なんやかんやでいつもどおりの朝を迎えたわけなんだが
それでもやっぱりいつもと違う出来事があるはずなわけで。
朝食を食べ、身支度をし、さて、これから学校へと向かおうとしていたところ
今日から智也くんが玲を迎えに来ることにになっていた。
それならと、僕は玲とは別にひとりで学校に向かうと伝えたところ
そうくん? え? なんで? 一緒に行こうよ? そうくんが、もし嫌なら智也くんへ迎えに来ないように言うから
なんて宣うおかしな玲。
だからなんで僕を優先するのですか?
智也くんを優先しないと駄目でしょう?
智也くんに恨まれるのは嫌だと何を言っても考えを変えなさそうな玲をおいて、ひとりで走って学校へ向かうのだった。
教室に到着し僕はひとりで席に向かう。
途中挨拶を交わすクラスのみんなは、僕がひとりでいるのが珍しいのか不思議そうに尋ねてくる。
喧嘩したの?
別れたのか?
僕と玲が付き合ってると思っていたような感じで尋ねてきた。
あれ?そんな認識だったの?みんな?
たしかにいつも一緒に居たから、それで勘違いされていたわけかと今更ながら理解した。
まあそうだったら良かったんだけどね。思い出させないで、クラスのみなさん。
とりあえず僕と玲は付き合っているわけではないので、きちんと玲に彼氏ができたとクラスのみんなには伝えておくことにした。
その言葉にクラスのみんなは驚いていた。
嘘だろ?
嘘でしょう?
あれだけ仲良かったのに?
と……
さて、遅れてきた玲はついた途端、すぐ様一緒に登校してきた智也くんを置いて、何故か僕のところへやって来た。
ほっぺたを膨らませ可愛い顔をしながら。
なんで置いていったのよ。一緒に行こうって伝えたじゃない!
と、怒ってくるんだけど。んー。やっぱりわからん。何考えてるんだ。玲。
いや、玲には彼氏出来たんだから。僕と玲が一緒にいちゃ智也くんにも悪いし、きっと嫌がるだろう?
今日は、朝から玲に同じことばっかり言ってる気がする。
関係ないの。幼馴染はいつまでも一緒なの!
なんの論理だか知らないが、そんなことを言ってくる。
んーわからん。幼馴染より、彼氏のほうが良いから彼氏を作ったんじゃないのかな?僕はどうしたらいいんだろう。
えーと、智也さんでしたっけ?なにか言ってあげて下さいよ。僕、あなたに恨まれたくないんですけど
玲に言っても話が進まないと智也くんへ話を振ってみた。
そこで智也くんは口を開きはしたのだけど、僕はまさかこんな事を言ってくるとは思っていなかった。
幼馴染との関係を邪魔したら別れるって言われてて……
と、智也くんは僕の顔を見て悔しい顔をしながらそう言った。
んーわからん、やっぱりわからん。智也くん可哀想すぎるだろ。
というより失恋した僕が心配しなきゃいけない彼氏ってなんなのさ。
こりゃ埒が明かんと僕は
とりあえずふたりとも僕に関わらないで。間男になりたくない!恨まれたくない!
と、僕は拒否の言葉を伝えて逃げた。
なんで失恋したのにこんなに困ってしまう状態なのか。
ほんと失恋に悲しむ時間も今では無くなった、そんな感じで。どうすりゃいいのと思ってしまう。
そんな中、僕の言葉を聞いた玲はそこからなぜか
うーん
と考え込んでしまっていた。
まあ、そんな感じな日々がしばらく続いていたのだが
いつのまにか玲は彼氏の智也くんと別れたらしい。
聞いて良いのか迷ったけれど聞けるのなら聞いておきたいと
玲に理由を尋ねてみると
そうくんといられないなら彼氏はいらないかなって。思ってたのと違ったの。なんだか難しいね、彼氏って
なんてことを言っていた。
いやおかしい、おかしいよ。
幼馴染と彼氏を比べて彼氏なんていらないとか……どういうランク付けなんだろうね。
そしてなんで彼氏作ったんだろうね。不思議だよ、玲。
ほんと玲の考えがわからない。
でもそのおかげで、僕は失恋を免れたわけでなんと言っていいものか。
まあ、またしばらくはこのまま玲の側に居られるんだよなと
一緒の時間をできる限り大切にしたいと再度考えさせられた出来事であったのは言うまでもない。
なお、玲は
そうくん……少しは妬いてくれたっていいじゃないの!
僕には聞こえない声で今まで感じていなかったそんな思いを
ボソッとひとりつぶやくのでした。
コメント
2件
感想ありがとうございます。楽しんで頂けて良かったです(´∀`)
二人の歯がゆさが面白かったです!