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ーーサァッーー
吹き抜ける風が少し冷たい
周りを見ると、長袖を着た人ばかりだ
もちろん真空もその1人
あぁ、秋なんだなと真空は不意に季節を噛み締める
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
誰もいない空に向かってポツリと呟く
返事をするかの様に、一層強く風が吹いた
15年前 仙崎 真空(せんざき まひろ)7歳
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
まだ少し暑さが残る9月の前半
真空はある一軒家の前で、出来るだけの大声を出していた
しばらくすると、家の中から騒がしく階段を下りる音が響いてくる
ーーガチャッ!ーー
村岡 秋(ムラオカ アキ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
勢い良く開いた扉から、1人の少年がひょっこりと顔を出す
村岡 秋(むらおか あき)7歳 真空と同じ小学校に通う、幼馴染みの様な存在だ
秋は口早に要件を伝えると、出てきた時と同じように慌ただしく家の中へと戻っていく
そんな秋を見て、真空はニッコリと表情を綻ばせる
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
今がお昼だから良いものの、これが夜中だったら100%近所迷惑な声のボリュームで2人は言葉を交わす
それから10分程経ち、何やら大荷物を抱えた秋が再び玄関から顔を出した
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
秋からいくつか荷物を受け取り、真空の両手もあっとゆう間に塞がってしまった
村岡 秋(ムラオカ アキ)
秋ママ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
秋のお母さんに元気良く出発の挨拶をして、2人は目的の場所へと歩き出す
小学2年生の2人にはちょっと重たい荷物を抱えていたが、それでも足取りは軽く、スキップするんじゃないかと思うくらいだった
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
子供の足でも20分かからない所に、2人の目的地はあった
辺り一面、白、ピンク、赤、黄
そこは大きなコスモス畑だった
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
荷物の重さも忘れて、2人は畑の中を駆け回る
その途中、秋が転んだのでちゃんと荷物は降ろした
荷物の中に入っていた赤い旗を地面に突き立て、その近くに荷物を置く
目印となる旗が見えなくならないように、2人共そう遠くまでは行かなかった
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
まだ幼い2人は、躊躇いなくお気に入りの1本を引っこ抜いてしまう
しかし、2人のとびきりの笑顔をみれば、花もそれで良かったと思ってくれているはずだ
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
言いかけて真空は秋を見やる
気持ちの良い真っ白なTシャツに少し色の濃い肌色の半ズボン
大きめな麦わら帽子で影ができ、ようやく健康的な色になる真っ白な肌
薄ピンクの唇と長いまつ毛の付いた丸くてキラキラ輝く瞳
はしゃいだせいで少し色付く頬に、100点満点の笑顔
何の穢れも知らないような、そんな天使の様な存在
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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村岡 秋(ムラオカ アキ)
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村岡 秋(ムラオカ アキ)
麦わら帽子に隠れる様にその鍔を握り締めて、それでも真空に向けて秋は笑ってみせた
その笑顔に真空の胸が高鳴る
まだこの感覚が、感情が何なのか分からない
分からないままに、真空は秋の手を取ってそっとその唇にキスをした
それから約1ヶ月後
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
真空ママ
秋は病院から出られない体になっていた
真空ママ
お母さんの言葉はほとんど真空の頭には入って来なかった
ただ理解出来たのは、秋が病院にいる事
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
真空ママ
真空は持っていた遊び道具を床に投げ捨て、お母さんの横を通って玄関へと走る
心臓にのしかかるモヤモヤした気持ちの悪い何かのせいで、真空の手は震え、靴を履くのに時間がかかる
所詮は小学2年生の運動能力だ
お母さんが真空を抱き締めて動きを止めるのに、そう手間はかからなかった
真空ママ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
温かい人の体温で包まれた時、真空の中で渦巻いていたモヤモヤが涙となって溢れ出す
真空はお母さんにギュッと強くしがみつき、呼吸も忘れるくらいに泣き喚いた
小学2年生の真空でも分かる
病院に運ばれるとゆう意味
そして病院から帰って来ていない事の意味
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
秋が病院から帰って来ないのは守れなかった自分のせいだと訴える真空に、お母さんは涙を堪えて話し掛ける
真空の頬を両手で挟み、涙でぐしゃぐしゃな真空の顔を自分の方へと向けた
真空ママ
真空ママ
真空ママ
真空ママ
真空ママ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
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真空ママ
真空ママ
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真空ママ
真空ママ
真空ママ
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真空ママ
