虐めが始まり、早一ヶ月。
呪霊は姿も残穢すらも見せることはなかった。
その間、伏黒の精神は日々摩耗していった
伏黒
(今日は何されるんだろうか)
伏黒は完全にミナ達に逆らえない
そう、体に刷り込まれてしまった。
ミナたちの虐めは苛烈を極めた。
華山 美那
めぐみくんっ!
伏黒
っ…、な、んですか…
ミナは気味の悪い笑顔を浮かべる。
華山 美那
ほら、うちの学校、
他と違って給食のある高校でしょ?
他と違って給食のある高校でしょ?
華山 美那
給食とーばんとか言う、面倒なものもあるワケ
ミナが続ける言葉を予想して、伏黒は発言する
伏黒
つまり、当番を変わればいいんですか
華山 美那
せーかいっ!
華山 美那
と、言いたいところだけど…
華山 美那
日頃の感謝も込めてっ!
華山 美那
わざわざ!私がやってあげちゃいまーす!
全身に悪寒が走った。
こういうときのミナほど厄介なものはない。
華山 美那
ほら!食べて。
今日のメニューはカレーだった。
伏黒
っ…(気色が悪いっ…)
華山 美那
…?どーしたの?
カレーの茶色の海の中に
蟻が水面で生を掴み取ろうともがいていた
華山 美那
んもう、仕方ないなぁ
ミナがスプーンを取り、カレーを伏黒の口へと運ぶ
華山 美那
光輝、抑えて
森下 光輝
りょーかいっ!
光輝に後ろから腕を掴まれ、身動きが取れない
伏黒
っ、ぁ…ごっ、ごめんなさ…
口を閉ざす伏黒の口に無理やりスプーンをねじ込む
伏黒
っ…!ぉ゙ッ…
カレーを吐き出そうとする伏黒の口を手のひらでミナが押さえる。
伏黒
っ…!ん゛っ〜
口の中で蟻が暴れ、口内を噛みちぎる。
味は何もしなかった。ほんのり苦いだけ
華山 美那
さ!もう一口!
ミナが伏黒の口から手を離すと、 再びカレーを口にねじ込もうとする
伏黒
っ!、やめっろ…!
光輝の拘束を振り払い、 カレーを床にぶちまける
皿の割れる音が鳴る
華山 美那
やーん…
華山 美那
めぐみくん、酷いよー
華山 美那
ご飯がもったいない…
華山 美那
床も汚れちゃったし…
華山 美那
謝罪の意を込めて、頭で掃除しよっか?
頭を床に打ち付ける音がクラスに響く
ゴリゴリと頭蓋骨と割れた皿の破片が擦れ合う
伏黒
っあ゙ゥ…
クラスメイトはバツの悪そうに目をそらす
伏黒
(夏油せんせ、が言ってたこと、)
伏黒
(あながち…
間違いではないな…)
間違いではないな…)
伏黒
(笑う姿なんか、当に)
伏黒
(猿みたいだ。)