No.4 腸閉塞
嘔吐・腹痛表現あり
数日前から便秘が続いている。
胃腸が弱く良くお腹を壊すないこには便秘は日常だ。
早く出てくれるといいんだけど……
便秘が続いているせいか食欲も無くて、朝ごはんも残してしまった。
季節の変わり目は収録も多く対人関係などで何かとストレスを溜めがちなないこ。
無理に食べさせる事はせず少し見守る事にした。
少し朝食を食べただけなのに……
気持ち悪い……お腹も張って苦しい…
無理に押し込んだそれがぐるぐると胃の中でかき混ぜられる
ダメだ…吐きそう…
ないこは気分が悪くなりトイレへ駆け込んだ
ばしゃばしゃばしゃっ
さっき食べたばかりの朝ごはんをそのまま戻してしまった
アニキがせっかく作ってくれたのに…
ごめん……
罪悪感で押しつぶされそうになった
キューっと胃が締め付けられ少し顔を歪めた
なんとか仕事をこなし、昼ごはんの時間 楽屋のお弁当なんて食べられる気がしなかった
一時的に食べられない時期がないこにはある
-hotoke-も数年ないこと生活を共にしそれを分かっているから咎めたりはしないけど、そんなないこが心配で堪らない
買ったのは大きいシュークリーム
食欲のない俺を心配してほとけっちが買ってくれた大きいシュークリームに心が暖かくなった
え、シュークリームとはなったけどね。
その日の夕食
夕食の前に座りとりあえず箸を持つがやっぱり食べる気にはならなかった
何口か無理やり詰め込むないこを見てIfはストップをかけた
夜気持ち悪さが拭えずなかなか寝付けないないこはトイレへ向かった
げぶげぶとゲップと生唾だけが止まらない吐きそうでなかなか吐けない
というかそもそも食べてないから吐くもの無いのだろう
それでも気持ち悪さが変わらない…
コンコン
トイレの扉がノックされた
まずい…深夜だからってずっと居座ってちゃダメだよね…
ごめん……今出る……
そう思うのに立ち上がることが出来ない
この声はまろだ。そうか今日の撮影深夜までか今帰ってきたんだ…
こんな時間までお疲れ様…
あ。そうだ早くカギ開けないと…
ないこはなんとかカギを開けた
ガチャ
ないこの背中を優しく撫でた
帰ってきたらトイレに電気がついとって、あ。誰か起きとるんやって思いながらお風呂に入ったけど、お風呂から出てもまだ電気が付いとったから心配で見に来て良かった
まさかないこが吐けないで座り込んでいるとは…
コップに水をくみないこに与える
ごく。ごく。ごく。
しばらく撫でていると
ぱしゃぱしゃと胃液と飯の残骸みたいなのが少し出てきた
強めに摩って促してやる
しばらくして落ち着いたないこを寝かせて次の日を迎えた
一応アニキには相談しておこう。
飯食べやすいものにしてくれるだろうし。
パンパンに膨らんだお腹がしくしくと痛む 何日出てないんだっけ?2週間くらいかな...便秘...辛いよ...
次の日の朝も食欲が無かったけど流石に2日連続で残す訳にはいかない...
しかも今朝はアニキが食欲の無いないこの為に皆とは別メニューで作ってくれていた。
アニキはもう仕事に出ていて居なかったけどその気持ちが嬉しくて完食したいと思った。
その気持ちだけでご飯は要らないと言う胃に全力で放り込んだ
そんな事をしても体は正直で
びしゃびしゃびしゃ
直ぐに気分が悪くなり食べたばかりのそれを戻した
久しぶりに固形物を戻した事により少しスッキリした
アニキ...ごめん.........
罪悪感ばかりがないこを支配しネガティブにさせる
昼間に出される無機質な弁当は残せるのに夕飯のアニキのご飯だけは残せなかった
俺が朝食を完食したとアニキは思ってる。
確かに完食はしたんだけど...その後吐いたなんて言えない...
嘘を付いているみたいで申し訳ない...夕食も完食しなきゃ...
間違った使命感がないこを支配した
また気分が悪くなるかも知れないけどトイレまで我慢すれば大丈夫...大丈夫...
トイレまでは絶対吐かない。
いつもより早く夕飯を詰め込んだ
よし、完食した...
