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名前:氷室 褒純
(ひむろ ほずみ)
叔母の所へ来た都会からの余所者
「何があっても信念を曲げない…
 これ、ばーちゃんの名言な!」

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名前:紅花
  (くれは)
理不尽に虐げられる美少年
「…余所者風情が…何故?
 此処に君の居場所は無いのに」

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名前:宇佐美 赤子
  (うさみ かこ)
梅雨神社に奉仕する"斎院"
「…本当に、ごめんなさい。
 私には…大切な人がいるから」

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名前:氷室 優香
 (ひむろ ゆか)
褒純の小学生の愚かな妹
「お兄ちゃんと一緒なら
 どんなことだって平気!」

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白花郷(しろはなごう)について
某県に存在する人口の少ない田舎村。
一年を通して温暖な気候で、花や蚕といった自然を活かした特産物が多い。
交通手段に恵まれず、最寄駅から四時間ほどかかり、廃墟と化した駅とその踏切、その先のトンネルを越えた先にある。
世間の目に知られることなく、物資や食料を得るのは困難な地域である。
また、伝統的な祭りや、一般的には廃れた古来の風習が残っていると噂されている。
…どのようにして住民達は生活できているのだろう?

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斎院について
神様の妻となる未婚の女。
その身や性格が非常に純粋で汚れなく美しい者が採用されるらしい。
軈て美しさを失い、その役目を終えた女の姿を見た人はいないと言う。

やーい、やーい…

いけないんだ〜 いけないんだ〜

……

あんよ、あんよ、あんよは上手

後ろの正面髑髏

嗚呼、坊や。何故泣くの?

………

其処に鬼が居るのかい?

嗚呼、坊や

成らばお前を───

氷室 誉純

氷室 優香

…あ、…お兄ちゃん…?

氷室 優香

大丈夫…?

氷室 誉純

ッああ、大丈夫…だ

目が、覚める

氷室 優香

あ、でも静かにしなきゃね…

此処は夜行電車

聞こえるのは、背後の 中年の鼾やら

氷室 誉純

…そう、だな…

氷室 誉純

…あ、手ぇ握っててくれてたんだな

氷室 優香

…うん、だって…

氷室 優香

…お兄ちゃん、うなされてたから…

氷室 優香

どんな夢見てたの…?

氷室 誉純

んー…まぁ…怖い夢、だったかな

氷室 優香

そっか…

氷室 誉純

…まだ着くには時間かかるから

氷室 誉純

まだ優香は寝ろよ

氷室 優香

でも…

氷室 誉純

お兄ちゃんは大丈夫だからさ

氷室 誉純

…な?

氷室 優香

…わかった……

───終電

───終電

白花遊園地跡前──…

『駅員さん』

お客さーん…お客さーん…

氷室 誉純

…ん、すぅ…すぅ…

『駅員さん』

次で終電ですよ───

氷室 優香

むにゃ…あっ、駅員さん…すみません!

『駅員さん』

…いえいえ、迚もお疲れの様で…

氷室 優香

は、はは…

『駅員さん』

…厭ぁ、然しお客さん…

『駅員さん』

…来るところ、間違ってやしませんか?

氷室 優香

…?いえ、合ってます…

『駅員さん』

此処で降りても…楽しみも何にもない…遊園地の廃墟ですよ?

氷室 優香

あ、えっと…叔母のところに行くんです

氷室 優香

此の夏休み…と云うか
多分…此の先、永遠に

『駅員さん』

…失礼ですが、ご隠居様は何処に?

氷室 優香

えっと…『白花郷』です…

『駅員さん』

…白花郷……

氷室 優香

…駅員さん?

『駅員さん』

あ、いえ…なんでもございません

『駅員さん』

恐れ入りますが、お迎えの方は?

氷室 優香

お迎えって…叔母は車を持ってませんから、兄と一緒で歩きますよ

『駅員さん』

…そうですか…

『駅員さん』

あの、必要であれば…私が車をお出ししまして…白花郷まで送りますよ

氷室 優香

え…?そんな、大丈夫です…

氷室 優香

それに…電車の切符でお金、使い切っちゃって

『駅員さん』

代金など必要ありません…

『駅員さん』

…では、電車は此の儘

キィイイイ────

ガンッ!!! ガンッ!!!!

氷室 優香

…ちょ、駅員さん…っ?!

