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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

君が笑顔の時は、 必ず何か企んでいる。

君がその笑顔で話し始めた。

トウタ

ねえ、これから僕と世界征服しよう。

え?世界征服?

トウタ

そう。世界征服!

あの年のことは忘れない。 隕石が地球に最接近したと 大騒ぎしていた1年だった。

みんなの関心が 地球の外に向いているとき、 僕らの大きな計画が動き出した

なんで?なんでそうなるの?

トウタ

お前は世界を許せるのか?

トウタ

クラスメイトが理由もなくお前をいじめる、そんな世界を。

でも、トウタは守ってくれたじゃないか!

トウタ

でも、君を守っていた僕も、親父の会社が潰れた途端に、いじめの標的になった

トウタ

先生まで見て見ぬふりを始めた

トウタ

地位や金があるかないかで、正義なんて簡単に覆る

トウタ

今や、クラスメイトも大人も全員敵だ

トウタ

こんな世界を許せるのか?

…許せない

トウタ

なら、これから僕と世界征服しよう

それから、俺たちの 世界征服が始まった

いじめっ子全員に、僕と同じ目に遭わせてやりたい。

トウタ

同じじゃ足りないね。倍にしてやらないと。

靴に画鋲入れられた

トウタ

じゃあ、そいつの足を折ってやろう

いくらなんでも、それではやりすぎじゃ…

トウタ

世界征服するんだろ?

トウタ

学校という、僕たちのこの狭い狭い世界を丸ごと書き換えるにはそれぐらい必要だよ

そうか

トウタ

他には?今までされた1番ひどいことを教えて

学校の2階から突き落とされた

裏庭に向かってだったから、先生には見つからずじまいで

垣根の上で、一命は取りとめたけど、体中が何ヶ月も痛かった

トウタ

爆弾だ

え?

トウタ

この学校の生徒全員を爆弾で殺そう

そんな

トウタ

君は死んでいたかもしれないんだよ?

トウタ

見て見ぬふりをして、その後も平然と生活してた学校の生徒全員に責任がある

トウタ

僕は機械には詳しいんだ。来週には爆弾を用意する

トウタが機械やら化学やらに詳しいのは知ってるけど…

そんな危険なこと…

トウタ

僕たちには何の危険もない

トウタ

僕たち2人は視聴覚室に集まって、爆弾のスイッチを押すだけだ

当日、僕は視聴覚室に入った

トウタがすでに待っていた

視聴覚室のテレビがついていて、 隕石が最接近したと報道している

世界の終わりなんてどうでもいいのに だって、僕らの小さな小さな世界は 今日で書き変わるから

トウタ

待ってたぞ

ごめん。昨日眠れなくて

トウタ

まだ迷ってるのか?

いや。もう決心はついた

よく考えたら、トウタからの頼みは初めてだなと思って

トウタ

ん?

いつも僕はトウタに助けてもらってた

僕もトウタのために何かできると思うと嬉しい

トウタ

なら、最後のスイッチをお前に任せてもいいか?

もちろん

トウタ

じゃぁ、頼むよ

わかった。せーの

僕はスイッチを押した

隕石の実況中継をしていた テレビ画面で爆発が起きた

トウタ

ははは…はははは!

トウタ

やっと地球を侵略できるな

どういうこと?

トウタ

面白いなー。計画通りじゃん。

トウタ!これ、どういうこと?

トウタ

触んなよ!俺はトウタじゃねーよ!

え?

トウタ

俺、ニ・セ・モ・ノ!

何言ってるんだよ。冗談はやめろよ

トウタ

冗談なんて言わないよ

トウタ

お前のいうトウタ?とかいう知的生命体Aは、もう寄生されてんの

寄生って…

トウタ

君ってニュース見ないタイプ?

トウタ

ずっと報道してたじゃん。隕石が近づいてきたって

それとこれと何の関係があるの?

トウタ

隕石って他の星の断片なの。
だから他の国の微生物が乗ってるの

トウタ

で、俺はその星のかけらに乗ってやってきた、まぁこの星の言葉で言ったら帰・国・子・女?

トウタ

こいつの体借りて、地球を侵略して植民地にしようと思ってたわけ

トウタは…トウタはどこにいるんだよ!

トウタ

どこ?もういないかなー?
脳まで帰省されちゃったら、それはもう、君の思うトウタじゃないかもね

ふざけるな!トウタを返せ!

トウタ

返せ?ニセモノだってことにも気づかなかったお前に?こいつを?

トウタを返せ!

気がついたら、視聴覚室の トウタの姿をした侵略者は プロジェクターの下敷きになっていた

少し前まであげていた叫び声も 消え、静寂が残る

抜け殻みたい

でも、それがトウタの姿をしていることが、なんとも言えず悲しい

世界征服なんて、ばかばかしい

僕にとっての世界は教室よりもずっとずっと小さかった

僕にとって世界は、トウタだけだったのに

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