王耀
……菊。
さっきの映画、そんなに怖かったあるか?
だってさ、我、ちゃんと見てたあるよ。
暗い部屋で、スクリーンが光って、音が大きくなった瞬間――
菊がびくってして、ハンバーガー野郎に抱きついたところ。
心臓、止まるかと思ったある…
「怖い」って言いながら、自然みたいな顔で腕を回して、
ハンバーガー野郎もさ、当然みたいに菊を抱き返して。
その距離、その体温、その安心しきった表情。
……あれ、全部、我が欲しかったやつだったあるよ…!
映画の内容なんて、途中から全然入ってこなかったある、
スクリーンよりも、菊の指が誰の服を掴んでるかばっかり見てた。
菊の顔が、我じゃない誰かの胸に埋まってるのを見て、
頭の奥がじわじわ熱くなって、変な音がしてたある、
…分かってるあるよ!
ただ怖かっただけあるよ、
友達だから、気を許してるだけある、
それくらい、ちゃんと理解してるある!
……それでもあるね、
どうして我じゃなかったあるか??
我なら、菊が怖がる前に気づけたある
我なら、菊が震えた瞬間に腕を伸ばせたある
我なら、映画が終わるまで、ずっと離さないあるよ!
ハンバーガー野郎にしがみつく菊を見ながら、
「引き離したいある!」とか
「代わりに抱きしめたいある!」とか
そんなことばっかり考えてる我が、本当に気持ち悪くて、でも――
やめられなかったある、、、
嫉妬で胸がいっぱいになって、
笑顔作るのも精一杯で、
「楽しかったあるね!」なんて言葉、喉の奥で引っかかってたある、
どうせ、
菊は気づいてなさそうあるが、
我、あの瞬間からずっと、菊のこと見てるある、、
誰に触られるか
誰の腕に収まるか
誰の存在で安心するのか…全部我が独占したいある…
怖い映画なら、次は我の隣に座るある、
菊が震えるなら、我の胸に顔を埋めるよろし、
「大丈夫あるよ!」って囁くのも、
心臓の音を聞かせるのも、
全部、全部、全部!我の役目にし欲しいある…
だってさ、
菊が他の誰かに守られてるのを見るくらいなら、
我が君の世界そのものになったほうが、ずっといいよろしよ?
安心するある、
菊が我を選ぶなら、
我は嫉妬なんてしない。
独占できてるって分かってるからある、
だからお願いがあるよろし、
次に怖い思いをするときは、
一番最初に、我の名前を呼んでほしいある…
我は菊のためなら、
どんな映画よりも、
どんな恐怖よりも、
ずっとそばにいるあるから。
――愛してるある。
誰にも渡したくないくらい、ね、?