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お母さんに背中を押され、自分の部屋までバタバタと走る真空の瞳にはもう涙は浮かんでいなかった
秋が待ってる
その言葉を心の中で繰り返しながら、真空はおもちゃ箱を探るのだった
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
秋は体を起こし、真空を出迎えるべく立ち上がろうとする
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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村岡 秋(ムラオカ アキ)
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秋が倒れてから5年後 真空・秋12歳
真空と秋は、親公認で恋人同士になっていた
秋の症状は良くも悪くもなく、停滞状態だ
ただ、いつ症状が悪化してもおかしくない為に病院生活が続いている
体力が落ち、病気のせいで少し体が不自由な秋をサポートするべく、真空は毎日病院へ通っていた
小学生だった時は叶わなかったけど、今や真空も中学生
お母さんの許可も降り、自転車に乗って自力で来ている
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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真空は秋のお母さんから預かったお弁当と、来る途中で買ったみかんゼリーを冷蔵庫にしまいながら秋に問いかける
秋はさっきまで読んでいたであろう本に栞を入れ、パタンと閉じた
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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ベッドサイドに置いてある小さな丸椅子に腰掛け、真空は秋と目線を合わす
秋も真空もまだ成長期は来ておらず、身長はどちらかと言えば小さい方だった
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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毎日、病院が閉まるまで真空は秋の傍にいた
数ヶ月も続けていれば、それは日課になる
秋が体調悪い時も、真空は無理に会話させずにただ傍で見守っていた
真空が毎日ずっと秋から離れないのは、初めて秋が倒れた時、傍にいなくて何も出来なかった自分を酷く後悔したからかもしれない
それでも、秋は真空が心配してくれたとゆう事実だけで胸がいっぱいになる程嬉しかった
更に三年後 真空・秋15歳
月日が経つのは早いもので、気付けば秋も真空も高校生になろうとしていた
秋の病気は完治していなかったが、学校に通える日があるくらいには良くなっている
今日はその登校日で、真空と秋は肩を並べて雪道をゆっくりと歩いていた
村岡 秋(ムラオカ アキ)
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
吐く息で手を温める秋にマフラーを巻きながら、真空は拗ねたように唇を尖らす
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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村岡 秋(ムラオカ アキ)
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秋はフイッと真空から顔を背け、通い慣れない通学路を急ぐ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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背後から声を掛ける真空を振り返ろうとした瞬間、秋の足は丁度凍った雪道に歩を進めていた
振り向くよりも先に秋の体が後ろへと倒れていく
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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すぐ後ろに真空が居た為、尻もちを付く前に秋の体はピタリと止まった
抱き締める形で秋を受け止め、真空は安堵の溜め息を吐く
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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明らかに気落ちしている秋を見ていられず、真空は秋を呼び上を向かせる
まだ成長期と呼べるものは来ていなかったが、真空の方が少し背が高くなりつつあった
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
村岡 秋(ムラオカ アキ)
もう何度も言われてきた言葉に、秋は真っ赤になって慌てふためく
そんな秋を逃がさない様、真空は秋の顔を両手で挟み込んだ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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気付けば秋に笑顔が戻る
真空はこーゆー時間がとても好きだった
この先も秋を沢山笑顔にしたい
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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静かに秋の目が閉じられたのを確認し、真空は顔を近付かせる
優しく軽く唇を触れ合わせ、お互いに名残惜しさを感じながらそっと離す
真空の中で将来を考える様な少し大人な思いが生まれているのと同じように、秋の中でも色々な思いが生まれていた
高校2年生の秋 真空・秋17歳
誘ったのは秋からだった
秋も真空も無事に成長期が訪れたが、秋はすぐに止まってしまった
