純情主義の主様

PM17:23

PM18:49

ゆいは机上に置かれた勉強用具を片付けると、少し慌てふためく様に自習室を出て、駐輪場へと向かった。

彼女の帰路にはよく野良猫が出没する。しかし、黒猫が現れたのが珍しく感じたのか、彼女は端に自転車を止めてゆっくりと近づいた。

黒猫は口に何かをくわえたままゆいに近づいた。

黒猫はゆいの言葉に従うように、口から指輪を吐き出した。

黒猫に見つめられながら、ゆいは冗談半分で指輪をはめてみた。すると、強い光に包まれ、思わず目を瞑ってしまった。

???にて

ベリアンは"主様"と呼んだ少女の前に、紅茶を差し出した。

その絵画には、泣きながら祈る男が描かれている。男の背中には黒い翼が生えているようだ。

ベリアンは視線を逸らし、静かになった。しかしそれも束の間、また口を開きこう述べた。

"実は"以降の言葉を遮る様に、部屋の扉が開き、新たな人物が現れた。

すると今度はこちらの部屋に向かって走ってくる音が聞こえたかと思えば、勢いよくドアを開け、その人物が中に入ってきた。

困惑しているゆいを置いて、ベリアンはロノに質問した。

そう言い切ると、ゆいはベリアンの背後に隠れてしまった。

ヴーヴー

''夢なら早く覚めて欲しい" そうゆいが願った時であった。

"うん。" と言った声はベリアンの声で掻き消されてしまった。

ロノに一通りの説明を受け、二人で森の中へと入っていく。

ゆいの心配げな表情を見ると、ロノはにこりと笑いながらこう答える。

そう言い終えると、ロノは屋敷を出る前に執事がゆいに手渡した本を指差して説明を始める。

「来たれ、闇の盟友よ。我は汝を召喚する。ここに悪魔との契約により、ロノの力を解放せよ…。」

それからはあっという間であった。 まるで早送りされているような感覚で、ロノはあっという間に目の前にいる"天使"を倒した。

ゆいは終わりの見えぬ夢に大きなため息をついた。