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第1話 - あ

2023年10月16日

#恋愛

結城　真矢

フーコ

私、良いコト思いついたわ、ホクト。

ホクト

何を思いついたの？

フーコ

ほら、ウチは子供がまだ2歳で、手がかかるでしょ。

ホクト

うん、そうだね。

フーコ

1人にさせることは出来ないから、なかなかデート出来ないじゃない。

ホクト

まあね。

フーコ

今までは、デートの時はママ友か実家に子供を預けてたけど、

フーコ

あんまり頻度が高いと疑われちゃいそうで心配なのよね。

ホクト

旦那さんにバレないかって？

フーコ

そう。それだけは避けたいの。

ホクト

俺もそう思う。

フーコ

それでね、ホクト。

フーコ

ウチは旦那が自営業で、昼から夜10時の間が仕事なの。

ホクト

知ってる。

ホクト

駅前にある、イタリアンレストランだよね。

ホクト

俺が働いてるバーの斜め向かいだから、

ホクト

店長がお気に入りの店だよ。

フーコ

いい店でしょう。

フーコ

夫の店だけどw

ホクト

さすがに俺は行けないな…。

ホクト

どんな顔してメシ食えばいいんだって話。

フーコ

でね、思いついたコトっていうのがさ、

フーコ

昼間、こっそりウチで会えばいいんだよ。

ホクト

えっ！大胆だな。

ホクト

近所の人に見られたら大変じゃね？

フーコ

平気平気！ウチは塀で囲まれてるから、

フーコ

家の中は、通りから見えないんだよ。

ホクト

そ、そうかも知れないけど…。

フーコ

家で会えばホテル代が浮くでしょw

フーコ

子供も預けなくていいしね。

ホクト

そうか。

ホクト

確かに、お金も使わなくて済むしね…。

フーコ

ん？なんだって？

ホクト

あ、いや何でもない。

フーコ

ならいいけど。

ホクト

本当の俺がいっちゃってもいいの？

フーコ

大丈夫よ！

フーコ

友達の家に遊びに来ると思って、

フーコ

気楽に来てよ。

ホクト

友達の家…たしかにそうだね。

ホクト

友達って言っても…w

ホクト

ソフレだけどね。

フーコ

いやだ、そんな言いかた♡

フーコ

私のカラダが大好きなクセに。

ホクト

そうだね。

ホクト

俺の横に、フーコちゃんがいてくれてるところを思い出すだけで、

ホクト

固くなりそうだ…。

フーコ

素直で可愛い人ね（笑）。

フーコ

カンタは、昼過ぎは２時間くらいお昼寝するから、

フーコ

その間が仲良しタイムね。

ホクト

そっか。

ホクト

実にいい考えだ。

フーコ

ねぇ、明日さっそく来られる？

フーコ

今週は、旦那はお休みが無いんだって。

フーコ

夜10時まで帰ってこないよ。

ホクト

うん、明日は行けるよ。

ホクト

何時に行けばいい？

フーコ

12時ころに来て。

フーコ

お昼も用意して待ってるわ。

ホクト

ありがとう、助かるよ。

フーコ

楽しみね。

フーコ

大好きよ、ホクト。

ホクト

俺もフーコちゃんが一番好きだよ。

ホクト

明日、待っててね。

フーコ

分かったわ。おやすみなさい。

ホクト

オヤスミ～。

～翌日の夜～

ナナオ

フーコ、カンタはもう寝た？

フーコ

うん、さっき寝たよ。

フーコ

急にどしたの？

ナナオ

いや、なんとなく。

ナナオ

声が聞きたくなった。

ナナオ

って言ったら信じてくれる？

フーコ

うん信じるよ。

ナナオ

最近、店が忙しくて、あんまり家にいられないから。

ナナオ

カンタの寝顔しか見れてない気がする。

フーコ

そんなこと気にしなくていいのよ。

フーコ

私は私で、適当にヤってるから。

ナナオ

そう。それだけは避けたいの。

ナナオ

来週の月曜日は休みが取れそうだから、

ナナオ

カンタも連れて、どこかに出かけよう。

フーコ

え、休めるの？

ナナオ

うん。バイトの子たちも、そろそろ休みたいだろうし

ナナオ

俺も疲れが溜まってるし。

フーコ

そっか。

ナナオ

最近、夜もご無沙汰だしね。

フーコ

え、そうね…。

フーコ

まあ、無理しなくてもいいんじゃない。

フーコ

私はほっといてもらっても平気だよ。

ナナオ

そうなの？

ナナオ

前は、ちょっと放置してるとすぐフテくされてたけど。

