テラーノベル
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冬のある日。
一人の子供が、路地裏を歩いていた
腹の虫を鳴らしながら、ゆっくり、辺りを見渡しながら
その少年は
つぎはぎ入りの半袖短パンの上に大人用の上着1枚という、真冬にしてはとても寂しい格好をしていた
さっき、道を歩いていたら、食べ物の匂いがしたのだ
その匂いにつられ、いつの間にか路地裏にたどり着いていた
でも、とても食べ物があるとは思えない場所に着いた
――ぁ?そっちが――ろ!
うっ―ぇ!――なん――よ!
先程の路地裏から出ると、薄暗い通りがあった
"普通"の子供はまず入っちゃ駄目な所だ
そして、まず食料などない場所だ
――ぇ!う―――ぇん―よ!
あぁ!?――ぇ!―――ぞ!?ぁぁ!?
暴動、喧嘩は日常茶飯事
怒鳴り声と叫び声が辺りに響いている
人目につかない場所で、勿論警察も滅多…というか殆どこない
少し歩くと、古びたカフェがあった
今はオープン中の様で、お客も少々居る
店の裏側に回ると、路地裏のような所についた
そして、少し小さいがゴミ箱もあった
プラスチックや紙の容器に紛れて、何か違う物があった
――パンだ
まあ――パンといっても、食パンの半分くらいの大きさで
しかもゴミ箱の中に入っていたものだ
ゴミ箱の物や落ちてるものを食ってるから、味覚がおかしくなっていった
"普通の物"を食べたことがほとんどないくらいに
水だって、公園の水道を飲んだり、泥水を啜ったり
まともな物を食べたことはない
少し歩いた後、大通りに着いた
家族の話し声、恋人同士の話し声
そんな物が聞こえてくる
あいつだ!
大声をあげ、こちらを指さす人
それに気づき、急に静まり返り、こちらをみる人々
特に心当たりはな……い、といったら違うか
自己防衛用に持ち歩いている鉄パイプやバット
木から木の実を取ったり、ゴミ箱から勝手に漁ったり…
あれだ!今日の…強盗事件の!
―?う―!?
――!
―!!
いや、疑われてもおかしくはない
持ってる物も、格好もとてつもなく怪しい
取り敢えず誤解を解かなければ……
しばらく人と話していなかったので呂律が上手く回らない
これじゃあ余計に誤解を招いてしまう――
とっ捕まえろ!
ちょっと待って!
急に大声を出して駆け寄ってきたのは
金髪で、オレンジのグラデーションみたいなのが入った長髪
光を宿した左目
真っ赤な蝶ネクタイ
俺より1つや2つ年上そうな青年だった
???
そ、それは―…
今日―…強――件
???
え?――…―で――と――から…
???
???
???
え?いや―
???
???
―……
???
物事が嵐のように過ぎていった
???
???
カジュ
カジュ
カジュ
カジュ
カジュ
カジュ
カジュ
カジュ
なぜだかしっくりきた
そうか―これから俺の名前は
バルド
か
バルド
カジュ
バルド
カジュ
カジュ
バルド
カジュ
カジュ
カジュ
バルド
カジュ
バルド
バルド
カジュ
バルド
曇らす闇、照らす光
登場人物
バルド(13)
カジュ
カジュ(14)
ヨラ
ヨラ(4)
ルリ
ルリ(9)
ライ
ライ(9)
コメント
3件
わぁぁぁぁっ!! めちゃいい…やっぱカジュサンビジュ好きっ 私も作ってみたいなぁ、設定はめちゃあるけど小説に踏み込めなくて、、(趣味でしかやってない人☆)