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コメント
5件
こ、口角が…下がんないぞ…ッッ!? まじでなんかもう、尊いしか出てこないです尊すぎて🙄 栄養補給ありがとうございます…🙏🏻
うわあ…これ第1話でこの重さか…(息を呑む) ないくんの自己嫌悪と、周りの楽しそうな空気とのギャップが痛いくらい伝わってきたわ。特に居酒屋のシーンであにきとまろのイチャイチャを見ながら「自分は異端だ」って思ってるところが辛すぎる… でも、りうらくんの優しさとか、そういう小さな救いもあって、この先どうなるのかすごく気になる。続き読みたいです🔥
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大学の最後の講義を終えて、辺りはすっかり暗くなっていた。
やや肌寒い季節となり、日が落ちる頃合が早まってきたと実感する。
そして今、街灯に照らされる影を見落としながら、同じ講義を取っていた友人と同じコミュニティに属する集いの飲みに出向いていた。
俺より少し高い背丈で、笑ってしまうほどに機嫌よく鼻歌を歌いながら歩く彼に問いかけた。
桃
桃
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んふ、と笑みを零すひとつ上の友人、通称まろ。
まろは高校で一番仲の良かった先輩で、偶然にも同じ大学に進学し同じ学科で同じ講義を取っていた。
余程の偶然さに驚いてしまうほどで、日頃何かが揃う事に「運命かよ」なんて笑っていた。
そんなまろはのほほんとした顔でまた鼻歌を歌い出す。そんなに頻繁に行う飲み会が楽しみなのだろうか。
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青
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桃
やはり歴の長い間柄にそう言われると嬉しい反面、照れ臭さが残る。適当に流しながら、目前に佇む居酒屋へと立ち入った。
母のメンタルブレイクも落ち着いたようで、ほっと胸を撫で下ろしてからベッドに身を委ねる。
ため息をひとつ着いてから、大きく息を吸って、吐いた。
俺は同性愛者が嫌いだ。
心の底から嫌悪している。
それはゲイに限らず、レズだってノンバイナリー同士でも。普通の恋愛観を押し付ける奴も嫌いだ。
しかし、俺は押し付けないだけで“男女”が恋愛することが普通だと考えている。
だから俺は異端で、俺と同類の奴も異端。きっとそうに違いないと、信じ込まなきゃやってられなかった。
昔から人気者だった。
男女問わずよく告白された。
その頃はまだ男同士の恋愛に何も違和感は持っていなかった。
だから俺は平気で男を好きになったし、大人の男から付き纏われてもそれをおかしい事だとは思わなかった。
桃
思い出すと頭が重くなる。
あの場で助けることが正しかったのか、
あの選択が合っていたのかはわからない。
ただ保身という面では大正解で、恋人としては大不正解だった。
彼は酷いほどに虐められたし、クラスで孤立した。その分俺も関われなくて、謝ることすらできなかった。
そしてそこで初めて知った。
同性愛者は“異端”である、と。
桃
そういうと、盛り上がっていた卓が一段とまた盛り上がる。
水
桃
そう笑って流し、「久しぶりだねー」なんて言ってみせる。
2ヶ月ぶりの参加だろうか、この集いを見ること自体久方ぶりだろう。と思いつつ、横目でこっそりと左を見た。
黒
朗らかに笑う先輩こと通称あにき。
愛称の通り皆の兄貴分で、頼れる存在。見ての通り俺らを気遣い、己の隣の座布団をトントンと2回叩く。
美しく光る黄色の瞳が綺麗で、曇りがなかった。
……そんな甘美な瞳が見据えているのは、俺なんかじゃないが。
「すわりなよ」と言いながらまろの肩を軽く押し、こちらから見て左側に誘導する。
あにきの隣に座ってあげろ、なんて言うつもりは無いが、分かっていながら自分ファーストであにきの隣に座れるほどがめつくは無かった。
「ええの?」なんて言うから「何がだよ笑」と笑って見せて、四の五の言わずに右手側の手前の座布団に腰掛けた。
青
黒
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目の前で繰り広げられるふたりのイチャイチャぶりに苦笑する余裕もなく目を逸らしていた。
すると俺の左肩に手が置かれ、右側に引き寄せられた。
赤
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桃
桃
微笑む“りうら”に気さくに返事をする。
この距離の近さは平常運転で、パーソナルスペースが広めな彼は後輩であるりうらとか言うやつ。
生意気な部分もあれど、いちばん俺に懐いていて可愛がり甲斐があるガキンチョ。
桃
りうらのそのまた奥にいる彼に声をかける。
ずっとハイテンションでメニューを捲る彼は通称ほとけ。
愛称はいむくんらしいが呼んでるやつはなかなか見たことない。
水
水
桃
桃
やはり察しが良くて困る、と言うか人の変化にとても敏感だからやりずらい部分もある。
が、これはほとけのとんでもなくいいところ。
白
そう声を張りつつ、定員さんに「ありがとうございます」と語尾を伸ばしながら笑ったのは、右斜め前にいる初兎ちゃん。