フーコ

そりゃ、子供が産まれたからよ。

フーコ

いつまでもかまってちゃんじゃ、アナタも困るでしょ（笑）

ナナオ

そうだね。

ナナオ

とりあえず、行きたい所があったら教えて。

ナナオ

車で行けるところな。

フーコ

るるぽーとがいいな。

フーコ

買い物がしたいし、あそこなら子供が遊べるところもあるでしょ。

ナナオ

そうだな。

ナナオ

じゃあ、そうしよう。

フーコ

楽しみにしているわ。

フーコ

お仕事、頑張ってね。

ナナオ

わかったよ。

ナナオ

じゃあ、おやすみ。

～1週間後～

フーコ

あ～疲れた！

フーコ

旦那ったら、休みがとれたから一緒に出掛けようとか言い出すんだもん。

フーコ

こっちは疲れてるから、ゆっくり休みたいのに。

ホクト

おつかれ、フーコちゃん。

ホクト

フーコちゃんのほうが、家族サービスしたみたいな感じだね。

フーコ

ほんと、それよ。

フーコ

旦那と一緒に出掛けても、楽しくないっつーの。

フーコ

まあ、荷物は持ってくれるし、

フーコ

買いたいものも買ってくれるから、別にいいんだけどさ。

ホクト

俺と一緒にいるときのほうが楽しいでしょ？

フーコ

もちろん！

フーコ

まあ、人目につくといけないから、あまり一緒に出掛けられないけどね…。

ホクト

人目を忍ぶ身は辛いね。

ホクト

だいぶ慣れてきたけど。

フーコ

私たち、関係が始まってからもう半年だもんね。

フーコ

たまには旅行とか行きたいよね、本当は…。

ホクト

そうだね。

ホクト

でもフーコちゃんは、泊りがけでどこかに行くのは難しいだろう？

ホクト

子供の事もあるし、旦那さんに説明出来る口実もないしさ、

フーコ

そうなのよね。

フーコ

ホクトも、本当は一緒に出掛けたいんじゃない？

ホクト

そりゃ、もちろんさ。

ホクト

でもバレた時のほうが怖いから、

ホクト

俺は今のままでいいよ。

フーコ

本当？

ホクト

本当だよ。

ホクト

俺は、フーコちゃんとえっち出来れば満足だよ。

フーコ

私は、もっとホクトと一緒に過ごしたいわ。

フーコ

一日中、シタいくらい♡

ホクト

しょうがないな、フーコちゃんは。

ホクト

それなら、今度会った時は、

ホクト

思いっきりイジめてあげるよ。

フーコ

やだ、ホクトってば。

フーコ

もう体が濡れてきたわ。

ホクト

いやらしいヒトだね、フーコちゃんは。

ホクト

俺達、体の相性バッチリだもんね。

ホクト

旦那さんより、俺のほうがいいだろ？

フーコ

もちろんよ。

フーコ

ホクト君と知り合ったら、もう旦那じゃ満足出来なくなったわ…。

ホクト

そっか。

ホクト

じゃあ、明日また会いに行ってもいい？

フーコ

いいわよ。

フーコ

明日は旦那が出勤日だから。

フーコ

いつもみたいに、お昼に来て？

ホクト

いいよ。

ホクト

明日は黒の下着がいいな。

ホクト

このあいだ、俺があげたやつ。

ホクト

わかった？

フーコ

分かったわ。待ってるから。

ホクト

フーコちゃんも素直だね。

ホクト

じゃあ、オヤスミ。

フーコ

おやすみなさい。

～2日後～

ナナオ

フーコ、ちょっといいか？

フーコ

なに？ナナオ。

ナナオ

昨日は一日中家にいたんだよね？

フーコ

いたわよ。

ナナオ

誰か家に来てた？

フーコ

え？いいえ。

フーコ

誰も来ていないわよ

ナナオ

へえ。

ナナオ

じゃあ、誰なんだ？

ナナオ

家に男が入っていくところを、近所の人が見たって言うんだよね。

フーコ

え、本当に？

フーコ

なんのコトだかサッパリ分からないわ。

フーコ

その、見たって言う人は誰？

ナナオ

それはちょっと言えないな。

ナナオ

たまたま、見間違えただけかもしれないっていう話だし。

ナナオ

ただの間違いなら別に良いんだ。

フーコ

そ、そう。

フーコ

まさか私を疑っているの？

フーコ

私にはカンタがいるし、

フーコ

昼間から、ワルいことなんて出来ないわ。

ナナオ

そうか。

ナナオ

いつも俺が帰りが遅いから、寂しいのかと思ってさ。

フーコ

そりゃ、寂しくないって言ったらウソになるけど。

フーコ

もう子供じゃないんだし、そんなに心配しなくても大丈夫よ。

ナナオ

そっか。悪かったな。

