雪名
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水×白×水 死ネタ 病み系要素てんこ盛りです 桃さん序盤中盤若干クズです 苦手な方はブラウザバック推奨 病気に関してはそこまで詳しくないので捏造多々あります キャラ崩壊もえげつないかと思われ
もう一度言います。 死ネタ含みます。 私の過去作(エンドロール)よりもど直球に書いてます。 苦手な方はブラウザバックをお願いします。
雪名
せいの狭間のおくりごと
ずっと、生きてるだけ無駄だと思ってた。
だから回復する事が難しい心臓の病気だと診断されたときは、 心なしか安心した。
やっと、消えられるんだって。 生きなくて良いんだって。
ーー
やっと、逝ける。 そう思った。
ーー
水
事務的に説明をする医者に対して 投げやりに答える。
ーー
不思議そうに眉を跳ねさせる医者。 …まあ、そりゃあそうか。 生きる気力のない患者なんか、そもそも病院なんか来ないよな。
水
水
ーー
同情した様な目線を向けてくる先生。 …僕が嫌というほど見てきた目。
今日は別に、そんな目を向けられる為にここにきたわけじゃない。
水
そこまで仲良いでもなかった兄が、 僕に遺した言葉。
《病気で生きる気がなくても、一度は俺の同僚に会え。》
…別に、守る義理なんてない。
でも、この約束だけは守らないといけない気がした。
水
水
…最期に交わした言葉だからだろうか。
ーー
ーー
水
ーー
そう優しく言って先生は診察室を出ていく。
しまったドアをぼんやり眺め、しばらく経った時。
診察室の扉が開き、派手髪の医者が入ってきた。
水
入ってくるなり椅子に座り、僕の顔を凝視する。
はっきり言って、不気味というか。
水
は、と我に帰ったように謝られた直後、 流れる様に自己紹介をされる。
水
水
水
コロコロと声や表情が変わる先生に気圧されながらも、 正直に質問に答えていく。
水
何故か寂しそうな目でこちらを見やる先生に、 どこか…居心地の悪さを覚える。
水
水
どこか暗い雰囲気を纏っていた先生は、 頬を軽く叩くといきなり笑顔になって言った。
水
治す気はないし、この人に会ったらすぐに家で引きこもろうと思っていたのに。
いきなりかけ離れた話題に飛んで… というか、全く考えてなかった入院という単語に戸惑う。
水
水
僕の言葉に対して驚いた様子を見せず、 どこか淡々と返される。
…まあ、そっちの方が気楽でいいか。
水
無理です。 そう言おうとした時、
深い笑みで通帳らしきものを目の前で振られる。
…なんで僕に冷たかったあの兄が 僕にお金なんか遺しているのだろうか。
《自分で考えろ、馬鹿。》 なんて、兄の声が聞こえた気がした。
4日後。
流されるまま、とんとん拍子で決まった入院。 身の回りのことは、やけに手慣れている先生にやってもらった。
治療する気もないし、どうせ死ぬんだから…と 家を解約して家具とか諸々売り払おうとしたら、 大慌てで止められた。
桃
桃
水
そんな、救うって言っても。 後の何も残ってない世界で生きるって、 意味なんてないじゃないか。
なんて捻くれた考えで先生の話をぼんやり聞いている。
そんな僕の気を知ってか知らずか先生は続ける。
桃
水
水
桃
水
押し込まれた先は、小綺麗な小さい部屋だった。
水
閉められたドアに向けて叫ぶ僕に、 どこかからか低めの声が聞こえる。
白
水
慌てて振り返った先に、ゆったりと椅子に腰掛ける 白衣を着た男の人がいた。
水
白
白
ふんわりとした雰囲気の先生は、 笑いながら手招きをする。
白
水
出してくれそうにもないし、 示された椅子に大人しく腰掛ける。
それを見届けてから、先生は電子カルテに向き直る。
白
水
白
何かが引っかかったのか、すこし顔を顰めてから彼はこちらに向き直る。
白
白
水
白
白
そう言って先生はますます笑みを深くする。
白
…いや、入院費用なしの条件というか。 まず僕、入院したくないんですけど。
なんて、 心の奥で少し思った。
白 side.
初日だからと軽めの自己紹介だけをして 彼を部屋に帰してからのこと。
ないちゃんから患者について聞いた時は、 また面倒臭い依頼を押し付けられたな、と。
ただそれだけしか思ってなかったはずなのに。
白
白
生きることに一切執着しない。 楽しさを感じさせない。 希望を持たない。
あれ程までに投げやりな人は初めて見た。
白
白
そう小さく呟いて、パソコンに向き直る。
白
光る画面を見ると、頭に鋭い痛みが走る。 そんな生活がもう2年ほど続いていて。
軽く頭を叩きながら小さく呟く。
白
そんな言葉が部屋に響いた時。
桃
静かな空気を切り裂くように、おどけた声を出してないちゃんが部屋に入ってきた。
白
桃
白
桃
白
桃
何処か掴みどころの無い飄々とした態度のこの男に、 患者を押し付けてきたこの男に、 全てがムカつくあの患者に。
生きたい奴に命を回すことができない。 死にたい奴が生き続ける。
そんな全部がクソみたいなこの不条理に、 理不尽な怒りが溢れて。
白
気付いたら、大声で叫んでいた。
白
白
そう捲し立てる僕に、 なんで怒ってるのかわからないとでも言うように彼は平然と言った。
桃
桃
桃
白
桃
ないちゃんは薄く笑って言葉を続ける。
桃
桃
白
桃
白
言ってることはブラック企業のそれだが、 生憎こいつの言ってることは的を射ている。
足掻いても無駄だとわかったし、 後は適当に本題を急かす。
白
桃
そうやって彼は複雑な表情を浮かべ、 息をひとつ吐いてから話し始めた。
桃
白
半年前。 頭痛や倦怠感が続き、仕事にも支障をきたしていた。
…ないちゃんからも助言されて、念の為に受けた健診で、
頭に前例が無いような異常が見つかって。 …働けない医者はいらないって、クビにされた。
そこをないちゃんに拾ってもらって、 今もまだこの病院で働けている…という状態。
白
桃
次に口を開く前にチラリと見えたのは、 苦しそうな彼の顔。
でも、瞬きした直後にそれは消え去って。
桃
彼は冷たく言い放った。
白
桃
桃
彼の口から零れ落ちる声が、 耳を滑り落ちていく。
白
白
白
今目の前にいる医者は言ったはずだ。 絶対に治すって。 治してみせるって。
白
彼はその質問には答えず、淡々と話を続ける。
桃
白
堪えきれなくなった悲鳴が口から溢れる。
白
白
彼はその問いには答えず、一つ呟いた。
桃
白
桃
白
白
どんだけ怒りをぶつけてもぶつけても、 彼の表情は全く変化が無くて。
もうどう足掻いても無駄なんだと悟る。
白
白
桃
彼はおとなしく扉に向かっていく。 …そして、ふと振り返って言い放った。
桃
桃
桃
桃
桃
よく分からないような。難しい言葉だけを部屋に残して パタン、と扉が閉められる。
白
白
白
どうしようもないやるせなさが込み上げてきて。
白
漏れ出た叫びは、誰にも拾われずに流れていった。
後編に続く。
コメント
2件
2番さんの病んでる感じと3番さんの救われない感じ4番さんの淡々とした感じ、、すっごい大好きです!!!✨️🫶🏻