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なくしたあなた

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なくしたあなた

8 - 人がやったもの?

♥

1,052

2023年12月08日

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俺たちの感覚がなくなってから数日が経った。

感覚は、まだ戻っていない。

それでも俺たちは、前を向き始めていた。

sm

きりやん、ご飯今食べさせるぞ

kr

コクコク

sm

口開けて

sm

あー

kr

モグモグ

kr

食えた!

sm

……えーと、「食えた」?

kr

ウンウン

sm

良かった、じゃあ次

きりやんとスマイルはお互いが自由に意志疎通ができない状態でも、 二人でスムーズに行動できるようになっていた。

shk

なかむ!

nk

どうしたの?しゃけ

shk

何か、指切れてる……

nk

え!?ほんとだ、待ってて

nk

絆創膏持ってくる

シャークんはゆっくり、人の手を借りずとも安全に移動できるようになった。

手足の感覚がないせいでこういった切り傷に気付かないことがあるので、 シャークんが気が付かないことはみんなで教えている。

kn

しゃけ、ご飯食べ終わった?

shk

食べた

kn

じゃあお皿下げるね

shk

うん、ありがと

きんときとぶるーくは、家事全般を担当してくれている。

俺もたまに、しゃけのサポートが空けば手伝うことがある。

でも二人は手際が良く、度々手伝いの仕事がなくなる時があるほど、 二人の連携は凄まじいのだった。

nk

はい、しゃけ。手出して

shk

はい

nk

………これでよし

shk

ありがとう。……何で切ったんだろ、これ

nk

うーん、紙とか?

shk

紙か……あんまり触ってない気がするけどなぁ

以前とは少し変わってしまったが、 以前のような和やかな雰囲気がリビングを包んでいた。

夕方

nk

もう夕方か……

俺たちは元に戻るために、色々なことを調べていた。

しかしどの情報も、役に立てそうなものは一向に見つからなかった。

nk

今日も進展なし、か

shk

何も、わかんないな

俺は本やパソコンを片付けようとすると、 ぶるーくからのLINEメッセージ通知がスマホを振動させた。

br

「僕ら、ずっとこのままなのかな…」

メッセージを送った彼の方を見ると、 とても悲しそうにスマホの画面に目を落とす ぶるーくがいた。

俺はなんだかいたたまれなくなって、 机に広げ散らばった資料の方へ目を逸らした。

資料をこんだけ集めても、どんなに時間をかけても解明に近づいていない。

そんな焦りや不安は、彼だけでなく全員にあった。

nk

……わからない

nk

わからないけど、「治らなかったときの今後の計画」と「治るためにどうすればいいか」っていうのはやっぱり調べてはっきりさせていかないとだね

言葉を口にしながら、頭の中の考えを整理する。

nk

「こうなった原因」とかも考察要素ではある

nk

わからないことも考えなくちゃいけないこともいっぱいあるけど、

nk

俺たちなら前を向いていけるよ、ぶるーく

俺が彼の方へ向き直って言うと、彼は少し嬉しそうな表情をして頷いた。

しばらくして、きりやんが静かに口を開いた。

kr

やっぱり俺、

kr

きんときがキーなんじゃないかなって思ってる

kn

……俺、か

kr

うん……一人だけ異常なしってことは、よっぽどファンタジーな次元じゃない限り、何か理由があるはず

kr

…って、漠然とした勘みたいなものだけど

shk

それは俺もちょっと思ってた

shk

この感覚消失前の俺達の行動で、何かきんときだけ違うことをしていた、もしくはしていなかった、みたいに

shk

何かしら違うところはあるんじゃないかな

nk

きんとき、感覚消失前に変わったこととかしてない?

kn

うーん……特に、何も……

きんときはそう言って、ほんの少し顔を歪めた。

kn

ごめん、力になれそうにない

kn

思い当たる節が何もない……

nk

そっか…まぁ、仕方ないか

nk

結構日にちも経ってるし

kn

ごめん、何か思い出したら言うね

nk

うん、わかった

nk

それじゃあそろそろ__

そう言いかけたとき、再びスマホにメッセージ通知が来た。

br

「誰かが故意にやったとかは?」

nk

え、

nk

…ぶるーく…?

