零シリーズ

ｰｰｰ大禍境前ｰｰｰ

私達は、3時間掛けて ようやく大禍境に到着した。

私は、Suzuちゃんにくっつく。

どうして、私はみんなと 同じ様に出来ないんだろう？

私がオバケ嫌いになった理由は___

Suzuちゃんは、私にとっては 天使の存在。

どうせなら、同じクラスに なりたかったな___

ギシギシと音を立てていく床。

いつ、崩れてもおかしくない。

Suzuちゃんが小さな悲鳴を上げる。

よく見ると、Suzuちゃんの左腕に 小さな薔薇の針が刺さっていた。

パラノイアについて（前編） パラノイアとは、ある『妄想』を 始終持ち続ける精神病。 妄想の主題は、『誇大的』と 『被害的』と『恋愛的』なものと様々。偏執病という妄想病とも言える。

…なお、発症者は『小さな薔薇の針』 が刺さり、それが体に回ると 死に至る恐れがある。

突然、死亡宣言をされたSuzuちゃん。

なお、『パラノイア』を完全に完治 させる方法は、『大禍境』のどこかに ある『青い薔薇』の粉を発症者に 掛けることで、その病気は 完治することが出来る。

タイムミリットは6時間だ___

Suzuちゃんは死んじゃうの…？

Suzuちゃんがしゃがみ込む。

Suzuちゃんの体力が尽きる前に 早く…青い薔薇の粉を…っ…

小さな鍵穴に拾った鍵を開けてみる。

…そうかも知れない。

私達の視線の先には、 微かに青く光る1つの光。

Suzuちゃんの呼吸は いかにも、過呼吸に近い。

Suzuちゃんの体は、 前に体重を掛けてゆっくり 倒れていく。

私は、Suzuちゃんの体を 抱きしめる。

まだ、完全に毒には 侵されていないようだ。

しかし、私は忘れていた。

粉が置いてある場所に辿り着くまでの 道のりは、1時間以上掛かることに___