南海が目を覚ますと結翔が隣にはいなかった。スマホと財布が置いてあるのですぐ戻ってくるだろうと思ってベットのシーツを剥がした。

シーツを剥がして洗濯機を動かし始めると扉が開いた。

それなら財布もスマホも置きっぱなしなのは頷ける。

結翔が南海のそばまで来て腰をぐっと抱くと唇が重なった。南海は生まれて初めてタバコの味を感じた。

家にトースターがないので南海はそのまま食べれるパンを外に買いに行くために軽く着替えて出かけた。

南海はクロワッサンとメロンパンを2つずつ買ってきた。途中でおかずになりそうだったウィンナーも買ってきた。

ウィンナーを結翔に渡し、テーブルにパンの袋を置く。

クロワッサンとメロンパン、目玉焼きに炒めたウィンナー。割とちゃんとした朝ごはんが出来上がった。

南海は目玉焼きの黄身の部分を箸でそっと押す。すると柔らかい黄身が溢れた。

これだけの共通点がこんなに嬉しいなんて思わなかった。目玉焼きの好みが完全に合致した。

朝ご飯を食べ終わって食器を片付ける。 結翔に片付けてもらっている間に南海は洗濯されたシーツを干した。

お昼は昨日話した通りインスタントラーメンになった。関東には売っていないカレーラーメンの袋をあけた。

結翔がラーメンを茹でている後ろから南海は結翔を抱きしめていた。

結翔が南海の腕の中で振り向き、今度は結翔が南海を腕の中に閉じ込めた。

抱きしめあっているのに会話の内容がまるで主婦だ。

一度ハグが終わる。南海は結翔が卵を入れている間に二つどんぶりを出した。

結翔が器用に二人分にラーメンを分ける。

そうしてお昼を食べた二人は外へ出かけることにした。手を繋いでのんびりと歩く。

散歩も兼ねて回り道をしているとケーキ屋さんが目に入った。

二人でケーキ屋さんに入ると、色とりどりのケーキが目に入った。そして店内を見回すと南海の目にあるものが止まった。

アルコールが瓶に入って売られていた。

通常のアルコールと違い、花の香りがするらしい。確かアルコールは70%以上じゃないと意味がないと聞いた気がするけど、これは持っておきたい。

二人は一度ケーキ屋さんを出た。

そしてレンタルショップに二人は着いた。

そもそも映画館は博多にあることにか知らないし、この辺りだとどこにあるのか南海は少しも知らない。このレンタルショップですら最近知った。

ある列をなぞっていた南海の手が止まる。

南海は一つの恋愛映画を手に取った。そしてすぐもう一つの映画を探し当てた。

この時、南海が言ったセリフには少し嘘が混ざっていた。

二つの映画は南海が大学生の時にした失恋が原因で見逃したのではなく観られなかった映画だ。

片方は観に行く前に振られ、片方は後にその人の彼女になる女子が観たと言っていた映画だった。そもそもその女子とは付き合ってすぐ別れていたが。

南海と結翔は二人で手を繋いでレンタルショップを出てさっきのケーキ屋さんでケーキとアルコールを買って家に戻った。