絶賛成長期中の、秋より高い位置にある真空の首に腕を絡ませたのだ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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生徒も先生も帰った頃合いを見計らい、秋は真空を学校へと導いた
誰もいない校舎は暗く、予め鍵を開けておいた特別教室から中へと侵入する
真空は探検気分で付いてきていたが、秋の思いは違っていた
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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唯一射し込む月明かりに照らされる秋は、思春期の真空にとって扇情的に映らないわけがない
純粋で穢れを知らない天使の様な秋の口から、性的な言葉が紡がれるのは真空を追い詰めるのに最適だった
真空は必死に秋を離そうとするが、秋は1歩も引かなかった
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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秋の瞳から大粒の涙が零れ落ちる
秋はギュッと真空に抱き付き、嗚咽混じりで必死にお願いを続けた
真空は秋の涙の理由が分からず、秋が崩れてしまわぬように強く抱き締め返した
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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1度溢れてしまえば、もう止まらない
秋はずっと溜め込んできた気持ちを吐き出すように、涙と共に言葉を流す
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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秋は真空に、真空は秋に、言葉では表せない想いを涙に変えて訴え、それをしっかりと受け止めた
2人が泣き止む頃には、とうに日付など変わっていた
泣き疲れてお互いに寄り添うように座り込んでいた時
ーーザアァァッーー
外から雨の音がした
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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その雨はまるで2人を隠すように
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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今夜の秘め事を誰にも知られないように
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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2人の幸せを永遠に閉じ込めるように
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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この時の秋の笑顔は、真空の中でずっとずっと忘れられないものとなった
村岡 秋(ムラオカ アキ)
秋の方こそ
真空はそう伝えようとしたが、すんでのところで言葉をしまい込んだ
村岡 秋(ムラオカ アキ)
伝えてしまえば、秋はもう戻って来ない
何故だかそんな考えが真空を巡った
村岡 秋(ムラオカ アキ)
その次の日から 秋は真空の横から居なくなっていた
そして現在 真空22歳
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
真空ママ
真空ママ
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真空ママ
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真空ママ
真空ママ
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真空は高校を卒業し、すぐに就職の道へと進んだ
特にやりたい事は無かった真空だが、唯一興味の湧くものがあった
実家から車で2時間程かけて我が家へと戻る
と言っても、真空の高校卒業とほぼ同時期に母親だけ引越したので、今真空が住んでいる所が実家と言えば実家だ
つまり、真空は今でも秋と育ったこの町で暮らしていた
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
帰るや否や真空が声を掛けたのは、数十種類にも及ぶ花々だった
真空は家の近くにある花屋で働いていた
もちろん秋の影響が大きい
花屋の店主がおじいちゃんだった為、真空は22歳、就職して4年目にして店長になった
太陽に向かって咲く花達に軽く水を与え、真空は再び家の外へと出る
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
こんな日はどこかへ出掛けるのが吉だろう
真空は車には乗らず、見慣れた道をゆっくりと歩き始めた
あのコスモス畑は真空が勤める花屋のもので、今では真空が世話をしている
このまま真っ直ぐ行けば、あのコスモス畑に辿り着く
就職祝いとして、花屋のおじいちゃんから1輪の彼岸花と1粒の種を真空は受け取っていた
種を育てるかどうかは自分で決めなさい、と言われたが、真空は迷うことなくその花を育てた
そしてようやくその花が開いた時、真空は花屋でいる事を決意したのだった
咲いたのは黒のコスモス
その意味を知り、真空は静かに涙を流した
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
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やはり子供の頃に比べればこじんまりと見えるものの、色鮮やかなコスモス畑はいつ見ても真空の心を安心させる
花は愛情を注げば、注いだ分だけ綺麗に咲く
ここのコスモス畑が一段と綺麗に見えるのは、真空の注ぐ愛情が特別なものだからなのかもしれない
???
真空がしばらくコスモス畑を眺めていると、不意に後ろから声を掛けられた
驚きはしたが、道案内か何かだろうと特に警戒する事なく真空は振り返る
???