ナナオ

誤解なら別に良いや。

フーコ

良かった。

フーコ

私を信じてね、ナナオ。

フーコ

あなたを裏切ったりしないわ。

ナナオ

ああ、信じてる。

ナナオ

今日は出来るだけ早く帰るよ。

フーコ

わかった。

ナナオ

それじゃ、カンタをよろしくな。

フーコ

うん。お仕事頑張ってね。

～5分後～

フーコ

ヤバい、バレそう。

ホクト

え、マジ？

ホクト

なにがあった？

フーコ

旦那が、さっきLINEでね。

フーコ

近所の人が男を見たって言ってきたんだって。

ホクト

え？ほんとに？

ホクト

俺、家に入る時、ちゃんと周囲を確認しているよ。

ホクト

誰も見てないタイミングで、家に入ったつもりだったけど…。

フーコ

うん。まさかね。

フーコ

でも用心したほうが良いと思う！

ホクト

そうだね。

フーコ

しばらく、会うのはやめておこ？

ホクト

え、そうなる？

フーコ

だって危ないでしょ。

フーコ

もし家で会ってるコトがバレたら、ケンカどころじゃすまなくなる。

フーコ

最悪、離婚するって事になるよね。

ホクト

そ、そうだね。

ホクト

慰謝料を払えって言われても

ホクト

俺には貯金もないし…。

フーコ

私もお金なんて無いよ。

フーコ

ね、バレたら大変でしょw

ホクト

うん。仕方ないね。

ホクト

でもこのまま、フーコちゃんと会えなくなるのは嫌だ。

フーコ

私もよ。

フーコ

少しほとぼりが冷めたら、また会おう？

ホクト

そうだね、しばらくガマンだね。

フーコ

でもいつまでガマン出来るかな…。

ホクト

またすぐ会えるよね。

ホクト

だってフーコちゃん、俺がいないとダメだろ？

フーコ

うん。

フーコ

1週間ももたないかも（笑）

ホクト

そうだろ。

ホクト

だから、必ずまた会おうな。

フーコ

ええ、約束よ。

ホクト

大好きだよ、フーコちゃん。

フーコ

私も。また会おうね♡

～2週間後～

ナナオ

フーコ、お前やっぱり男を連れ込んだだろ。

フーコ

え、何のこと？

フーコ

誰も連れ込んでなんていないよ…。

フーコ

カンタもいるのに、どうして男なんて連れ込めるのよ。

ナナオ

そのカンタが家にいる時に、男を呼んだだろ！

フーコ

違うわよ、何を急に言い出すの？

フーコ

あなた、ちょっと言ってるコトがおかしいわ…。

ナナオ

言ってるコトがおかしいのはそっちだろ！

ナナオ

この間、近所の人に見られたって言ったよね。

フーコ

ええ、そうだったわね。

ナナオ

あれ、実はウソなんだ。

フーコ

え、ウソなの？

フーコ

じゃあ、誰にも見られてないの？

ナナオ

何を、見られてないんだ？

フーコ

は？

ナナオ

男を連れ込んでいる所を見られてないと知って、

ナナオ

今、安心しただろう…？

フーコ

そうじゃないわ。

フーコ

なんでナナオがそんなウソをついたのかって事よ！

ナナオ

あのさぁ。

ナナオ

男を見たって言ったのは、近所の人じゃないんだよ！

フーコ

え？

フーコ

じゃあ、誰の事を言ったの…？

ナナオ

男を見たと言ってるのは、カンタだよ！

フーコ

へ？

フーコ

う、ウソでしょう。

フーコ

カンタが、そんな難しいコトが言えるワケ…。

ナナオ

お前、自分の子供を何だと思ってる？

ナナオ

俺の事もバカにしてるのか？

ナナオ

カンタが、「いつも家に金髪のお兄ちゃんが来るって」

ナナオ

俺に教えてくれたんだよ！

フーコ

そんなバカな！

フーコ

金髪のお兄さんなんて来てないわよ。

ナナオ

カンタがウソを言うと思うか？

ナナオ

まだ2歳だぞ。

ナナオ

しかもカンタ、

ナナオ

「おひるねしてたら、となりのへやでママがおおごえ出してた！」

ナナオ

って怯えてたんだぞ！

フーコ

う、ウソ…。

ナナオ

で、これは寝室でなにかヤってると思って、隠しカメラを仕込んだんだ。

フーコ

隠しカメラ？そんなことまでしたの？

フーコ

なんて嫌らしい人なの！

ナナオ

フーコに言われたくないね。

ナナオ

お前らの行為がバッチリ撮れてて、

ナナオ

それを見た俺の身にもなれ。

フーコ

な、なんでそこまでするの？

フーコ

私、ただあなたがいつも帰りが遅いから、寂しくて

フーコ

