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ミャー…

猫が弱々しくウミの足元で鳴く。

ウミ

…"イシュ"
訳ありって意味だ。
でもお前には幸せになって貰いてぇな。

ウミが切なそうな微笑みをイシュに向ける。

キッド

……

ウミのその顔を見て、キッドがウミの隣にしゃがむ。

ウミ

ん?

ウミは視線に気づき、横目でキッドを見る。

キッド

あ?何見てんだ。

ウミ

いや!こっちのセリフな!

イシュがウミの足に擦り付く。

ウミ

ん?あ〜、1人じゃ寂しいよな。
待てよ?

ウミは能力で水の猫を作る。

イシュは嬉しそうに水の猫とじゃれ合う。

ウミ

あははっ、可愛いなぁお前。

ウミは普段の豪快な笑い方ではなく、 柔らかく優しそうに微笑んでいる。

キッド

!!!

キッドがウミのその笑顔に目を奪われ、頬を赤らめる。

キラー

は?

キラーがキッドの表情を見て驚く。

ウミ

1人ぼっちは…寂しいよな…

ウミがイシュに無理やり作った笑顔を向ける。

キッド

何言ってやがる。
てめぇには兄貴が居んだろうが

ウミ

…そうだな。

キッド

…そ、それに寂しくなったら、コイツを思い出しゃいいじゃねぇか。

目を背けながら言う。

ウミ

まさか、お前がまともな事言うなんてな。

ウミが小さく微笑む。

キッド

ッ…!人がせっかく言ってやってんだろうが!

少し頬を染めたキッドが大声で言う。

キッド

キラー!行くぞ!

キラーと歩き出す。

ウミ

ありがとな!ちょっと元気出たぞ!

ウミがニカッと笑う。

キッド

うるせぇ!チビ!

ウミ

は!?なんでだよ!
今の言葉返せよな!

キッド

てめぇが勝手に言ったんだろうが!

ウミ

やっぱお前嫌いだ!

ウミと別れたキッドとキラー

キラー

キッド、お前さっきからおかしいぞ。

キッド

何がだよ!

キラー

麦わらの妹を見て頬を赤らめたり。
しかもお前があんな事言うなんて。

キッド

うるせぇなぁ!なんでもいいだろうが!

キラー

…恋か?

キッド

!!はぁ!?バカじゃねぇのか!?

キラー

ファッファッファッファッ!

キッド

クッ!笑うんじゃねぇ!

キッドが顔を赤らめながら怒鳴る。

宴が始まった

ルフィ

肉だァ!!

ウミ

肉だァァ!

『ギャハハハハ!』

ナミ

皆出来上がっちゃってるわね〜

ロビン

そうね、ルフィも楽しそうだわ。

宴が盛り上がり始め、中盤に差し掛かった頃。

ウルフ

クソ…赤髪の野郎…

ウルフの息子

親父、大丈夫かよ。

ウルフ

うるせぇなぁ!

ウルフの息子

…すまねぇ

『お、お頭、あれ』

ウルフ

あ?

部下達が指す方向を見るとある物に気づいた。

ウルフ

フッ…見つけた。

ニヤッと不吉な笑みを浮かべる。

ウルフ達は物陰に潜んでいる。

ウルフ

(こっちを見ろ。
ウミ、こっちだ。)

ウルフの目に映ったのはウミだった。

ウミ

!!!

ウミは視線を感じ、その方向へ視線をやる。

ウルフと目が合い、ウミが震えている。

ウルフ

(俺の顔を見てまだ怯えてやがる)

ウルフが不吉な笑みを浮かべている。

ウルフは物陰からウミに『来い』と告げる。

ウミは立ち上がる。

ルフィ

ウミ?どこ行くんだ?

ウミ

あ、えっと、
ちょっとトイレにな。

ウミは作り笑顔でルフィに答える。

ルフィ

小便か?気をつけて行けよ?

ウミ

トイレくらい気をつけるもねぇだろ!ニシシッ

ルフィ

そりゃそうだ!

