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獣たちと契約せし日
3話:主の枷
魔獣の死骸を後に、 俺たちは遺跡を離れた。
夜はすでに深い。
冷たい風が崩れた石壁を抜け、 どこか遠くで獣の遠吠えが響く。
レオ・ティグリス
レン・フォクシア
”主。”
その言葉が、胸の奥に沈む。
俺のことだ。
やがて辿り着いたのは、 半壊した礼拝堂だった。
割れたステンドグラスから月明かりが 差し込み、石床に淡い色を落としている。
朽ちた長椅子、崩れた祭壇。
祈りは、とうに途絶えている。
逃げ場を奪う契約を交わした俺たちには、妙に似合いの場所だった。
中央に立ったレンが、 ゆっくりと口を開く。
レン・フォクシア
誰も座らない。
空気は張り詰めたままだ。
レン・フォクシア
レン・フォクシア
レン・フォクシア
静寂。
俺は無意識に胸の紋章に触れた。
レオ・ティグリス
レン・フォクシア
レンは続ける。
レン・フォクシア
レン・フォクシア
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
レン・フォクシア
レン・フォクシア
レオの目が細くなる。
レオ・ティグリス
レン・フォクシア
レオ・ティグリス
レン・フォクシア
俺は首を横に振った
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
使えるかどうかも分からないものを、 使う気なんてなかった。
レンは小さく笑う。
レン・フォクシア
そのとき、レオが踵を返した。
レオ・ティグリス
レオ・ティグリス
レオ・ティグリス
レオ・ティグリス
背を向け、歩き出す。
一歩
二歩
三歩
その瞬間。
レオの動きが止まった。
レオ・ティグリス
レオはうなじを抑える。
紋章が淡く赤く光る。
同時に、俺の心臓が強く締め付けられた。
ドクン。
息が詰まる。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
心臓にある紋章がどんどん痛みを増す。
レオがさらに一歩踏み出す。
空気が歪んだ。
次の瞬間。
見えない力がレオの 身体を掴んだかのように、
ぐい、と強く引いた。
レオ・ティグリス
レオの身体が半ば強制的に引き戻され、 俺の目の前まで滑るように戻ってきた。
それと同時に、俺の心臓の痛みが、すっと消える。
レオは荒い息を吐き、ゆっくりと顔を上げた。
レオ・ティグリス
誰も答えない。
レオと真琴の呼吸だけが礼拝堂に響く。
レンの目が細められる。
数秒の沈黙のあと。
レン・フォクシア
ユイが小さく息を吞む
ノアは壁にもたれたまま、無言でこちらを見ている。
レオ・ティグリス
その言葉で、全員が理解した。
俺たちは──離れられない。
俺は俯く。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
レオ・ティグリス
レオ・ティグリス
レン・フォクシア
レン・フォクシア
ユイが控えめに言う。
ユイ・ラビエル
レン・フォクシア
レオは腕を組み、短く告げた。
レオ・ティグリス
それで決まった。
納得も、
信頼もない。
ただ事実だけがある。
俺は崩れた長椅子に腰を下ろした。
月明かりが胸の紋章を揺らす。
主。
そう呼ばれる存在。
でも俺は、何もできない。
戦えない。
守れない。
ただ、ここにいるだけだ。
目を閉じると、微かに伝わる。
レオの警戒。
レンの思考。
ユイの不安。
ノアの静かな呼吸。
感情がかすかに混じる。
これが契約。
逃げられない。
それでも──
朝は来る。
俺たちは、五人で街へ向かう。