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#こさめ
ことみ
553
学校で生徒会に入っている らん は、部活に入っている人たちと同じくらいの時間帯に帰宅をする。
そのため毎度定時に仕事の終わる医者の すち、いるま、なつ は既に家に帰宅しているし、大学でサークルに入っていない みこと も既に帰宅している。
何なら夕食も既に食べ終えている事が多い。
助かるのは、全員が家で食事を摂る時は らん の分もあると言う事。
空気の様に扱われている訳では無く、きちんと人間として扱ってくれている所は、助かっている。
こさめ の熱は下がったのか、みこと に勉強を教えて貰っていたらしいが体力の限界が来た様でソファでお休み。
その周りに らん を除く兄弟は集まっていたが、みこと だけは心配そうにこちらをチラチラと見て来ていた。
いるま
声を掛けられてそちらを見れば、ほど近くに いるま が居た。睨み付けて来る視線は何時もと同じ。
いるま
らん
いるま
らん
ただでさえ家での食事は好きでは無いと言うのに、食事の最中にこんな話をされたらたまったものではない。
らん
らん
いるま
いるま
いるま
いるま
必要かそうでないかは些末だが、要らないのなら食事の用意もしてくれないだろうので、勘違いではあるのだろう。
らん
らん
らん
らん
面倒くさくなって本音を零せば、いるま に胸倉を掴まれて拍子に持っていた箸を落とす。
いるま
いるま
らん
いるま
みこと
いるま
いるま
みこと は一度も こさめ の気持ちを軽んじた事はない。
ただ、らん の気持ちにも耳を傾ける様になってくれただけだ。
らん
いるま
いるま
いるま
らん
らん
らん
らん
らん
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
らん
らん
らん
胸が苦しい。痛い。
スッと いるま の袖を引けば、ずっと胸倉を掴んでいた手が放される。
いるま
らん
らん
みこと
みこと
すち
みこと
みこと
もう良いよ、みこと……。
発端が俺からだとしても、助けようとしてくれた事は純粋に嬉しかった。
ありがとう、大好きだよ。
立ち上がって隅に置いておいたスクールバックを開け、内ポケットからあるものを取り出し兄弟の方へと向き直る。
らん
いるま
いるま
いるま
らん
らん
らん
らん
こさめ
反応を示したのはソファで すち の膝枕を受けていた こさめ だ。
らん
らん
こさめ
すち
らん を愛してくれたのは兄弟ではない。
両親だけだった。
だから、ママが死ぬ原因となった、こさめ の事は、愛しいのに憎らしい。
らん
らん
らん
いるま
いるま
らん
いるま
みこと
みこと
みこと
どうして みこと がこれほどまでに らん を落ち着かせようとしているのかは分かっている。
分かってるけどね、みこと…ごめんね。俺、もう辛いんだ。
らん
らん
らん
らん
らん
いるま
すち
なつ
らん
らん
らん
らん
らん
らん
ずっと内側に溜めていた。
どうせ言ったって変わらないからとずっと溜めていた。諦めていた。
らん
らん
らん
らん
らん
らん
らん
いるま
怒鳴っている訳じゃないのに呼吸が浅くなってくる理由は分かっている。
らん
らん
らん
らん
最後だからと不満が口から溢れて来る。 ポタリと涙が溢れて来る。
らん
らん
らん
らん
ただただ平等な愛情が欲しかった。
それでも確かに、両親からの愛情を こさめ は貰った事が無い。
だって、こさめ 第一のお兄ちゃんたちが らん を見てくれることは無かったから、パパは死ぬまでずっと、らん の側を離れなかったのだから。
掴んでいたものをそのままに、みこと に近付いて目の前に座る。
みこと
不器用な人。
でも不器用ながらも、こさめ にも らん にも平等に愛情を与えようと頑張ってくれた人。
戸惑った様に らん の名前を呼ぶ みこと に微笑んで掴んでいるものを渡す様に拳を突き出せば、その拳の下に みこと の掌が置かれた。
らん
らん
みこと
バキッ、と嫌な音が鳴った。
拳を開けば、目を見開く みこと の掌にはパラパラと破片と、らん の持っていた物体が落ちる。
だが、物体は支えられる事無くカシャンと音を立てて床に落ちた。
なつ
みこと
みこと
みこと
らん
らん
みこと
らん
みこと
みこと
みこと
らん
らん
こさめ
らん は吸入器を使う。
そう、喘息を持っている。らん が主に喘息を発症する要員は、
“精神的ストレス”。
らん
みこと
らん
息が出来なくて目の前が霞む。涙で歪む。
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
こさめ
そこで俺の意識はプツリと途絶えた。
こさめ は眠って体調が良くなっていたとしても兄弟の身に、一番年の近い兄の身に起きた事で体も動揺してしまったのだろう、
病院に付いた頃には少しだけ熱を出していた。
いるま は らん に触れたのは何時振りだろうか…もしかしたら、初めてなのかもしれない。
初めて触れた らん の体は高熱だと分かる程に熱かった。