そう言おうと思って箸を置いたそれを合図に
ばしゃばしゃばしゃっ
もの凄い勢いで戻してしまった
もう少し耐えられると思っていたのに…何度も嘔吐して制御が効かなくなったないこには耐える事が出来なかった
慌てて口元を手で抑えるけど指の隙間から漏れて全く意味を成さない
腕を伝って床に滴っている
おまけに勢いよく口元を抑えたので鼻からも嘔吐物が出てしまっている
あまりにもいきなりで一瞬出遅れたが直ぐに行動した
Ifは急ぎないこの元へ走り背中を摩った
びしゃびしゃびしゃ
嗚咽も無くただただないこの口から夕飯だったそれが吐き出される
俺が無理したせいだ...俺が食べたから...こんな事なら食べなきゃ良かった...気持ち悪い...申し訳ない...お腹痛い...また食べられなかった...悔しい...食べなきゃいけないのに......もう...訳わからない...もう...嫌だ...
ポロポロと涙を零すないこ
まろ...なんで...そんなに優しいの...なんで...怒らないの…俺…せっかく作って貰ったご飯吐いて…無駄にして…汚して…こんなに悪いのに…叱って欲しい…優しく…しないでよ…
ぴしゃぴしゃぴしゃっ
少量の胃液が溢れる
背中を摩ってくれる手が暖かい……
違う...違うよまろ...俺が勝手に食べて...勝手に吐いたのに...そんな......優しいセリフ............
嘔吐はようやく止まったのに気持ちが追いつかない...
嗚咽が止まらない
ゆっくり息を整わす様に優しく撫でる
やっと落ち着いてきたないこにほっとするIf
汚れた服とズボンを脱ぎ捨ててしょうちゃんに促され風呂場へ向かう
お風呂に入って体を流しているとお腹がしくしくと痛んだ
お風呂の椅子に座って少し前かがみで痛がるないちゃん
細身のないちゃんとは思えないほどお腹が張っていて苦しそうだった
腹痛がおさまり風呂から上がるとリビングはすっかり綺麗になっていた
よたよたと覚束無い足取りで部屋に向かったないこ
あまり傍に居るとないこの性格上休めないと思ってしばらく1人にしとったけどやっぱり心配で部屋まできてしまった
あんなに盛大に戻したんだもう隠す事は出来ない。正直に話すと少しだけ気持ちが楽になった気がした。
それはそうかも知れないけど......何から何まで申し訳なさ過ぎる........こんな事までしてもらっていいんだろうか......
勢いで返事をしてしまった⋯ 申し訳ない...... 戻したのだって片付けて貰ったのに......
服の上からでも分かるほどに張っているお腹に少し焦る
話をして気を紛らわせながらマッサージをしてくれるまろ。
きっと吐いてしまった俺を気遣って、心配して...でも暗くならないように明るく話しかけてくれてるんだ...
優しいな......
まろにマッサージされると何だか落ち着いてきた。
寝そう......
目がとろんとしているないこ
明日ないこはオフで1人か...
こんな状態のないこ1人にして大丈夫かな...
夕方には俺も帰ってくるけど......
それにしてもホンマパンパンやわ......
ないこの便秘がこんな酷かったなんてな......
便秘ですなんて確かに言い難いやろうけど、しばらく様子みてダメそうなら病院に行った方がいいレベルな事は確か...
よくここまで我慢したな...何日出てないんか知らんけど...そりゃこんだけ溜まってりゃ吐くわな...
食事ももっと気をつけてやらんと...
そんな事をぐるぐると考えながらマッサージしてやっているとないこは寝ていた
明日はオフなんだ起こさないで寝させて置いてやろう...
起きたら12:00を超えていた
俺とした事がこんなに寝てたなんて...
お腹痛い......
しくしくと痛むそれは便意からの腹痛では無くただの腹痛
便意があればトイレに行くのだが腹痛だけとなると治まるまで丸まって待機するしかない...
痛い...痛い......
腸が動く様子はなくただただ、ギューッと締め付けられられている様な感覚としくしく、じくじくとした感覚が混ざりあっている
ぐるぐると忙しなく腸が動き回る下痢の様な症状も辛いがこれもこれで結構キツい...
痛い......早く治まって......苦しいよ......
