主
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第79話『沈む夜に揺れる影』
夜。
カーテンの隙間から洩れる街灯の明かりが、淡く壁を照らしている。
いるまは、静かな寝息を立てながらベッドに身を沈めていた。
昼間のみこととの会話で、少しだけ心が軽くなった気がしていた。
けれど、その夜は――どこか違っていた。
呼吸が浅くなる。
何かが胸の奥で重たく沈む。
体の力が抜けていくのに、心だけがどんどん深い場所へと落ちていく。
――ゴボ、ゴボ。
耳の奥で、水が泡立つような音が響く。
冷たい。
暗い。
足元が、どこまでも沈んでいく。
いるま
かすれた声を出したつもりだった。
けれど、空気が揺れず、声が水に溶ける。
ふいに、袖口が引かれた。
誰かに掴まれている。
暗闇の中、見えない何かが、自分の腕を引っ張っている。
いるま
もがいても、足はどんどん沈んでいく。
息が苦しい。
肺が水で満たされるような感覚――それでも、目の前の闇だけははっきりと動いていた。
闇の中に、形が現れる。
人のようで、人ではない。
それは、いるまの“影”だった。
黒く滲む輪郭。
表情はない。
ただ、いるま自身の声で、低く囁く。
いるまの影
ぞくりと背筋が冷たくなった。
その声は、廊下で聞いたものと同じだった。
いるまの影
いるまの影
いるま
必死に言葉を絞り出す。
水の中みたいに重い声が、かすかに響く。
いるま
影は、沈黙した。
静かな水音だけが響く。
長い、長い沈黙のあと――。
いるまの影
その声が、笑った。
耳障りなほど乾いた笑いだった。
いるまの影
いるまの影
いるまは答えられない。
胸の奥で、何かが軋むような音がした。
いるまの影
影の言葉が鋭く刺さる。
体が動かない。
呼吸ができない。
けれど、思考だけが鮮明に続いていく。
いるま
いるまの影
いるまの影
影はゆらりと近づいた。
その顔は、まるで鏡のようにいるま自身の形をしている。
ただ、瞳だけが漆黒で、底が見えなかった。
いるまの影
いるまの影
その名が出た瞬間、心臓が強く跳ねた。
いるま
いるまの影
いるまの影
影は囁くように続ける。
その声は、どこか子供のようで――けれど、底知れない冷たさがあった。
いるまの影
まるでお菓子をねだるような声音。
その優しさの裏に、冷たい刃が隠れているのがわかった。
いるまの影
いるまの影
いるま
即答だった。
声が震えても、迷いはなかった。
影は小さく息をつき、そして笑った。
いるまの影
その瞬間、足元の闇がぐらりと動いた。
視界が揺れる。
身体がどんどん沈む。
飲み込まれる――そう思った時。
いるま
いるまの叫びが、水面を裂いた。
――そして、目を開ける。
息が荒い。
喉が焼けるように痛い。
全身が汗で濡れていた。
冷や汗が頬を伝い、シーツが湿っている。
手のひらが震えていた。
いるま
息を整えようとしても、喉が詰まる。
頭の中で、まだ“あの声”が響いている。
目を閉じると、再び暗闇に引きずり込まれそうで――怖くて閉じられない。
ただ、部屋の天井を見つめることしかできなかった。
鼓動が、耳の奥で大きく鳴っている。
それが自分の心音なのか、影の足音なのかもわからない。
長い時間が経って、ようやく息が落ち着いてくる。
濡れた髪をかき上げながら、いるまは小さく呟いた。
いるま
外はまだ、夜のままだった。
遠くで雷のような音が鳴った気がしたが、それが現実なのか夢なのかもわからない。
ただひとつ確かなのは――
“あの声”が、まだ消えていないということ。
まるで、心のどこかで誰かが笑っているように。
第79話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡70
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コメント
1件
📢くんここからどうなっちゃうの!?続き楽しみにしてます!!!