それでつい、浮気しちゃったのよ。

フーコ

許してくれるよね？

ナナオ

はあん？なんで俺が許してやらないといけないんだよ。

ナナオ

子供が同じ屋根の下にいるっていうのに、

ナナオ

若い男を連れ込む妻なんて、要らないんだよ！

フーコ

そんな。まさか離婚するの？

ナナオ

そうだな。でもまずは…。

ナナオ

お前とホクトに慰謝料を請求する。

フーコ

慰謝料！そんな。

フーコ

しかもどうして、ホクトの事まで知ってるの？

ナナオ

ご近所ネットワークを舐めんな。

ナナオ

ホクトの家の店長は、俺の店の常連だよ。

ナナオ

相談に乗ってもらおうと思って、動画と画像を見せたら、

ナナオ

「これ、ウチの従業員ですって教えてくれたんだよ！」

ナナオ

住所も教えてもらったから、近いうちに内容証明を送る！

フーコ

そんなの送らないで！

フーコ

私もホクトも、お金なんて持ってないよ。

フーコ

慰謝料なんて無理。

ナナオ

だったら、最初から不倫なんてするんじゃねーよ。

ナナオ

なんの覚悟も出来てないクセに、性欲だけは満載だな。

ナナオ

盛りのついたケモノか！

フーコ

そこまで言わなくても良いじゃない！

フーコ

なんてヒドイ事を言うの。。

フーコ

しかも、そんな恥ずかしい映像を他人に見せるなんて…。

フーコ

私、もうこの町で生活出来ないわ！

ナナオ

ああ、もう出て行ってもらうから大丈夫。

ナナオ

カンタは俺が引き取るから。

フーコ

カンタを取り上げるの？

フーコ

だってアナタ1人じゃ育てられないでしょ。

フーコ

私がいないと無理じゃないの…。

ナナオ

そんな心配は要らない。

ナナオ

俺の母や姉にも相談済だし、

ナナオ

俺の実家も近いから、いつでも預けてくれればいいって言ってくれてる。

ナナオ

昼間は保育園に預けられるしな！

フーコ

まって、私離婚はしたくない！

フーコ

もう2度とホクトには会わないわ。

フーコ

だから見捨てないで。

ナナオ

ダメだ。もう絶対に許せない。

ナナオ

1週間の猶予をやるから、その間に出ていけ！

フーコ

たった一週間？

フーコ

イヤよ、出て行かないわ。

フーコ

行くならカンタも連れて行く！

ナナオ

ダメだ。それも許さない。

ナナオ

カンタはしばらく俺の実家に預ける。

ナナオ

俺の両親や姉にも、フーコにはカンタを渡すなと言ってあるから。

ナナオ

もう好きにはさせないぞ。

フーコ

そんな…実家まで味方に付けられたら、

フーコ

私、太刀打ちできないわ。

フーコ

お願い、考え直して。

フーコ

もう一度チャンスをちょうだい？

ナナオ

終わりだよ、フーコ。

ナナオ

2度と家に戻ってくるな。

ナナオ

さようなら。

フーコ

そんな、ナナオ…。

フーコ

ごめんなさい。私が悪かったわ。

フーコ

お願いだから、もう一度やり直させて…。

～その後～

ナナオ

その後、フーコとは3カ月ほどで離婚が成立しました。

ナナオ

最初は慰謝料の事とか、親権の事とかで揉めましたが、

ナナオ

完全に向こう側の有責ということで、俺に有利な条件で別れる事が出来たのです。

ナナオ

慰謝料に関しては、フーコもホクトも貯金が殆どなかったので、

ナナオ

これから働いて分割で払うということです。

ナナオ

親権も、もちろん俺が勝ち取りました。

ナナオ

子供がいるそばで不貞行為を働く母親なんて、信じられないですよね。

ナナオ

幼い息子を傷付けるような真似をしたことは、絶対に許せません。

ナナオ

ちなみにホクトも、バーテンダーというか、フリーターだったので、

ナナオ

店の収入だけでは食っていけず、昼間は土方作業の仕事もやっているそうです。

ナナオ

せいぜい、必死で働いてお金を払ってもらわないとね。

ナナオ

これから、シングルファーザーとして息子を育てていく事になりますが、

ナナオ

実家や、近所の人たちの助けを借りながら、

ナナオ

明るく楽しく、息子とともに暮らしていこうと思います！

ナナオ

皆さんも、幸せな人生を選んで下さいね。

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結城　真矢

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