俺は驚いて彼の方を見る。

いつも冗談を言ったり笑ったりしている穏やかな彼の顔は、 見たことの無いくらい真剣な表情を浮かべていた。

br

「何かの病気とかじゃなくて、誰かが」

br

「人為的に俺達を狙ったのだとしたら?」

……その線は、正直頭の中にないわけではなかった。

でも……

sm

それは、実現性がないな

sm

誰かが故意にやったとして、どうやったらこんなことができる?

sm

人の感覚を消すなんて、創作の世界でしか聞いたことがないぞ

スマイルがぶるーくのメッセージを見て言った。

俺も、その通りだと思う。

人が人の感覚を消すということは、あまりに非現実的に思える。

kr

なかむ、ぶるーくがどうしたの?

nk

あぁ、きりやん

nk

スマイルも少し言ってたけど、ぶるーくが…

俺はぶるーくのメッセージについて簡単に説明した。

彼はすぐさま納得し、呟いた。

kr

……まぁ、無いとは言い切れないな

kr

実際、俺らが感覚を失ってるのが事実である以上、非現実的なことが起きてもまぁおかしくはないからね

br

「僕、許せないよ」

br

「もし誰かがこんなことやってたのなら。」

br

「そのせいで僕らは悩まなくていい悩みを抱えて過ごさなきゃいけないなんて、」

br

「あまりにも理不尽だ。」

スマホを握る彼の手は、怒りからか震えている。

br

「僕は、人がやったという線も本気であると思ってる」

彼はそこまで打つと、指を止めた。

彼がこんなに怒っているところを見たことがない。

俺はまたしても返す言葉が見当たらず、 黙って彼を見ることしか出来なかった。

沈黙の中、シャークんが口を開いた。

shk

……じゃあ、次からは大まかに2つのグループで調べよう

shk

自然的な現象が原因だと考えて調べるグループと、

shk

…この状態が人為的なものだと考えるグループで

あの後俺達は夕食を済ませ、各々自由に過ごし寝ることになった。

nk

しゃけはもう寝る?

shk

……いや、ちょっと早すぎるから何かしようぜ

シャークん提案によるグループ分けは、 夕食後行う予定だったが、変更され明日行われることになった。

それは、きんときの体調が悪くなったためであった。

夕食後

俺は夕食をゆっくり食べ、いつもより遅く食べ終わった。

考え事をしていたら、少し食べるのが遅くなっていたようだった。

nk

ごちそうさまでした

nk

(人為的、か……)

ぶるーくのあの言葉は、俺の心にずっと突っ掛かっていた。

ふと彼の方へ目を向けると、彼は先程の真剣で怒ったような表情だったのが 嘘だったかのようにおだやかに笑って、しゃけと食事を楽しんでいる。

ぶるーくがあまり深く追い詰めていなくて良かったと思いつつ、 俺は食器をキッチンへ運んだ。

キッチンには一人きんときがいたが、俺は彼の姿を見て驚きのあまり 食器を落としかけた。

きんときは苦しそうに顔を歪めて、壁にもたれていた。

nk

!?き、きんときっ

俺はすぐさま食器を置いて、彼に駆け寄った。

nk

大丈夫か?どこか悪いのか?