真空が振り返ると、声の主は目を見開いて言葉を発するのを止めてしまう
真空は自分の名前が出た事に疑問を覚えたが、声の主と目を合わせることでそんな疑問もすぐに吹き飛んだ
仙崎 真空(センザキ マヒロ)
???
真空が見間違うはずない
村岡 秋(ムラオカ アキ)
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声を掛けてきたのは確かに秋だった
秋は涙を流しながら真空へ突進するかの様に抱き付いた
じんわりと伝わる秋の体温に、真空は秋本人なんだと確信を持つ
お互いに頭の処理が追い付かないまま、言葉も出ずにただただ涙を流して抱き合った
秋が生きていたとか、相も変わらず白くて綺麗だとか、5年間もどこで何をしていただとか、考える事聞きたい事は山ほどあるのに、今の真空の中にはただ
秋が愛おしい
それだけしかなかった
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気が付けば2人に笑顔が戻る
前にもこうゆう事、何度かあったな
真空はそんな懐かしい記憶を思い出しながら、秋をもう一度優しく抱き締めた
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秋もまた幸せそうに微笑み、真空を優しく抱き締め返した
3年後 真空・秋25歳
現在、真空と秋は同棲中である
その理由は至極簡単だ
再会を果たした2人は、秋が10年お世話になった病院で簡易的な式を挙げた
籍こそ入れられなかったが、つまりは結婚したとゆう事になる
秋はタキシードが着たい!と懇願したが真空がそれを却下し、結局ウエディングドレスで登場する羽目になった
純白の天使の純白のドレス姿を、真空は見たくて仕方なかったのだ
けれどお色直しとゆう事で結局秋はタキシードを着させてもらい、上機嫌で式を終えた
今は真空の家で2人仲良く暮らしている
真空は町の花屋を続け、秋はそんな真空をサポートしつつ色々な事に挑戦していた
2年前には株を、1年前には声優・俳優のオーディション、そして今年は小説を書き始めている
いつの間にか習得したプログラミングスキルで、真空の花屋のサイトや宣伝動画を作ってくれたりもした
そのおかげもあって、真空の花屋は結構人気店になっている
最近の真空の悩みと言えば、秋のスペックがどんどん上がっていく事くらいだ
俺がリードする側なのになぁ、と思いつつも真空は秋を応援するのだった
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真空の注意を聞かずにパソコンと向き合う秋に痺れを切らし、真空はパタンと秋のパソコンを閉じた
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キャンキャン吠える秋に笑いつつ、真空はコーヒーを差し出した
秋はピタリと吠えるのを止め、真空特製のコーヒーに飛びつく
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堪えきれずに真空が笑えば、秋もつられて笑い出す
秋の病気は完治していた
秋が姿を消した5年間、どうやら海外に行っていたらしい
1から全部聞き出せば、色々な事が明らかになった
秋の家族はもちろんの事、なんと真空の母親も秋が海外へ行く事を知っていたのだ
帰って来られる確証が無かった為、真空には告げなかったそうだ
秋が帰ってきた日、真空の母親が渡した小さな包みの中には今真空達が住んでいる家の合鍵が秋用として入っていた
合鍵なんていつでも作れるとゆうのに母親曰く、新品より昔から使ってた物の方が特別感があるでしょう!との事
真空には理解できなかったが、秋は凄く共感していた
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なんて事ない普通の日常会話でも、秋が笑えば特別なものに思えてくる
真空がそう思うように、秋もまた同じ事を思っていた
ーーサァァッーー
通り過ぎる風に、涼しさでなく寒さを覚える季節
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この先何があっても、2人が一緒なら絶対に枯れない花を
2人で一緒に咲かせよう
『秋の花』 〜fin〜
チーぺぺ
チーぺぺ
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チーぺぺ
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チーぺぺ
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コメント
12件
2人の馴れ初めはこんな感じなのか…!! やっぱり神ですね( ˇωˇ )✨
スッキリ解消ww
名前?前に変えたww てかお題のやつあるやん? まるまるのあき のやつ あれで一回チーズinペペロンチーノさん見たことあるww まさかの再会w