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20xx年、秋の空が高くなり始める頃。 私は、ふと立ち寄った本屋にいた。
綾子
綾子
綾子
綾子
文庫コーナー
綾子
綾子
綾子
私が手に取ったのは、『敦煌』という小説だった
綾子
パラパラと、ページをめくっていく。
綾子
綾子
綾子
ふと、空調の関係か、本の間からヒラリと何かが落ちた。
綾子
私は、栞が好きだった。
持っていれば、それだけで本を読む「デキる女」になれる気がしていた。
実際、栞には趣向を凝らしたものもある。
集めるのも楽しいのだ。
綾子
綾子
実際に自分の頭が良いと実感したことは、未だにないけれど。
栞を落とした一瞬にして、ここまで妄想を膨らませた私は、慌てて栞を拾った。
文庫本のおまけにすぎないそれには商魂たくましく、新刊のお知らせがやや大袈裟なコピーとして並んでいた。
綾子
綾子
綾子
私は手に取ったままの文庫本を即、レジに持って行った。
本屋を後にした私は、近所の公園に行った。
まだ明るいので、ベンチが空いているなら此処で読書を楽しむつもりだ。
綾子
私は直ぐに、本の世界に没頭する……
……はずだった。
綾子
活字の文字の羅列が、涙で滲む。 いつの間にか、はらはらと涙を流していた。
綾子
綾子
綾子
文庫はそのままにして、眼を閉じて、深呼吸をする。
本当は、本を投げ捨てたかったけど、それではただの八つ当たりだ。
綾子
何度か深い呼吸を繰り返すうちに、私は平常心に戻った。
綾子
読みかけた本をバッグに突っ込み、私は帰路についた。