ひとりひとりに優しく手渡して、乾杯の準備を進めていく彼はやはり優しさに塗れている。
桃
白
白
そうして、いちばん声のデカイまろを主導に乾杯の宴を挙げた。
俺は一段と酒に弱い下戸で、何より泣き上戸とかいう面倒くさい種族だから酒は滅多に飲まない。
飲んでもほろよいか檸檬堂を自宅で開けるくらい。
だから今もここでドリンクバーにストローを突っ込んで啜っていた。
…何より目の前の光景を見て酒を飲めるほど心は広くなかったから。
黒
黒
青
珍しくベロベロに酔ったあにきがまろにベタベタと絡み始めた。それはもう抱きつきながら頬を擦り寄せるほど。
あぁそうだ、だから俺は2ヶ月間も飲み会を避けていたというのに。
白
水
青
その光景を唐揚げを口いっぱいに頬張りながら眺めていた。
そんな俺の横ではりうらが「ウケる」なんて語尾を伸ばしながら頬杖を着いて笑っている。
周りは揃いも揃ってギャーギャーと騒ぎ、良い感じに賑やかな居酒屋に紛れてきた頃だった。
俺の耳に、小さなトゲが伝う。
嘲笑を孕む、バカにした感情が丸出しの声と言葉。
桃
今、俺にどんな感情が渦巻いているかはわからない。
俺を指した悪口では無いことは100も承知である。
友人に対する侮辱に腹を立てているのか、図星だからか、嫌な記憶が蘇るからか。
燃焼しきれない思考が止まらず動き続けていた、その時だった。
赤
桃
赤
赤
遮るように言葉をかぶせ、取り外したタッチパネルをこちらに傾けながら操作するりうら。
「これがいい?」なんて指をさして聞いてくる優しさに申し訳なくなりながら、「これにする」と言ってカルピスウォーターを選ぶ。
桃
赤
そう言ってりうらは自分が食べたいものを数個カートに詰め込んでいく。
毎度あにきかまろの奢りだからかバンバンカゴに入れていくりうらに苦笑を浮かべた。
そのうち、りうらは初兎ちゃんとほとけの会話に混じっていった。飲み会でひとりぼっちなんて醜態を晒してたまらない恥ずかしさを隠すためスマホを開く。
桃
ロック画面に表示される、無数のメッセージ通知。
うつ伏せにしていたから音がならなくて気が付かなかった。パスワードを解除しながら開いていくと、案の定、と言った相手からのメッセージだった。
桃
そう言って立ち上がると、瞬時に返事が返ってくる。
赤
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桃
桃
桃
荷物をまとめて出ようとすると、まろに後ろから引き止められた。
青
桃
桃
そう笑って、足早に居酒屋から退店した。
桃
桃
宥めるように話すと、安心したように胸を撫で下ろす母。
この歳にもなって実家暮らしであるが、これには大層訳がある。
桃
生まれて間もない頃から、母は母の手ひとつで俺を育ててくれた。
だって父親が他所に“男”を作って蒸発したから。
母はまさか旦那が男に寝盗られるなんて思いもしなかっただろうし、同性だけでなく異性まで敵であったことに絶望して人間不信になった。
だから異様に俺に執着するし、よくメンタルブレイクを起こしていた。
…そんな愛する息子もまた、男を愛する変態だなんて口が裂けても言えなかった。
晴れて高校生になって、初めて彼氏が出来た。
同じクラスの学級委員で、クラスを引っ張れるようなリーダーシップを持った人気者。
彼は俺をとても大切にしてくれたし、この上ないほどに幸せだった。
そんなある日の、放課後。
ホームルームを終えた直後に、クラスの問題児が声を張り上げた。
彼を嘲笑の的にする、はじまりの合図。
クラスメイトがこっそりと述べた悪口を拡散する、あの嫌なノリだった。
彼の方を見ると、絶望したような面持ちでこちらを見ていた。
ただ、俺はその視線の意味を“わざと”汲み取らず、逸らした。
「ホントに行ってんの?」
「ガチならヤバくね笑」
「えガチゲイじゃん笑」
そんな陰口が蔓延った。
そして、俺の隣にいた友人が問うてくる。
桃
器官が狭まり、肩で息をする。
桃
桃
何度顔を洗って不快感を取り除こうとも離れない。
気持ちが悪くて堪らない。
何度実感しても吐き気に見舞われて、ただただ苦しくなる。失敗作として生まれたことに憎悪が募る。
あの日、知らない中年男性に体をまさぐられたことも
あの日、男性教員に着替えを手伝ってもらったのも
あの日、男に襲われそうになったことも
全て正しくなんて無かった。
己の純粋さにハマった。ただの罠だった。
それでも尚、今も男に恋心を抱く己が憎い。
死んでしまえばいい、のに、そんな勇気はない。
ただ、自殺願望は強くなる一方だった。
高校生2年生の頃、
彼と別れて1年が経過した頃、
帰り道で男に襲われて、それを一番仲がいい先輩に見られた。
助けてもらった。
知人に見られた恥ずかしさと、助けられた惨めさと、襲われた屈辱が今も忘れられない。
なのに、なのに、
俺はまた、太陽のような笑顔を浮かべる人に恋をしてしまった。
彼は男で、俺も男で。
もう恋なんてしたくない、諦めたい願望が強まる一方なのに、その想い人は“俺を助けた先輩”が好き。
何も包み隠さずにアタックして、正々堂々と勝負して。
負けなんて目に見えているのに、ズルズルと未練がましい自分に反吐が出る。
桃
強く掴みすぎていた髪が数本抜け落ちて、虚無感に陥る。
…何がしたいのか。
何を求めているのか。
そんなことはわからない。
ただ、今すぐに俺を地獄に叩き落としてほしかった。
桃
全てを忘れて寝てしまおう。
左にある棚の2段目の奥に隠してある瓶を手に取り、自室へと戻った。