コレがほぼ毎日だと言うのなら、少しでも触れた事があるのなら、らん が病弱である事に気付かない訳が無いのだ。
こさめ
いるま が先んじて病院に連絡し必要なものを取り揃えさせ病院に付いた時点で危険な状態だった らん の一命はとりとめた。
呼吸器を付け丸で死んでいるかのように深い深い眠りについている らん は こさめ から呼ばれても返事をしない。
いるま
こさめ
こさめ
母はどうして死んだのか。
こさめ が物心ついてから居なかった母に付いて こさめ から質問されなかった訳ではない。
でもその度に嘘を付いて、はぐらかしてきた。
もう、そうするべきじゃないんだろう。
いるま
いるま
すち
すち
すち
こさめ
こさめ
こさめ
もっと早く気付いて行動を起こしていれば危篤状態にはならなかったかもしれない。
なつ
なつ
こさめ
こさめ
こさめ
こさめ は車の中で泣き喚いていた。
そう、ド正論ばかりで兄たちの心ももうズタズタだった。
こさめ
いるま
こさめ
こさめ
いるま
こさめ
こさめ
いるま
こさめ の兄になったんだから…末っ子じゃなくなったんだから我慢をしろ。
そう言った事があった。
だが実際にはどうだろうか……。
らん には末っ子だった期間なんて一度も無かったのだ。
両親からすればあっただろう。けれど、らん も言っていた通りに、兄たちは愛情を一度も注いだことは無かったのだ。
なつ
いるま
いるま
すち
らん の名前を呼び続けて泣き続けて疲れてしまったのだろう。
らん の手を掴んでベッドに顔を預けて眠ってしまった こさめ を らん の隣に寝かせる様子を見てから、ずっと静かな みこと を振り返る。
ぼう、っと宙を眺めている、みこと。
いるま
みこと
いるま
いるま
医者である すち、いるま、なつ は心当たりなどあるはずはない。
知っている可能性があるとすれば、らん に愛情を与えようと不器用ながらも頑張ったという みこと だろう。
みこと
六奏病院で診察を受ければ確定で兄弟の誰かの耳に入る。
だから らん は こさめ のために、兄として出来る唯一の事をしようとして、〇〇病院という他所の病院で診察を受けたのだろう。
いるま
みこと
いるま
みこと
みこと
みこと
いるま
みこと
みこと
みこと
らん
みこと
みこと
らん
らん
みこと
らん
みこと
みこと
らん
みこと
みこと
みこと
みこと
らん
みこと
らん
らん
みこと
みこと
当時、まだ大学生ではあったものの院長を務めていた すち に情報は全部来る。
つまり、らん が六奏病院で診察を受けたともなれば確実に話は回って来るのだ。
みこと
みこと
いるま
みこと
みこと
なつ
みこと
みこと
つまりそれは、小学校四年生の頭ですでに“兄たちを頼らない”と考え付いていたのだろう。
だが、金の融通を みこと に願ったと言う事は、中学校二年生の時点では死にたかったとは思っていなかったはずだ。
小学校四年に上がってから……。確か こさめ が小学校二年の時に父が亡くなっているから、一年でストレスに耐えきれなかったのだろう…。
みこと
みこと
いるま
みこと
すち
らん
らん
すち
すち
らん
すち
すち
いるま
なつ
らん
らん
らん
らん
いるま
らん
らん
らん
いるま
なつ
みこと
みこと
みこと
いるま
みこと
みこと
すち
みこと
合格して早々に遊びふら付くのかと、そう考えて居た。
でもそうでは無かったのだ。
らん はあの日、“死ぬために一人になりに行った”のだ。
らん が声を上げて泣いた所など聞いた事があっただろうか。
みこと の話す らん は年相応の…いや、それよりも少し幼い子供の様だった。
みこと
いるま
みこと
すち
らん が生まれる日、いるま たちの携帯に連絡が入った。
けれど別に勉強を優先しても構わないと言われたのでそうした。
だって、母の病気を治したかったから。
だから らん の産声を聞いた事も無ければ、夜泣きを聞いた事も無い。
らん と真面に出会ったのは こさめ が生まれる日。
母子共に危険な状態だと連絡を受けて速攻で病院に向かえば父に抱っこされた人形の様な らん が居た。
こさめ は無事に生まれたが母は二日持ち堪えたけれど息を引き取った。
けれど、母が最期に産み落とした命である こさめ は病弱だと医師から聞かされ、母の様に失くしてたまるものかと愛情を一心に注いだ。
兄たちの眼中に らん は居なかった。
みこと
なつ
みこと
みこと
“兄(おれ)たち”の知る らん は人形の様な子供だった。
何時だって辛い思いをしたのは母の記憶すらもない こさめ だと思っていた。
けれどどうだろうか。
家族の誰一人からも心配される事は無く褒められる事は無く、ずっとずっと頑張っていたのに当然だとなじられる。
あぁ、本当に辛いのは愛情を注がれる事のなかった らん だったのだ。
コメント
1件
え、ちょっと待って……このエピソードやばすぎる……!! らんの「こさめばっかずるい」って本音、めちゃくちゃ刺さったわ。ずっと我慢してたんやなって思うと胸が痛い。しかも吸入器パリーンって……え、そこで命綱捨てるのかよ……! みことだけが気付いてたってのも切なすぎる。続き、らんは目覚めるんか?これはもう最終回ちゃうよな?次の話が待ちきれん🔥