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秘密 〜小さな嘘と愛情を添えて〜

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秘密 〜小さな嘘と愛情を添えて〜

1 - 告白 〜緊張を少々とひと握りの喜びを加えて〜

♥

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2020年08月09日

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〜下校中〜

西から差し込む夕日が僕たちの頬を朱に染める

反応は悪くない

全てが上手くいく、そう思っていた

私なんかでいいの?

航太

澪がいいんだ、澪じゃなきゃ……

少し臭いセリフだったが本心だ。

私なんかが……

航太

あぁ

西日のせいか表情が読み取れない。

〜数秒の沈黙〜

これが何十時間にも何百時間にも感じられた

もう少しだけ時間……

時間を貰ってもいいかな?

少しの動揺

航太

お、おう

航太のことが嫌いなわけではないの

ただ、

ずっと、仲のいい幼なじみって感じだったでしょ?

だから、

だから少しびっくりしちゃったの……

ただそれだけだから……

航太

そうか

うん

だって、あの時航太……

澪が何を言いたいのかすぐにわかった

航太

いや、あれは違うんだ

違わないよ

だって、間違ってないもの

航太

いや、違う

航太

俺が間違ってたんだ

この話をされるとは思っていなかった

この話は、この話だけはしたくなかった

間違ってないわ……

他のみんなだって言ってるじゃない

記憶の奥底に潜んでいた自己嫌悪が襲いかかってくる

私が○○だって……

航太

やめろ

航太

そんな話がしたかったんじゃない

私にとっては重要なことよ

なんでみんなと違うのか

あの時までわからなかったの

だけど、

だけど航太が教えてくれたから

私は気づくことができたの

航太

やめてくれ

航太

お前は、みんなと一緒だ

航太

変なところなんて……

こんなつもりじゃなかったんだ

いいのよ、航太

やめろ

ありがとう

優しい言葉をかけるな

その気持ちだけで、本当に嬉しいわ

僕は君が思うような、そんな人間じゃない

さっきの話……

今日は無理だけど、

絶対に返事するから……

出来るだけ早く……

航太に見合うような人間になって……

自分がこの時、泣いていたのか、怒っていたのか、はたまた笑っていたのか

そんなことさえもわからない中、出てきた言葉は、この会話を打ち切るのに最も適当で最も最悪な言葉だった

航太

わかった

僕はこの時、彼女のために言葉を尽くすべきだった

でも僕は僕の犯したミスを、そのミスを目の当たりにしたくないがために逃げてしまったんだ

抜け殻のようになった僕を包み込んでくれていたはずの暖かな夕日はずっと前に沈んでしまっていた。

学校に行くのが怖かった

彼女と会うのが怖かったのだ

教室に入り、辺りを見渡す

しかし、まだ彼女の姿はない 登校前のようだ

キョロキョロと辺りを見渡していると後ろから肩をポンと叩かれる

友人の学生Aだ。

学生A

おはよ〜航太

学生A

学生A

どうした?元気ないな

航太

まぁ……な

航太

色々あったんだよ

学生A

なんだよ

学生A

ま〜た澪ちゃんとケンカしたのか?

学生A

喧嘩するほど仲がいいってやつ?

学生A

早く付き合っちゃえばいいのに……

航太

こっちにも色々あるんだ

学生A

そっか〜
まぁ、俺たちからしてみればあんなに可愛い澪ちゃんと付き合えるなんて最高だけど

学生A

航太からしてみたらずっと一緒にいた幼なじみだもんなぁ

学生A

女友だちって感じで、恋愛対象ってもは難しいのか

学生A

それに澪ちゃんは○○……

昨日、澪から言われたことがフラッシュバックする

航太

そういう事じゃねぇんだよ!

思わず感情的になる

学生A

本当に今日の航太どうしたんだよ?

学生A

ちょっと怖いぞ

航太

すまん

航太

気にしないでくれ

学生A

あぁ

学生Aに悪意がないことも自分が空回りしていることも分かっている。

学生A

何を悩んでいるかは知らないが、悩んでいることがあったらいつでも相談してくれよ

学生A

友だちなんだからさ

航太

あぁ、ありがとな

〜数分後〜

澪が教室に入ってくるのが見える

澪の登場でクラスの空気が和らぐのを感じる

しかし、逆に僕の緊張はMAXだった

澪になんて声をかけたらいいか、何をすべきなのかもわからない

おはよ、航太

予想外の展開だった

航太

あぁ、おはよう

澪の方から声をかけてくるなんて

航太……

昨日のことだけどさ

嬉しかった

本当に本当に嬉しかった

付き合おうよ、私たち

これも、予想外

航太

あ、あぁ

航太

でも、本当にいいのか?

航太

昨日……

昨日のことは忘れて!!

ほら、びっくりしちゃったって言ったでしょ!?

でも、家に帰って冷静に考えてみたの

そしたら、航太と付き合えるなんて幸せだなぁって

私もずっとこうなりたかったんだなぁって

そう思ったの

澪が満面の笑みでこちらを見つめてくる

航太

あぁ、わかった

航太

そうしよう

僕は驚きと嬉しさで涙を流していた

秘密 〜小さな嘘と愛情を添えて〜

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