この作品はいかがでしたか?
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ーおらふ side
おらふくん
眩しい光に包まれ
目を恐る恐る開ける。
一瞬だけ感じた鈍い痛み。
おらふくん
おらふくん
その痛みはもう体から消えていたけれど。
おらふくん
おらふくん
代わりに心は
じくじくと傷んでいた。
僕はパニックを起こしつつも
君を必死に探す。
涙で視界が霞もうとも
髪が目に入って痛んでも
僕は気にせず走り続けた。
おらふくん
おらふくん
おらふくん
だってそんなことより君に会えない
この心の痛みの方が
ずっとずっと嫌だったから。
おらふくん
おらふくん
躓いて
転んで。
転んだ傷は無く
痛まなくても
心はすごく痛む。
痛くて、
痛くて。
僕はその場にうずくまる。
「会えないかもしれない」
そんな言葉が思い浮かんだ時
目からは大粒の涙が溢れ出して。
動くことができなかった。
辺りは光に満ちていたけれど
僕の心の中は暗雲が渦巻き始めていた。
そんな時。
僕の手を暖かい何かが覆った。
顔をあげるも
涙で霞んでよく見えない。
だがその見覚えのある紫の髪は。
ぼんさん
大切な仲間の1人。
その優しい大きな手。
僕を気遣うようにそっと立たせてくれる。
安心感と同時に
押し寄せてくる
ごちゃまぜになった感情。
おらふくん
必死に絞り出した一言。
困ったように眉毛を下げ、
何かを言おうとしたように
口を開きかけていたけれど。ぎゅっと口を結ぶ
その顔を見た瞬間に
ぼんさんも僕と同じ気持ちだということを
わかってしまった。 理解した。
そっと繋いだままの僕の手を引っ張り
優しく誘導してくれる。
少しした後立ち止まって。
無言で向こうを指さす。
その指が示す所へ顔を向けると。
おらふくん
大きな巨木。
その大きな幹に寄りかかるようにして
”君”は座っていた。
慌てて僕は駆け出す。
君がこの世からいなくなってしまった時。
”もう二度と会えない”とさえ思った。
そんな君に会う為に。
僕は命さえ投げ出した。
ただただ君にもう一度だけ
”会う為に”
ーぼん side
暖かい光が顔を照らす。
ふわふわとした体の感覚。
こういう時だけは察しがいいな、俺は。
辺りを見回し、周囲を確認していると。
ぼんさん
ぼんさん
驚いて目を見張る。
何で泣いている?
それは置いておいて。
急いで駆け寄り、
手を握り、話し掛けてみる。
また、迷子にでもなったのか。
そこにかけられた一言。
”どうして”
その言葉を直接言われるとさ。
胸がぎゅっと痛くなる。
”同じ気持ちだ”
そんな言葉を飲み込む。
軽々しくその言葉は 口にしては行けない気がしたから。
無言で手を引く。
俺は直感の赴くままに歩き始める。
こういう時の勘には自信がある。
自分ではゆっくり歩いているつもりだったけど
焦る気持ちからか
せかせかと足をはやめる。
焦る気持ちを必死に押し付けながら
歩き続ける。
果たして。
青々とした葉をしげらせる巨木
一見、普通だが
驚きと嬉しさから
足がとまる。
たった一日、会えなかっただけなのに。
こんなに懐かしい気持ちになるのは
何故だろう?
声が出ない。
身体を動かせない。
やっとの事で動かした右手。
巨木に向けて指をさす。
おらふくんが不思議そうに こちらを見つめてくる。
が 指の方向へ視線を移動させた時。
俺と同じように固まったあと。
駆け出して行った。
その背中が眩しくて
その綺麗な顔から零れ落ちる涙を
俺は見逃さなかった。
暫くして俺も。
その背中を追うようにして。
ずっと会いたかった君に向かって
歩いてゆく。