蘭side
呆然とする私にいむちゃんは更に 爆弾発言を投げ込んでくる。
紫龍ほとけ
桃瀬らん
話の流れからして 「好みの」タイプという意味だろう。
思わぬ展開に私は金魚のように 口を開閉させることしか出来ない。
紫龍ほとけ
紫龍ほとけ
桃瀬らん
紫龍ほとけ
そう言っていむちゃんは 苦笑しながら肩を竦める。
またしても大人びた反応が返ってきて 私はいっそ感心してしまう。
紫龍ほとけ
不意に、ぽつりと いむちゃんの声が零れた。
それは空耳かと思うほど 微かなものだった。
聞き返そうかと迷っていると いむちゃんの方から 「らんちゃんはさ」と 呼びかけられる。
紫龍ほとけ
桃瀬らん
堪らず叫ぶ私にいむちゃんは 「ふはっ、」と吹き出した。
その拍子に手からリモコンを落とし 自分自身フローリングに 崩れ落ちていく。
紫龍ほとけ
桃瀬らん
私が半泣きで訴えたのを 可哀想に思ったのか よろよろといむちゃんが起き上がる。
目尻に浮かんだ涙を拭いながら 衝撃的な種明かしをはじめた。
紫龍ほとけ
桃瀬らん
桃瀬らん
紫龍ほとけ
あっさりとした口調ながら いむちゃんの指摘は鋭いものだった。
言われてみれば、と 私の脳裏にも次から次へと 心当たりが思い浮かぶ。
威榴真は他人を優先する癖があり しかも本人にとっては それが自然な状態らしい。
家の外でも中でも「お兄ちゃん」が 抜けないのだろう。
一見、誰にでも優しく寛容な 澄絺の方が余程兄っぽいのだが 部活でも実際に舵取りを しているのは威榴真の方だ。
その場の空気には 敏感に出来ているのに いむちゃんが指摘したように 自分に向けられる好意には 鈍感なところがあった。
桃瀬らん
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