kn

あはは、大丈夫……ちょっと、立ちくらみかな

彼が笑って言ったその言葉は、なんとなく嘘のように感じた。

具合が悪そうなのは確かだが、ただの立ちくらみではない気がする。

nk

わかった、とりあえずソファーに行こう

kn

うん……

そう思ったが俺は余計な詮索はせず、彼をリビングのソファーまで誘導した。

キッチンから具合の悪そうなきんときが出てくるのを見て、 ぶるーくが真っ先に反応した。

座ってた椅子から勢い良く立ち上がり、きんときの方へ走る。

今の状況を察したスマイルがきりやんに小声で状況を伝え、きんときの様子を見に近づいてきた。

シャークんは座っていた席からは立たず、心配そうにこちらを見ている。

きんときはまだ苦しそうに背中を少し丸め、 ゆっくりソファーに腰をおろした。

今のきんときは、誰がどう見ても具合が悪いことが伝わるぐらいに 顔を真っ青にしていた。

俺は彼の前にしゃがみ込んで、問いかけた。

nk

きんとき、寒い?

彼は力なく首を横に振る。

nk

腹は?痛い?

kn

……ううん

nk

吐き気は?

kn

…ん……わかん…ない

俺はこれ以上聞いても仕方がないと思い、彼に部屋でもう寝るように言った。

br

「僕がつれてく」

nk

うん、ぶるーくよろしくね

ぶるーくはきんときを立たせ、彼を支えながら ゆっくりと階段の方へ歩いて行った。

二人の姿が見えなくなると、シャークんがぼそりと呟いた。

shk

グループ分けは、また明日だな

nk

…そうだね

リビングに残された俺達四人は他にすることが特に無かったので、 後は自由に過ごすことになったのだった。

nk

んん……

nk

今……午前1時か

あの後俺はシャークんと少しゲームや雑談をして、眠りについた。

感覚を失ってしまったことは思ったより障害で、 ろくにゲームで遊ぶことが出来なかった。

鼻だけの俺はともかく、手足の感覚の無いシャークんは 操作が普段と格段にしづらくなっているそうで、 思い通りに動かせないことに彼はかなりショックを受けていた。

そのため今日は、操作が簡単で戦闘などの無いゲームで遊んだ。

ゲームをしていくうちにシャークんはいつもの調子を取り戻し、 寝る頃にはもう元気になっていた。

今も、起きる気配もなくすやすやと眠っている。

nk

(水でも飲みにいこうかな)

何故だか無性に水が飲みたくなったので、俺は彼を起こさないよう 静かにドアを開け、部屋を出た。

一階に下りると、暗いリビングに人影がいるような気がした。

nk

……誰かいるの?

俺は目をこすりながらその人影に問う。

その人影が息を飲んだような音がした。

kn

……なかむ……

nk

きんときか。どうしたの?

nk

具合はどう?

kn

…あぁうん……さっきより、良くなったよ

nk

それは良かった

俺はそう答えて、台所で水を飲んだ。

きんときは俺が水を飲み干すのを見ると、絞り出すような声で言った。

kn

あの……さ、なかむ…

nk

ん?

彼は俺を呼び止め、口を開け何かを言おうとしていたが、 その後に言葉が続くことはなかった。

俺には彼の言い出しそうなことが全く思い当たらず、困惑していた。

すると彼は、声をあげないようにして泣き出した。

nk

!?ど、どうしたの!?

kn

うぅ……

ずっと我慢して来たものが、一気に込み上げて来て 我慢ができなくなったような表情を浮かべ、彼は泣いた。

nk

……ん~……ゆっくり、話せる?

そう言いながら、彼の背中をさする。

彼は涙を拭いながら小さく頷いた。

kn

……他の人が……聞こえない……ところで

他の人……とは、今二階で寝ているシャークんたちのことだろうか。

nk

……じゃあ、

nk

ちょっと散歩にでも行こっか?

彼は再び頷いた。

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コメント

2

ユーザー

knさんの心情が察せて辛いな……恋人に振り向いて(?)ほしくて、こんな状態にしちゃったけど、brさんに違う意味でヘイト向けられちゃってるもんな…(語彙力皆無です)

ユーザー

きんさん!?大丈夫かなぁ…? 何か異変があるのは ぶるーくに気づかれたからの演技かほんとの症状かだけど… 続き楽しみに待ってます!

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