私は記憶のないほど昔から
お姫様の本をよく読んでいた
大きい家の大きい本棚がずらりと並ぶ部屋で
お姫様のお話ばかり読んでいた
その中でも1番好きだったお話が
「白雪姫」
森は私の庭だった
小さい頃から体が弱くて、なかなか人の多い場所には行けなかった
物心着く前に死んでしまったお母さんの遺伝だという
だから私は母親の顔も声も、愛すらも知らない
けれど、お父さんは、とても愛してくれていたから母親の居ないことに不服はなかった
私が6つになった時
お父さんはとても忙しくなった
大きなお家の大きな森を持つお父さん
それはそれは、偉い人なんだとか
帰ってこない日は増え
疲れてる顔を見ることが多くなった
初めて寂しさを覚えた
それでもお父さんは私を愛してくれた
1人で危なくないようにと執事を雇い
何時でも温かいご飯が食べれるようにとシェフを雇い
ある程度の知識が持てるように家庭教師を雇った
私が不自由なく過ごせるように居場所を与えてくれていた
世界のどのくらいの人が白雪姫のお話を知っているだろう
兄弟も友達もいない、外の大人も知らない、学校ですら行ったことがない私はどれだけの人がこの名作を知っているだろうとよく考えた
たった14歳の女の子
友達は動物ばかりで、とても歌が上手で可愛くて
なんてことの無い毎日を1人で繰り返す
父はきっと愛してくれていたのだろう
不自由のない暮らし、かわいい服、そして寂しくないようにと新しいお母さん
私は作中で一度も登場しなかったのは接し方が分からなかっただけだと思う
白雪姫がお城から消えても、きっと沢山沢山探したと思う
それって、私や私のお父さんと同じじゃない?ってある日気づいたんだ
それだけじゃない
彼女は森で暮らしてたんだ
私には7人の小人は居ないけど、森で毎日のように過ごしている
だから私にもいつか
7人じゃなくても、小人じゃなくても
毎日なんてことない日々を繰り返していたら、運命的な出会いができるんじゃないかって信じてた
私は持病があるから、おばあちゃんになるまでは生きられないと思う
白雪姫のように、若いまま死ぬことになるんだ
それが何十年、何ヶ月、何日先の話しかなんて分からないけど
私がもし死んだら
白装束じゃなくて、白雪姫のドレスが着たい
たくさんのお花にまみれて、大好きな王子様にキスをしてもらうの
もちろん、死んだ人間が生き返るわけないってわかっている
おとぎ話のように、魔法のキスとか信じてるわけじゃない
でも、もしそんな幸せな死に方が出来たとしたら、
例え普通の人より短命だったとしても、普通の人よりも幸せでしたって言えるかなって思うんだ
今更病気であることに不満は無い
これは生まれ持った個性なのだから
人より短命だったら不幸せなわけじゃない
私はこの決められた世界の中でたくさんの愛を知りたい
小鳥でも、鹿でも
犬でも猫でも
もちろん身近な大人たちにも
自分の精一杯の愛を
そして、私が死んだ時
その愛の代償に悲しんで欲しい
私をひきずってほしいわけじゃない
なんならすぐに立ち直って欲しい
ただそこに、夏神鈴心は生きていたよって証が欲しいんだ
人を愛して愛された人がいたよって
白雪姫もそうだったでしょ?
白雪姫は、動物を愛して、小人達を愛したから
動物は魔女を止めようとして、1度死んだ時に小人たちに泣きながら看取られて
かっこよくて優しい王子様に口付けを貰ったんだ
私も、そんな愛し、愛された人になりたい
そう、ずっと願っていたから
だから、君が現れた時
夏神 鈴心
赤葦 京治
赤葦 京治
すごくびっくりしたし
運命が訪れたんじゃないかとも思った
当たり前だけど、おとぎ話に出てくるような、王子様ではなかった
赤葦京治、16歳
きっと、世でいう普通の高校生
普通の家で暮らして、普通に学校に行って、授業受けて部活して
そんな私にとって"普通じゃない当たり前"を生きてきた人なんだって思った
彼は王子様の格好ではなかった
けど、私には王子様に見えた
白い白馬に乗ってきたわけじゃない
なんならカラスに100円を取られて導かれてきた
それでも彼は素敵な人に見えた
そして心から感心したように私の歌を褒めてくれた
学校なんて行ったこともない、歌を習ったこともない私のこの歌声を
初対面なのに関わらず、すごいと褒めてくれた
それがたまらなく嬉しかった
それと同時に、また会いたいって思ったんだ
だから
夏神 鈴心
夏神 鈴心
笑顔で、そう言葉にした
赤葦 京治
気のせいかな?
君も少しだけ、本当に少しだけ
嬉しそうな顔に見えたんだ
夜
執事
夏神 鈴心
執事
夏神 鈴心
夏神 鈴心
執事
執事
夏神 鈴心
執事
夏神 鈴心
電気が消えて、目を瞑っても
まだ、君のことが忘れられない
心臓がドキドキと跳ねて、眠るどころじゃないや
京治くんは、明日も来てくれるかな
こんな山奥までわざわざ来ないかな
そんなことを考えることすら、楽しく感じる
夏神鈴心、18歳
この日から、私の運命は大きく動き始めました
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
ぬっし
コメント
9件
合宿いってて見れませんでした! 希紀さん最高ですよ~!! 希紀さんのペースで続き待ってます✨
今回も最高でした!! 無理せず頑張ってください 次もめっちゃ楽しみです(´˘`*)
いちばん!今日ははやく見れて良かったです💪 毎日投稿お疲れ様です希紀さん🍵 今回も最高でした😭👏✨ 次回が楽しみです!