ウミはルフィ達と分かれ、ウルフの指示通り、後をつけていく。

着いて行くと、そこは波の音が綺麗に聞こえる丘だった。

ウルフ

今まで何してやがった。
俺に逆らったらどうなるって言った?

ウミ

わ、私はもう、海賊だ!…山賊じゃねぇ!

ウルフ

お前が5億超えの海賊になろうがお前は俺には勝てねぇよ。

ウミ

……

ウミは悔しそうに眉を顰める。

ウルフ

言ったはずだ。
お前は俺から逃げられない。
もう逆らわないことだな、お前の故郷"フーシャ村"をまた、潰されたくなかったらな。

ウミ

……

ウミが震えている。

ウルフ

仲間に別れを告げる時間くらいはやる。
場所はこの近くに広い参道がある。
俺たちからまた逃げてみろ。
どうなるかは想像出来るだろう。

ウルフ達は去って行くがウミは震えが止まらずその場に崩れ落ちる。

その頃、ローは。

ナミ

聞いたわよ〜。
アンタ、ウミの事好きなんですって?

ナミがニヤニヤしながらローに揶揄いながら尋ねる

ウソップ

正直に吐いちまえよぉ〜

ウソップもニヤニヤしている

ロー

だから好きじゃねぇって言ってんだろ!
どいつもこいつも鬱陶しい!

ロビン

ふふッ、ならウミをどう思ってるかだけ教えてくれる?

チョッパー

それくらいならいいだろ?

ロー

……

ローが嫌そうな顔をする。

ブルック

気になりますね〜

ロー

…大食い、麦わら屋の妹、騒がしい、不思議な奴、守ってやりてぇ、他の奴と話してんの見るとイライラするくらい…って、は?

ジンベエ

これは100%惚れとるのぉ

ロー

ま、待て!は?

自分の気持ちに気がついたのか混乱している。

ロビン

ふふっ、まさかベタ惚れだったとはね。

ナミ

どうする?サボには言わない方がいいわよね?

ウソップ

当たり前だろぉ。
トラ男もウミの事好きなんてサボが知ったら…ぎゃぁぁ

チョッパー

やべぇぞ!怖ぇよぉ!

ナミとウソップとチョッパーは小声で話している。

ローがウミを目で探す。

見当たらなかったのか、ローは立ち上がる。

ブルック

どうかなさいました?

ロー

…いや、なんでもねぇ。

ローは歩き出し、ウミを探している。

探し回りやっと見つけ、丘に楽座しながら海を見つめるウミを見つけ、隣に座る。

ウミ

…トラ男、どうした?

ウミは大人しい声でローに尋ねる。

ロー

お前こそ、こんな所で何してる。

ウミ

ん〜…静かなとこに居たくて…

ロー

ウミ

2人は静かに波の音を聞いている。

ウミがローの居ない方に顔を向け、プルプル震えている。

ロー

…何があったかは俺には分からねぇ。
お前はなんで苦しい時に我慢してんだ。無理やり笑顔作って…
お前はなんで泣かねぇんだ。

ウミ

弱いとこ、見せたくねぇんだよ。

ロー

…泣く事は弱いことじゃねぇ。
泣きたきゃ、泣けばいい。
慰めて欲しいなら慰めてやるから。

ウミ

ちが、違うんだよ…
ただ、嫌われたく…ねぇ…
面倒臭いって思われたくねぇ…

ウミの目からポロポロと涙が溢れる。

ロー

……

ローは何も言わず、ウミの隣で星空を見上げている。

少し落ち着いたのか、ウミが歌い出す。

「どうして、あの日遊んだ海の〜匂いは〜 どうして、すぎる季節に消えて〜しまうの〜🎶」

ロー

!!!

ローがその歌を聞いて目を見開く。

何故なら、その曲は昔に1度だけ聞いたことがある曲だった。

コラソンと旅をしていた頃、

自分より遥かに幼い少女が歌っていた曲。

その少女がローの初恋の相手だった。

ルフィの妹のお話

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