金髪ギャルと牛島若利

今日は代表決定戦初日

暇だったから少し覗きに行った

会場につき応援席に行こうとしたら

腹痛に襲われた

うっ、昨日調子乗ってアイス食い過ぎた

いやトイレトイレ

見つけた…！

でもそこに居たのは

また若利他校にちょっかい出して

やっべ、行きたくねえ

でも腹が

仕方ねえ、背後を向けて行くぞ

背を向けてトイレのドアを開けようとしたら

げっ、やっぱり話しかけられた

あー

あー

あの人は知ってたのか

腹の痛みなど忘れて会場をとぼとぼ歩いていたら

あっ

聞いたことのある

思い出した

消してしまいたかったのに

バレーシューズを鳴らし仲間の元へ戻って行く元チームメイトを

ただずっと見てるだけだった

彼女は新山に進んだのか

試合には勝った

おめでとう。とにっこり笑えない

内容もあんまり覚えてない

帰りたい

そう思って出口を探した

隼人は知っている

ずっとおんなじだったもんね

裏階段に来た

普段選手たちの着替えなどに使われる

白鳥沢の試合が最終だったのか周りには誰もいない

少し静かで、声がよく通る

「なにやってんだろう」

は！なに一人でべらべら話してんだ！？

座っていたあたしに隼人がしゃがんで

抱きつかれた

ふわっと柔軟剤の香りがした

とても心地の良い匂い

あの時の若利と同じ匂い

隼人は中等部の初恋

隼人が好きだった

でもね隼人気になる人が出来たんだ

天然で

バレーが大好きで

素直すぎるあの人

その人のおかげでバレーと関わっていたいと思えた

でも

これが恋かはまだわかるのは早いみたい

山形を探しに館内を回っていると

階段から声がした

近づいてみたら

山形〇〇が抱き合ってた

俺は途端にその場を去った

なにか嫌だ

別に「山形、バスに遅れるぞ」と言えばいいだけなのに

体が勝手に動いた

呼吸が乱れる

苦しい

いつもどうりの山形隼人だった

まるでなにもなかったように