『駅員さん』

…間も無く一番線に電車が参ります…

『駅員さん』

危ないですから、黄色い線の…

氷室 優香

一寸(ちょっと)…待って、
外に何か居る…っ?!

氷室 優香

お兄ちゃん!!!!

グチャッ

『駅員さん』

…内側まで、下がって…

『駅員さん』

…嗚呼、手遅れでしたか…

氷室 誉純

…ん、ん…ゆか…?

『駅員さん』

…悦、光悦…善い、善いな…此の娘

『駅員さん』

此れは嘸、赤鼻様が喜ぶだろう…

『駅員さん』

嗚呼、我等に救いを…嗚呼、嗚呼!

『駅員さん』

赤鼻様…!!

キィイイイイイ…

…どんっ

氷室 誉純

……あ、れ…?

氷室褒純が目覚めたとき、 寂れたホームの壊れかけの椅子に 横たわっていたことを自覚した。

氷室 誉純

…着いた、のか…

当然、最愛の妹の姿も無い。

氷室 誉純

はぁ…電話、電話…っと?

氷室 誉純

…繋がらねぇ

…彼には一つ、不可解な点があった。

此の駅の名前…

「白川郷駅前」

そんな名前の駅は

五十年前に戦争の戦火に 掻き消されて消えた

序でに、戦後にて 取り壊されたはずの 無人駅

氷室 誉純

…厭、可笑しいな…困った

氷室 誉純

…携帯も園外で使えない…どうするか

氷室 誉純

…おーいっ!誰か!!

氷室 誉純

誰かいませんか〜…!!!

宇佐美 赤子

…あら?

氷室 誉純

…本当に、有難う御座います…

氷室 誉純

俺一人だったら、如何しようかと…

宇佐美 赤子

…いえいえ、お気になさらず!
人を助けるのが私の役目ですから…

宇佐美 赤子

私、宇佐美赤子と申します…
如何か以後、お見知り置きを

巫女服姿の女子学生に連れられ 駅を出た褒純は、

古く寂れた田舎の街並みを 唯二人、歩いている。

宇佐美 赤子

扨…貴方は何故、此の様な田舎へ?

氷室 誉純

嗚呼、此処に叔母がいるんです…

氷室 誉純

…小さい頃、俺も少し此処に…
両親と、妹と居たのですがね…

氷室 誉純

其れで今日…移住する事になって…

宇佐美 赤子

…残してきた叔母が心配で?

氷室 誉純

いえ、両親と…色々有りまして

宇佐美 赤子

あら…其れはご愁傷様でした

宇佐美 赤子

此処は長閑で平和な村ですよ…

氷室 誉純

…有難う御座います

宇佐美 赤子

…嗚呼、然う言えば…
お名前をお聞きしても?

氷室 誉純

…申し遅れましたね

氷室 誉純

俺、氷室褒純っていいます…

宇佐美 赤子

…、氷室…

氷室 誉純

…あ、聞いた事有りますか?

宇佐美 赤子

勿論…左様で

宇佐美 赤子

此の村の人の名は全員覚えていますから

氷室 誉純

え?然うなんですね…其れは凄い

宇佐美 赤子

…逢いたいですか?

氷室 誉純

…勿論、はい。
其の為に来たのですから

宇佐美 赤子

…解りました

宇佐美 赤子

では、私に着いてきて下さいね…

無垢なる子供達

…やーい!やーい!

無垢なる子供達

鬼は〜外!福はーうちー!

紅花

……僕は…、菓子が欲しいだけで

無垢なる子供達

知ったもんか!出て逝け〜!

無垢なる子供達

鬼は外にいなきゃなんだよ!

無垢なる子供達

お前なんかには…菓子じゃなくて、其処に落ちてる豆がお似合いじゃない?

紅花

……ッ、

紅花

…やめ…っ!

氷室 誉純

…おいおい、ガキンチョ

氷室 誉純

何してんだ?

無垢なる子供達

げ、お兄さん…

無垢なる子供達

腕、離してよぉ!!

紅花

……

氷室 誉純

あ、お前…

無垢なる子供達

一寸ぉ!お兄さんの所為で、鬼が逃げちゃったじゃん…!