顔は青ざめ脈が早くなる
長い格闘の末少し落ち着いてきた
よかった...
12:00って事は病院もお昼休憩だよね
腹痛も嘔吐も辛いし、午後診療始まったら病院行こうかな......
仕事に支障が出ても困るしね......
14:00〜診療が再開するみたいだ
それまでゆっくりしてよ
そう思ったのに...神様はなんて意地悪なんだ...
今度は気持ち悪い......吐きそうだ......
急ぎベッドから起きてトイレへ向かう
その途中でびしゃびしゃびしゃと吐いてしまった
はぁ、はぁ、間に合わなかった
自分が想像してるよりも深刻な様だ
早く病院行きたい...
少し吐き気が治まったないこは泣きそうになりながら廊下を掃除した
誰か...側にいて......辛いよ......気持ち悪いし......痛いし......悲しい......
14:00。やっと診療が再開したと言うのに
ないこは便器を抱え蹲っていた
気持ち悪い......お腹痛い......
吐き気と腹痛が同時に襲い動けないで居たのだ
タクシーを呼んで病院に行こうとしていた計画が...
こんなんじゃタクシーになんか乗れないし病院にも行けない......
気持ち悪い......
ほとんど何も出てこない癖に気持ち悪い
ないこは緑色の胆汁を戻し始めていた
しんどい....動けない......
スマホ...部屋に置いてきちゃった......
座っているのにふらふらする...
便器に持たれるなんてありえないのにそうする事しか出来ない......
脱水かな...
水...
トイレに持ち込んだペットボトルの水を飲む
しんどい....痛いよ......助けて......
腹痛は波があるもののひとたび訪れると冷や汗を流す程に苦しいものだった
15:00
もう1時間もここに篭っている事にないこは気づいていない
びちゃびちゃびちゃびちゃ
水を飲んでもその水ごと吐いてしまい上手く摂取する事が出来ない
吐物はやがて緑色の胆汁から黄色や褐色の便汁へと変わっていった
びしゃびしゃびしゃ
ペットボトルの水を飲む事もできず便座に頭をもたげ口からぽたぽたと便汁を垂らすないこ
腹を巡る激痛は留まることを知らず追い討ちを掛けてくる
痛いよ......痛い......助けて......苦しい...
16:00Ifが帰宅した
ないこの様子が心配で急いで帰ってきたのだ リビングを覗くもないこの姿は無い
部屋か?
部屋を覗くがここにもいない
残すところはトイレしかない。
可哀想にまた腹が痛いんやろか......
トントントン
あれ?
トントントン
ガチャ
扉を開くと便座に頭を預けぐったりしているないこが目に飛び込んだ
肩を叩き意識を確認するが朦朧としている様子だ
その顔色は真っ白でまさに顔面蒼白
冷や汗をかき首元や捲られた腕はびちょびちょに濡れていた
いつからここに居るのか体は冷えきり冷たくなっている
首元に指を当て脈を確認すると弱く早い
呼吸も弱く早いかろうじて口で息をしているような状態だった
救急車!!!
そう判断するには十分だった
電話をかけ状況を説明するうちに少し冷静さを取り戻した
救急車が到着する間タオルでないこの汗を拭いて背中やお腹を摩り声をかけた
腹を摩ると相変わらずパンパンに張っていた
痛そうな呻き声にまだ意識はあるのだと信じて話しかける
びしゃびしゃびしゃっ
下痢を吐いているそう表現するのが正しいと思う程褐色のそれは酷い悪臭を放っている
背中を摩り、口元をトイレットペーパーで拭ってやった
救急車が到着するとIfはないこから離され 救急隊員が素早くないこを担ぎ出す
救急車の中でもないこは腹痛に苦しみ唸っていた
げぽっ。とまた戻したないこ
背中を摩られながら2度3度とまた戻していた
直ぐに病院に搬送され検査を受けたないこは腸閉塞と診断された
ただの便秘かと思ったら腸が捻れ詰まってしまっていたのだ
数日の入院を余儀なくされたがその後は順調に回復していった
おわり
コメント
6件
ほんと小説書くのうますぎません??
もう、表現とかなにまで、大好きっす!(、性欲にぐさぁぁぁぁって(?) 大好きっ(( この、水くんバージョンとか出来ますか…?可能な限りでいいので…