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20xx年、秋の空が高くなり始める頃。 私は、ふと立ち寄った本屋にいた。

綾子

えーと

綾子

最近あんまり本、読んでないなー

綾子

話題の本…

綾子

ちょっとだけ小説をみようっと

文庫コーナー

綾子

…あ

綾子

これ…

綾子

あのときの…

私が手に取ったのは、『敦煌』という小説だった

綾子

懐かしい…井上靖さんだっけ…

パラパラと、ページをめくっていく。

綾子

あの人が、好きだった話

綾子

……

綾子

本屋さんでおセンチになってどうするの

ふと、空調の関係か、本の間からヒラリと何かが落ちた。

綾子

……栞、か?

私は、栞が好きだった。

持っていれば、それだけで本を読む「デキる女」になれる気がしていた。

実際、栞には趣向を凝らしたものもある。

集めるのも楽しいのだ。

綾子

おばあちゃんにもらった栞が使いたくて、わざわざハリポタシリーズとか指輪物語とか長編ばっかり読んでたな〜

綾子

読書はそれだけで頭良くなるって信じてたし…

実際に自分の頭が良いと実感したことは、未だにないけれど。

栞を落とした一瞬にして、ここまで妄想を膨らませた私は、慌てて栞を拾った。

文庫本のおまけにすぎないそれには商魂たくましく、新刊のお知らせがやや大袈裟なコピーとして並んでいた。

綾子

この形…安っぽい紙の質感…

綾子

うーん、文庫って最高!

綾子

本はおまけでメインはこの栞だなあ〜

私は手に取ったままの文庫本を即、レジに持って行った。

本屋を後にした私は、近所の公園に行った。

まだ明るいので、ベンチが空いているなら此処で読書を楽しむつもりだ。

綾子

よし!無人だ!

私は直ぐに、本の世界に没頭する……

……はずだった。

綾子

どうして?

活字の文字の羅列が、涙で滲む。 いつの間にか、はらはらと涙を流していた。

綾子

まだ、忘れられないんだよね……

綾子

この本を見つけた時から、テンション上がっていて…

綾子

……馬鹿みたい。

文庫はそのままにして、眼を閉じて、深呼吸をする。

本当は、本を投げ捨てたかったけど、それではただの八つ当たりだ。

綾子

ふう、はー、ふう、はー…

何度か深い呼吸を繰り返すうちに、私は平常心に戻った。

綾子

……帰ろう

読みかけた本をバッグに突っ込み、私は帰路についた。

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