無垢なる子供達

もっと"遊んでいたかった"のに…

氷室 誉純

…遊ぶ、って…

無垢なる子供達

…然う言えばお兄さん、見ない顔だね…

氷室 誉純

…今日初めて来たからな

無垢なる子供達

…へぇ?成らば、知らないんだ?

氷室 誉純

…なぁ、宇佐美さん、何の事…

無垢なる子供達

嗚呼───巫女さんっ!
教えてやらないと駄目じゃないか…

宇佐美 赤子

……、済みません…

無垢なる子供達

ねぇ、一寸!彼の方に強い事云うのは辞めた方が好いよ…

無垢なる子供達

ええ〜?

無垢なる子供達

だって彼の人、"サイイン"だよ!

無垢なる子供達

「赤鼻様の御嫁様を
 苛めたら神罰が下る」

無垢なる子供達

常識でしょ〜?

氷室 誉純

赤鼻様…

宇佐美 赤子

…氷室殿、先を急ぎますよ…

宇佐美 赤子

お二人も、軈て陽が陥ちますから…家に生きて還りなさい

無垢なる子供達

此処は大人しく帰ろうぜ〜…

無垢なる子供達

…ちぇっ、はーい…

……

宇佐美 赤子

………しが…ね……に

氷室 誉純

…宇佐美さん?

宇佐美 赤子

…何も御座いません

宇佐美 赤子

扨、日が陥ちるまで残り僅かです…急がなくては…さあ、さあ!

宇佐美 赤子

…もう、時間は有りませんから

氷室 誉純

……此処は、墓所ですよね

宇佐美 赤子

はい、此方に…

氷室 誉純

此方…?

氷室 誉純

ばーちゃん…墓所の近くに住んでるんだな…

宇佐美 赤子

…?如何されましたか?

氷室 誉純

あ、いえ…なんでもない…って、あれ?

氷室 誉純

な、なんで墓所に入るんですか…?

宇佐美 赤子

何故…ですか、…然うですね
"一度見てから"話をしましょう

氷室 誉純

…本当に、此処で合って…

宇佐美 赤子

…言った筈ですよ。
確り(しっかり)着いてきて下さい

宇佐美 赤子

然うして見届けて下さい…真実を…

氷室 誉純

…っ、此れって…!

氷 室 ル ミ 子 此 処 に て 眠 る

宇佐美 赤子

……

宇佐美 赤子

残念な事に…氷室様は…、二年前程前に亡くなりました…

宇佐美 赤子

…お亡くなりになる間際には

「孫に、逢いたい」

宇佐美 赤子

…と、遺して…

宇佐美 赤子

遺言書については、
見つかりませんでした…

宇佐美 赤子

…推定、八十九歳でした…ご愁傷様です

氷室 誉純

…嘘だ

宇佐美 赤子

…嘘、ですか?

氷室 誉純

うそ、だ…そんな、あり得ないんだ

氷室 誉純

っ俺、此処に…祖母からメールを貰って来たんです

氷室 誉純

両親の元を離れる為に…

氷室 誉純

それは、二週間前で…なのに

宇佐美 赤子

……

宇佐美 赤子

…氷室さん

氷室 誉純

…はい

宇佐美 赤子

今の貴方には…非常に良くない、不幸の結末が見えます…

宇佐美 赤子

…ですから、貴方の身柄を…
私が梅雨神社にて保護します

氷室 誉純

…は?保護…?

氷室 誉純

それにばい、う…じんじゃ?
一寸、変なこと言わないで下さいよ…

宇佐美 赤子

…本気だと言ったら、如何しますか?

氷室 誉純

……がッ?!

???

好し、当たったぞ!

???

捕まえろ────ッ!!!!

宇佐美 赤子

氷室家の末裔が…帰ってくるなんて…

宇佐美 赤子

……有難う御座います、氷室様…

宇佐美 赤子

此れで…私達は救われる…!!!

宇佐美 赤子

…赤鼻様、赤鼻様…!!!!

ギャハハハハハ!

…君は何処から来た?

………

余所者… 成らば気をつけなければならないよ

『郷に入って郷に従え…』

此の先の如何なる困難も

外の世界には通じない

此の先に眠る真実を

然う、全ては君の大切な人の為…

…行動せよ、餓鬼

何度でも、何度でも、何度でも

繰り返して魅せろ

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コメント

2

ユーザー

えええ…す、凄いです!!言葉では表せられないほど凄い…!

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