初めてじゃないけど

南海は帰るととりあえず夕飯の準備をしようと思ってエプロンをした。

明るい紺色に白い縁取り、白いリボンを前に結ぶエプロンを南海自身もすごく気に入っていた。

冷蔵庫からじゃがいも、玉ねぎ、ご飯、卵を出して、そして昨日作っておいたひき肉と玉ねぎとにんじんをみじん切りしてバターで炒めたものを出した。

南海はオニオンスープの作り方をスマホで検索した。炒飯はすぐに作れるからオニオンスープから取り掛かるのがいい。南海は玉ねぎを剥き始めた。

炒飯は一通り完成したのだが、オニオンスープが完成しない。 スプーンでスープを掬って味見したのだが薄い気がする。

南海が首を傾げていると結翔が隣から鍋を覗き込んできた。

もう一度スープをスプーンで掬い上げると結翔がその手を取って自分の口に運んだ。

冷蔵庫に向かいもう一つコンソメを出して溶かす。そして南海はもう一度スープを掬った。今度は結翔の口に南海の手で運ばれた。

南海も味見をする。さっきよりも確実にスープの味がした。

そして夕飯はテーブルに運ばれた。

南海はいろいろ料理をするようになってからもレシピを見て作っていた。具材が目分量で作れるのは炒飯だけだ。

共同というほどではないが一緒に料理ができて南海は嬉しかった。

南海は食器を片付けて、結翔がシャワーから出てくるのを待った。

結翔の後にシャワーを浴びながら南海は考えた。

一人暮らし用のワンルームの賃貸で一緒に入るのは、入れないこともないがなかなか無理がある。

南海はバスタオルを過去に二枚買っていた自分をとても褒めたかった。この為に買ったわけではないがこういう時に困らなくて済んだ。

南海はシャワーから出てニットワンピースを着た。結翔の前で着る機会が季節的にこの後なさそうなので今着るしかなかった。

白い膝上丈のニットワンピースをは冬のデートで着ようと思っていたが、もしかしたらそんな時は来ないかもしれない。 それに着たところを見せたい。

南海がドライヤーで髪を乾かしている間も結翔がずっとソワソワしていてドライヤーを仕舞ってから南海は結翔の隣に座った。

言い淀んでいる結翔に南海は悪戯心が芽生えて結翔の腕に自分の腕を絡ませた。

するりと結翔の手が南海の頬に伸びてそのまま唇が重なる。

結翔が軽々と南海を抱き上げてベッドまで運んだ。

南海は照れながら結翔に手を伸ばした。