武道
……タイマン買ってくれよッッ!!
キヨマサ
………………
今の言葉で盛り上がっていた
周りの連中はざわつき始めた
そんな中、俺から見たキヨマサは
ただ落ち着いた様子で
武道を見ているように感じる
晃也
(あ、あのバカッッ!!まじでキヨマサに勝負挑んじまったッ!!)
晃也
じゃ、邪魔すんなよッッッッ!!!
晃也
これは俺とキヨマサの勝負だッッ!!
晃也
(そうだッ!!今ならまだ間に合うッ!!)
晃也
(今武道を戦わせたらダメだッ!!何とかしてあいつを説得させねぇとッ!!)
晃也
不安なのは分かるッ!!俺が負けるかもしんねぇってのも分かるッ!!
晃也
だけどッ……!!
武道
違ぇんだよッッッッッッ!!!
晃也
っ!?
武道
……そうじゃないんだ
武道
俺は君のことを信じていないわけでも、不安でいっぱいって訳でもないよ
晃也
じ、じゃあなんでッ!!
武道
……逃げたくないから
晃也
は……?逃げる……?
晃也
(何言ってんだよ……)
晃也
(お前は充分戦ったじゃんかッ)
晃也
(頑張ってキヨマサに立ち向かって行ったじゃんかよッ!!)
晃也
(だから……お前は逃げてないだろ?)
武道
……俺は
武道
キヨマサくんが怖くて、ただ命令に従う奴隷になっていた
晃也
武道……?
武道
そうすれば、いつか終わると思っていたから
武道
今だってそうだ
武道
確かに君が勝ったら、俺は自由になれるかもしれない
武道
でも、それじゃあダメなんだッッ!!
武道
そんなのただ俺が逃げてるだけだッ!!
武道
あんたに甘えてるだけなんだッッ!!!
晃也
………………
武道
もう俺は十分逃げたし、助けてもらった
武道
だからッッ!!!!
晃也
…………………………ハァァァァッ
晃也
(そうだ、そうだった)
晃也
(お前ってそういう奴だったな)
晃也
(これ以上戦うなって言っても意地でも戦う)
晃也
(いくら身体をボロボロにされても、仲間を助けようとする)
晃也
(こっちの世界でも、武道は武道なんだな)
晃也
(負けず嫌いだし、わがままだし言うこと聞こうとしない)
晃也
(バカで泣き虫なやつ、そんなアイツでも……)
晃也
……スゥゥゥ))
晃也
《相変わらず》だなッッッ!!!!!
武道
へっ……?あ、相変わらず?
晃也
俺の計画をめちゃくちゃにしやがってッッッ!!!
武道
う゛ッ、そ、それは…………
晃也
(おーおー、困ってる困ってる)
晃也
(色々やってくれたんだこれくらいしてもバチは当たらねぇだろ)
晃也
これだけは約束しろッッッッ!!!
武道
えッ?
晃也
……ぜってぇ死ぬなッッ!!!!
武道
……はいッ!!!
晃也
(なんだかんだ、武道の圧に押されてあいつの好きなようにさせる俺も俺か)
晃也
(ちょっと甘やかしすぎか??)
晃也
(いや、そんなことどうでもいいな)
晃也
(今はあいつに全て託すとするか)
俺は黙って観覧席に向かう際
キヨマサのところに向かっていく
武道とすれ違いになる
そして、その瞬間
俺は武道にだけ聞こえる声で
こう呟くのだった
晃也
……頑張れ、ヒーロー