたんだけど…
いたんだけど…
拓翔
…やっぱり
拓翔
俺もちょっと怖い
旭
…((コクリ
拓翔
…でも
拓翔
別にお別れじゃないよ?
拓翔
このまま一生…
拓翔
二度と会えない
わけじゃないよ
わけじゃないよ
拓翔
…そんなことになんか
拓翔
絶対しない
拓翔
いつでも連絡して
いいし
いいし
拓翔
またここに顔出しに
来るから
来るから
旭
…!
旭
……
旭
…うん
旭
待ってるね
瑞樹
……
瑞樹
(…強いな…)
瑞樹
(2人は…)
?
(…そんな…)
?
(…引っ越す…?)
?
(瑞樹先輩が…?)
?
……
萌音
(嫌だ…)
萌音
(…そんなの嫌だ…)
萌音
(…けど…)
…それが
瑞樹先輩が自らの意思で
選んだ道なら…
萌音は
受け入れなくちゃ
帰宅後
旭
……
旭
(…なんで…)
旭
(…ずっと前から
覚悟してたはず
なのに…)
覚悟してたはず
なのに…)
旭
(ずっと横にいてくれる
なんてありえない…)
なんてありえない…)
旭
(いつかはこうなるん
だろうなって…)
だろうなって…)
旭
(わかってたのに…)
旭
(それでも頑張る
からって…)
からって…)
旭
(拓翔くんを追いかけ
たいからって…)
たいからって…)
旭
(生徒会長にまで
なったのに…)
なったのに…)
旭
(やっぱり)
旭
(現実は重たい…)
旭
(辛い)
旭
(苦しい)
旭
(寂しい)
旭
(虚しい)
旭
……
旭
(そんなの…)
旭
(もう慣れてたはず
なのに…)
なのに…)
『いたい…』
『くるしい…』
『だれかたすけてよ…!』
『なんでっ…おれだけ…っ』
『こんなつらいおもいしなくちゃ いけないの…っ!』
旭
い”っ…!
旭
(…あたま…いた…っ)
旭
(…ダメ…)
旭
(思い出したら…っ)
旭
(…もう…)
旭
(治ったんだから…!)
旭
っ…
旭
……
旭
(…少し…)
旭
(寝よう…)
旭
(頭を冷やそう…)
誰も
このトラウマを 取り除いてはくれない…
プルル… (着信音)
旭
((ビクッ
旭
…でんわ…?
旭
(…誰から…)
…ス…ッ (スマホを手に取る)
旭
(あ…)
ピッ (応答する)
旭
…もしもし?
萌音
あ…
萌音
良かった…
萌音
もしかしたら
出てくれないかもって
思ってました…
出てくれないかもって
思ってました…
旭
そんなことないよ
萌音
……
萌音
…今
萌音
少しお話ししても
いいですか…?
いいですか…?
旭
うん
旭
もちろん
旭
何でも聞くよ
萌音
……
萌音
…遠くに…
萌音
行っちゃうって…
旭
え?
萌音
…瑞樹先輩と…紫雲先輩
萌音
大学の近くに
引っ越すって…
引っ越すって…
旭
!
萌音
…本当ですか?
萌音
…萌音の…
萌音
聞き間違いじゃ
ないですか…?
ないですか…?
旭
……
旭
(…音坂先輩から
聞いてたっていう
よりかは…)
聞いてたっていう
よりかは…)
旭
(今日の俺達の話を
聞いてた…って感じ
かな…)
聞いてた…って感じ
かな…)
旭
……
旭
…もしそれが
聞き間違いなら
聞き間違いなら
旭
俺と同じ聞き間違い
してるね
してるね
旭
かなりの低確率だよ…w
萌音
っ…
萌音
……
萌音
…白銀先輩は
萌音
どう思いますか?
萌音
あの2人が…
萌音
離れていくこと…
旭
……
旭
…仕方ないって
旭
思うかな
旭
…いつかは絶対
旭
そうなるんだと思う…
萌音
…そう…
萌音
ですよね…
旭
宮水さんは?
旭
…やっぱり
旭
音坂先輩と離れたく
ないよね…
ないよね…
萌音
…((コクリ
萌音
…でも
萌音
だいぶ前に言って
しまったんです
しまったんです
萌音
『瑞樹先輩が自分の
意思で決めたことなら』
意思で決めたことなら』
萌音
『萌音は全部
受け入れる』って
受け入れる』って
旭
……
萌音
…わかってる…
萌音
先輩の考えを
否定する権利なんて
否定する権利なんて
萌音
萌音にはないって
ことぐらい…
ことぐらい…
萌音
わかってるけど…っ
旭
うん…
萌音
先輩だって…
萌音
言ってくれたのに…!
【雪夢:3話】
【雪夢:3話】
『待ってる』
『萌音が 卒業するまで』
『隣で』
萌音
…っ…
萌音
…言って…
萌音
くれたのにな…
旭
……
旭
…そうだね…
旭
取り残される側は
旭
いつもいつも
こんな思いをする…
こんな思いをする…
旭
……
旭
…どんなに
足掻いたって…
足掻いたって…
変えられないもの なのにね…